無敵のツルペタ剣聖

samishii kame

文字の大きさ
3 / 46

第3話 vsオークキング②

しおりを挟む
雲一つない青空に少し冷たい空気が流れていた。
黄緑色の新芽から少し成長し濃い緑色になりかけている草原より、時折り吹く風になびく草の音と虫の声がかすかに聞こえてくる。
見通しのよく気持ちいいその草原に、体長5ⅿ程度ある全身を装備品でかためたオークキングが、大斧を地面に突き立てFIELDSKILL『キャッスル』とやらを発動させていた。

オークキングを囲むようにフォログラムのような壁が、何重にも浮かび上がってくると、次第に実態化していく。
凄いイリュージョンを見せられている感じがするが、それが一体何だっていうのかしら。
あら、出来上がった城壁内よりオーク達の雄叫びが聞こえてくるような…
何故、複数体のオーク兵の声が聞こえてくるのだろう。
幻聴効果があるSKILLでも発動したのかしら。
その雄叫びが徐々に大きくなってきており、その数が増殖しているようだ。
伝わってくる地響きのような足踏みからしても100騎以上はいそうだ。
この空気感は…、幻影の類ではない。
オーク兵も城壁も、イリュージョンではなく、実際に現存しているというか生み出されていると認識した。
少し冷たい風になびく草の音しか聞こえない寂しい雰囲気が漂っていた草原に、興奮状態となりボルテージが上がったオーク軍団の熱気が響き、オークキングの笑い声が聞こえてきた。

「城とは外敵の侵入を防ぐための要塞である。我の元に辿り付くまでに多くの仕掛けが施されているのだ。人間ごときが我の『キャッスル』を攻め落とすためには最低でも精鋭の1000騎は必要だろう。いかに19種族が優れていたとしても、我は人間1人でどうこうできる相手ではないのだ。」

私はミランダによって15歳で成長を止められている才色兼備の人間であり、全種族の中でも圧倒的な繁殖力を誇るが最弱である0種族と姿は変わりないように見える。
だが、太陽神の実娘であり0種族と比べて能力値も可愛さも天空を突き抜けるくらい高い。
そんな美少女最強の私にオークキングは勝ち誇った感じで話しを続けていた。

「FIELD SKILL『キャッスル』に捕らえられているお前は逃げる事も叶わない。ここで我に出会ってしまった不幸を呪いながら死んでいくがよい。」

「話しの口ぶりからすると、その『キャッスル』とやらがあなたの切り札なのですか?」
「何?」

そんな雑魚SKILLで私を倒す事が出来ると思っているとは、程度が低過ぎて呆れてしまいますよ。
全種族の中で最も高火力を誇る19種族にとってそんな紙切れのような城壁がいくつあろうとも無意味だ。
更にそのFIELD SKILLは発動者を中心に展開されているということは、発動者の位置が丸わかりであり、つまり私は発動者を容易に斬り刻む事が可能なのである。

「『飛んで火に入る夏の虫』ということわざの意味を知っていますか?」

私の問いにオークキングが「何を言っている」と不思議そうな声を出した。
自分から進んで災いの中に飛び込むことの例えなのですが、今のあなたにぴったりな言葉ではないですか。
フィールドスキルとやらで私が逃げられないのではなく、あなたが逃げられなくなっているのですよ。
自信満々に私を仕留めるという『キャッスル』がいかほどのものであるか興味がありましたが、想定外過ぎる空振りでした。
時は金なりという言葉は好きではありませんが、超雑魚に費やす時間は無駄の一言としか言いようがない。

腰にぶら下げていた神剣ソラスクラスに手をかけ、片足を少し前に出し腰を沈めた。
居合抜きの構えである。

城壁の正面にある門がゆっくり開くと、イキリ立ったオーク兵達が私へ向かい溢れ出始めている。
私を刈り取ろうとする騎馬隊が雄たけびを上げながら突進を開始してきた。
城壁の上にはオーク兵達は弓を目一杯引き絞り一斉斉射しようとしている。
では、ぶち殺して差し上げます。
————————それでは抜刀します。


———————紫電一閃————————


音速の斬撃が突進してくるオーク騎兵を切り裂き、時間差で草原に亀裂が走っていく。
何重にも造られていた城壁が障害になる事は微塵も無かった。
100m先にいたオークキングの体を脳天から真っ二つに切り裂いた手応えがある。
本気の一閃では無かったが、やはり脆い。
先ほどまで、いきり立っていたオーク軍団の雄叫びは消え、城壁も姿を消滅していた。
向こうの草原に息絶えたオークキングの死骸が転がっている。
やはり初戦の相手としては雑魚過ぎだ。
ふと気が付くと、アルマジロの姿をしたミランダが決め顔をつくり仁王立ちをしていた。
何だろう。

「安杏里、向こうにある岩地帯にゴブリン達が住みついているようだ。」

ミランダが伸ばしている手が短過ぎて、どの方角を指差しているのかわからないが、顔の向きより東の方角なのだろう。

「その岩地をゴブリンが根城にしているのは理解しましたが、それがどうしたのですか?」
「安杏里は集団戦で戦ってくる相手の戦闘は未経験だろ。ちょうど良い機会だ。ゴブリンを討伐してみたらどうだ。得るものがあるはずだ。」

ゴブリン。
16種族の中でも力の弱く雑魚であるが、ミランダからは警戒が必要な敵であると聞いている。
雑魚が群れを成しても才色兼備の私にとって雑魚に変わりないとは思うのであるが、ミランダの言う事だし聞いておこうかしら。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

王女様は聖女様?おてんば姫の大冒険~ペットのドラゴンが迷子なので冒険者になって探しに行きます!~

しましまにゃんこ
ファンタジー
アリシア王国の第3王女ティアラ姫には誰にも言えない秘密があった。 それは自分が全属性の魔力を持ち、最強のチート能力を持っていた「建国の賢者アリシア」の生まれ変わりであること! 8才の誕生日を境に前世の記憶を取り戻したものの、500年後に転生したことを知って慌てる。なぜなら死の直前、パートナーのドラゴンに必ず生まれ変わって会いにいくと約束したから。 どこにいてもきっとわかる!と豪語したものの、肝心のドラゴンの気配を感じることができない。全属性の魔力は受け継いだものの、かつての力に比べて圧倒的に弱くなっていたのだ! 「500年……長い。いや、でも、ドラゴンだし。きっと生きてる、よね?待ってて。約束通りきっと会いにいくから!」  かつての力を取り戻しつつ、チートな魔法で大活躍!愛する家族と優しい婚約者候補、可愛い獣人たちに囲まれた穏やかで平和な日々。 しかし、かつての母国が各国に向けて宣戦布告したことにより、少しずつ世界の平和が脅かされていく。 「今度こそ、私が世界を救って見せる!」 失われたドラゴンと世界の破滅を防ぐため、ティアラ姫の冒険の旅が今、始まる!   剣と魔法が織りなすファンタジーの世界で、アリシア王国第3王女として生まれ変わったかつての賢者が巻き起こす、愛と成長と冒険の物語です。 イケメン王子たちとの甘い恋の行方もお見逃しなく。 小説家になろう、カクヨムさま他サイトでも投稿しています。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...