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第3話 vsオークキング②
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雲一つない青空に少し冷たい空気が流れていた。
黄緑色の新芽から少し成長し濃い緑色になりかけている草原より、時折り吹く風になびく草の音と虫の声がかすかに聞こえてくる。
見通しのよく気持ちいいその草原に、体長5ⅿ程度ある全身を装備品でかためたオークキングが、大斧を地面に突き立てFIELDSKILL『キャッスル』とやらを発動させていた。
オークキングを囲むようにフォログラムのような壁が、何重にも浮かび上がってくると、次第に実態化していく。
凄いイリュージョンを見せられている感じがするが、それが一体何だっていうのかしら。
あら、出来上がった城壁内よりオーク達の雄叫びが聞こえてくるような…
何故、複数体のオーク兵の声が聞こえてくるのだろう。
幻聴効果があるSKILLでも発動したのかしら。
その雄叫びが徐々に大きくなってきており、その数が増殖しているようだ。
伝わってくる地響きのような足踏みからしても100騎以上はいそうだ。
この空気感は…、幻影の類ではない。
オーク兵も城壁も、イリュージョンではなく、実際に現存しているというか生み出されていると認識した。
少し冷たい風になびく草の音しか聞こえない寂しい雰囲気が漂っていた草原に、興奮状態となりボルテージが上がったオーク軍団の熱気が響き、オークキングの笑い声が聞こえてきた。
「城とは外敵の侵入を防ぐための要塞である。我の元に辿り付くまでに多くの仕掛けが施されているのだ。人間ごときが我の『キャッスル』を攻め落とすためには最低でも精鋭の1000騎は必要だろう。いかに19種族が優れていたとしても、我は人間1人でどうこうできる相手ではないのだ。」
私はミランダによって15歳で成長を止められている才色兼備の人間であり、全種族の中でも圧倒的な繁殖力を誇るが最弱である0種族と姿は変わりないように見える。
だが、太陽神の実娘であり0種族と比べて能力値も可愛さも天空を突き抜けるくらい高い。
そんな美少女最強の私にオークキングは勝ち誇った感じで話しを続けていた。
「FIELD SKILL『キャッスル』に捕らえられているお前は逃げる事も叶わない。ここで我に出会ってしまった不幸を呪いながら死んでいくがよい。」
「話しの口ぶりからすると、その『キャッスル』とやらがあなたの切り札なのですか?」
「何?」
そんな雑魚SKILLで私を倒す事が出来ると思っているとは、程度が低過ぎて呆れてしまいますよ。
全種族の中で最も高火力を誇る19種族にとってそんな紙切れのような城壁がいくつあろうとも無意味だ。
更にそのFIELD SKILLは発動者を中心に展開されているということは、発動者の位置が丸わかりであり、つまり私は発動者を容易に斬り刻む事が可能なのである。
「『飛んで火に入る夏の虫』ということわざの意味を知っていますか?」
私の問いにオークキングが「何を言っている」と不思議そうな声を出した。
自分から進んで災いの中に飛び込むことの例えなのですが、今のあなたにぴったりな言葉ではないですか。
フィールドスキルとやらで私が逃げられないのではなく、あなたが逃げられなくなっているのですよ。
自信満々に私を仕留めるという『キャッスル』がいかほどのものであるか興味がありましたが、想定外過ぎる空振りでした。
時は金なりという言葉は好きではありませんが、超雑魚に費やす時間は無駄の一言としか言いようがない。
腰にぶら下げていた神剣ソラスクラスに手をかけ、片足を少し前に出し腰を沈めた。
居合抜きの構えである。
城壁の正面にある門がゆっくり開くと、イキリ立ったオーク兵達が私へ向かい溢れ出始めている。
私を刈り取ろうとする騎馬隊が雄たけびを上げながら突進を開始してきた。
城壁の上にはオーク兵達は弓を目一杯引き絞り一斉斉射しようとしている。
では、ぶち殺して差し上げます。
————————それでは抜刀します。
———————紫電一閃————————
音速の斬撃が突進してくるオーク騎兵を切り裂き、時間差で草原に亀裂が走っていく。
何重にも造られていた城壁が障害になる事は微塵も無かった。
100m先にいたオークキングの体を脳天から真っ二つに切り裂いた手応えがある。
本気の一閃では無かったが、やはり脆い。
先ほどまで、いきり立っていたオーク軍団の雄叫びは消え、城壁も姿を消滅していた。
向こうの草原に息絶えたオークキングの死骸が転がっている。
やはり初戦の相手としては雑魚過ぎだ。
ふと気が付くと、アルマジロの姿をしたミランダが決め顔をつくり仁王立ちをしていた。
何だろう。
「安杏里、向こうにある岩地帯にゴブリン達が住みついているようだ。」
ミランダが伸ばしている手が短過ぎて、どの方角を指差しているのかわからないが、顔の向きより東の方角なのだろう。
「その岩地をゴブリンが根城にしているのは理解しましたが、それがどうしたのですか?」
「安杏里は集団戦で戦ってくる相手の戦闘は未経験だろ。ちょうど良い機会だ。ゴブリンを討伐してみたらどうだ。得るものがあるはずだ。」
ゴブリン。
16種族の中でも力の弱く雑魚であるが、ミランダからは警戒が必要な敵であると聞いている。
雑魚が群れを成しても才色兼備の私にとって雑魚に変わりないとは思うのであるが、ミランダの言う事だし聞いておこうかしら。
黄緑色の新芽から少し成長し濃い緑色になりかけている草原より、時折り吹く風になびく草の音と虫の声がかすかに聞こえてくる。
見通しのよく気持ちいいその草原に、体長5ⅿ程度ある全身を装備品でかためたオークキングが、大斧を地面に突き立てFIELDSKILL『キャッスル』とやらを発動させていた。
オークキングを囲むようにフォログラムのような壁が、何重にも浮かび上がってくると、次第に実態化していく。
凄いイリュージョンを見せられている感じがするが、それが一体何だっていうのかしら。
あら、出来上がった城壁内よりオーク達の雄叫びが聞こえてくるような…
何故、複数体のオーク兵の声が聞こえてくるのだろう。
幻聴効果があるSKILLでも発動したのかしら。
その雄叫びが徐々に大きくなってきており、その数が増殖しているようだ。
伝わってくる地響きのような足踏みからしても100騎以上はいそうだ。
この空気感は…、幻影の類ではない。
オーク兵も城壁も、イリュージョンではなく、実際に現存しているというか生み出されていると認識した。
少し冷たい風になびく草の音しか聞こえない寂しい雰囲気が漂っていた草原に、興奮状態となりボルテージが上がったオーク軍団の熱気が響き、オークキングの笑い声が聞こえてきた。
「城とは外敵の侵入を防ぐための要塞である。我の元に辿り付くまでに多くの仕掛けが施されているのだ。人間ごときが我の『キャッスル』を攻め落とすためには最低でも精鋭の1000騎は必要だろう。いかに19種族が優れていたとしても、我は人間1人でどうこうできる相手ではないのだ。」
私はミランダによって15歳で成長を止められている才色兼備の人間であり、全種族の中でも圧倒的な繁殖力を誇るが最弱である0種族と姿は変わりないように見える。
だが、太陽神の実娘であり0種族と比べて能力値も可愛さも天空を突き抜けるくらい高い。
そんな美少女最強の私にオークキングは勝ち誇った感じで話しを続けていた。
「FIELD SKILL『キャッスル』に捕らえられているお前は逃げる事も叶わない。ここで我に出会ってしまった不幸を呪いながら死んでいくがよい。」
「話しの口ぶりからすると、その『キャッスル』とやらがあなたの切り札なのですか?」
「何?」
そんな雑魚SKILLで私を倒す事が出来ると思っているとは、程度が低過ぎて呆れてしまいますよ。
全種族の中で最も高火力を誇る19種族にとってそんな紙切れのような城壁がいくつあろうとも無意味だ。
更にそのFIELD SKILLは発動者を中心に展開されているということは、発動者の位置が丸わかりであり、つまり私は発動者を容易に斬り刻む事が可能なのである。
「『飛んで火に入る夏の虫』ということわざの意味を知っていますか?」
私の問いにオークキングが「何を言っている」と不思議そうな声を出した。
自分から進んで災いの中に飛び込むことの例えなのですが、今のあなたにぴったりな言葉ではないですか。
フィールドスキルとやらで私が逃げられないのではなく、あなたが逃げられなくなっているのですよ。
自信満々に私を仕留めるという『キャッスル』がいかほどのものであるか興味がありましたが、想定外過ぎる空振りでした。
時は金なりという言葉は好きではありませんが、超雑魚に費やす時間は無駄の一言としか言いようがない。
腰にぶら下げていた神剣ソラスクラスに手をかけ、片足を少し前に出し腰を沈めた。
居合抜きの構えである。
城壁の正面にある門がゆっくり開くと、イキリ立ったオーク兵達が私へ向かい溢れ出始めている。
私を刈り取ろうとする騎馬隊が雄たけびを上げながら突進を開始してきた。
城壁の上にはオーク兵達は弓を目一杯引き絞り一斉斉射しようとしている。
では、ぶち殺して差し上げます。
————————それでは抜刀します。
———————紫電一閃————————
音速の斬撃が突進してくるオーク騎兵を切り裂き、時間差で草原に亀裂が走っていく。
何重にも造られていた城壁が障害になる事は微塵も無かった。
100m先にいたオークキングの体を脳天から真っ二つに切り裂いた手応えがある。
本気の一閃では無かったが、やはり脆い。
先ほどまで、いきり立っていたオーク軍団の雄叫びは消え、城壁も姿を消滅していた。
向こうの草原に息絶えたオークキングの死骸が転がっている。
やはり初戦の相手としては雑魚過ぎだ。
ふと気が付くと、アルマジロの姿をしたミランダが決め顔をつくり仁王立ちをしていた。
何だろう。
「安杏里、向こうにある岩地帯にゴブリン達が住みついているようだ。」
ミランダが伸ばしている手が短過ぎて、どの方角を指差しているのかわからないが、顔の向きより東の方角なのだろう。
「その岩地をゴブリンが根城にしているのは理解しましたが、それがどうしたのですか?」
「安杏里は集団戦で戦ってくる相手の戦闘は未経験だろ。ちょうど良い機会だ。ゴブリンを討伐してみたらどうだ。得るものがあるはずだ。」
ゴブリン。
16種族の中でも力の弱く雑魚であるが、ミランダからは警戒が必要な敵であると聞いている。
雑魚が群れを成しても才色兼備の私にとって雑魚に変わりないとは思うのであるが、ミランダの言う事だし聞いておこうかしら。
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