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第5話 vsゴブリン①
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少し冷んやりとした気持ちいい風が吹いている。
見通しのいい草原地帯から、太陽の陽射しにジリジリ焼かれている岩地帯へ移動していた。
私が産まれ育った太陽の世界と少し似ている景色であるが、こちらの地上世界は生き物にとってとても過ごし易い環境だ。
背中に張り付いているミランダからの勧めで、集団戦をしてくる相手との戦闘を経験するために、この岩地帯に根城を築いているゴブリン達を討伐することを目的にここに来ていた。
背後からは先ほど出会ったASと屑礼が付いてきている。
2人は、ここから南へ10km程度に位置する都市に住んでおり、『千年戦争』に備えてこの地域を調査するためにやって来たそうだ。
ASの話しでは、ゴブリンの脅威度は災害指定されるものらしく、大規模で掃討しなければならない害敵のため、単独にてゴブリンを討伐するとの話しを聞き同行を申し出てきたのだ。
災害指定されている理由は、まず女を攫う事、そして狡猾であるため討伐が難しいらしいが、それは人類目線のものである。
そう。私にとっては赤子の手をひねるようなものだろう。
ちなみに、私の背中に張り付いているアルマジロの姿をしたミランダはSKILL『隠密』を発動させており、ASと屑礼からは視認されていない。
さて、ゴブリンが根城にしている岩地帯は、1000m四方ある大きさであり、草原によって囲まれていた。
外からみると少し小山となっている感じで、天然の要塞といった雰囲気がする。
50m先にある高台に動く影が見えた。
見張りをしているゴブリンが何個体かいるようだ。
16種族は他全ての種族に敵対しており、災いをもたらす者達である。
私を含めた特定の種族でしか対応できない伝説級と呼ばれる個体もいるらしい。
ゴブリンについての特徴は、集団戦を得意としており装備品を巧みに使うと聞くが、一体どれほどのものなのかしら。
背後に付いてきていた屑礼が注意を促してきた。
「安杏里。50m先の高台に潜んでいるゴブリン達が、ボウガンでこちらを狙っているぞ。」
ゴブリン達が持っている小型サイズのボウガンの射程は10~20mで短いが、軽くて移動に優れており矢の装填が簡易であるタイプである。
屑礼は私へボウガンに狙われていると言うが、おそらく私とASは標的にされていない。
ゴブリンは人間の女を犯して子孫を残そうとするため、私やASはレイプの対象として捕らえようとするものと推測されるからだ。
つまりボウガンで狙われているのは屑礼だけだろう。
まぁ、初速が時速100km程度の矢なら、私にとっては止まっているようなものなので、狙われていても問題ありませんけど。
背後にいる2人へ目配せをした。
「それではゴブリンの掃討を開始してきます。2人はここで見学でもしていてください。」
ASの方は私を心配しているように見受けられるが屑礼の方は、私が19種族として『千年戦争』に参加している者であると告知してから警戒をしている感じがする。
ここまで付いてきたのは、ゴブリンとの戦いを見て戦闘力を見極めるためだろう。
私としては絶望的である実力差を認識頂き、戦わずして千年戦争の敗北を認めていただければ有難い。
姿を消していたミネルバが球体の姿で転がりながら足元に現れ、これから始まる戦闘について脳内に直接話しかけてきた。
『教えていたとおり、ゴブリンは人間の女を襲う繁殖力が高い16種族だ。絶対にここで全滅させないとならないぞ。』
『承知しています。時間をかけないで皆殺しにさせてもらいます。どれくらいの個体数がいるかは不明ですが、目標は60秒以内くらいでしょうか。』
狡猾な者は何通りもの罠を張り巡らせる。
現在ゴブリン達は、私達が接近している姿を見て、罠をはる用意をしている真っ最中であると予測出来るが、そういう相手には速攻を仕掛けて混乱を誘い、反撃の猶予を与えない戦術が効果的だ。
歩調はそのままに視線をゴブリン達から外し、不自然な歩行にならないように前に出した足へ荷重移動をさせ、岩地を歩き始めた。
1秒でも早く終わらせてもらいます。
ゆっくり『逆手』から抜刀をするように腰の神剣ソラスクラスに手をかけた。
それでは殺らせて頂きます。
抜刀。
――――紫電一閃――――
ノーモーションからの逆手による居合抜きである。
抜刀と同時に、音速の衝撃波が50m先の岩石を切り裂いた。
続いて空気を切り裂いた衝撃音と、切り裂かれた岩の衝撃音が入り混じって聞こえてくると、岩から粉塵が舞い上がっていく。
初撃となる『紫電一閃』はゴブリンを仕留めるためのものでなく、混乱させるものだ。
逆手からの斬撃は、威力は低いがそれでも10tくらいの岩石なら軽く真っ二つには出来る。
ボウガン兵のゴブリン達が、斬撃による岩場の崩壊に気が付く前に、弾丸のように走り始めた。
切り裂いた岩が崩れる動作がスローモーションのように見える。
岩地を跳ねるように走る中、1個体のゴブリンを視認した。
私が走り込んできているスピードに動揺し対応が間に合っていない。
更に初撃によりゴブリン達がいる足場となる岩地が破壊されている事にも気が付いていないようである。
私がここで気を付けなければならないのは、転ばない事と障害物に当たらない事かしら。
侵入ルートと足場を確認し50mの距離を瞬時に詰めると、ゼロ距離で首を跳ねた。
まず1個体。
足場がグラついている。
岩地の崩壊が始まったようだ。
ゴブリン3個体を視認したが、バランスを崩しており混乱をしている。
あらあら。私から視線を外してもよろしいのですか。
一瞬で間合いを詰め、順番に首をはねていった。
これで4個体を仕留めた。
予測どおりではありますが、何のサプライズもなく、このまま一方敵な殺戮で終わってしまいそうだ。
見通しのいい草原地帯から、太陽の陽射しにジリジリ焼かれている岩地帯へ移動していた。
私が産まれ育った太陽の世界と少し似ている景色であるが、こちらの地上世界は生き物にとってとても過ごし易い環境だ。
背中に張り付いているミランダからの勧めで、集団戦をしてくる相手との戦闘を経験するために、この岩地帯に根城を築いているゴブリン達を討伐することを目的にここに来ていた。
背後からは先ほど出会ったASと屑礼が付いてきている。
2人は、ここから南へ10km程度に位置する都市に住んでおり、『千年戦争』に備えてこの地域を調査するためにやって来たそうだ。
ASの話しでは、ゴブリンの脅威度は災害指定されるものらしく、大規模で掃討しなければならない害敵のため、単独にてゴブリンを討伐するとの話しを聞き同行を申し出てきたのだ。
災害指定されている理由は、まず女を攫う事、そして狡猾であるため討伐が難しいらしいが、それは人類目線のものである。
そう。私にとっては赤子の手をひねるようなものだろう。
ちなみに、私の背中に張り付いているアルマジロの姿をしたミランダはSKILL『隠密』を発動させており、ASと屑礼からは視認されていない。
さて、ゴブリンが根城にしている岩地帯は、1000m四方ある大きさであり、草原によって囲まれていた。
外からみると少し小山となっている感じで、天然の要塞といった雰囲気がする。
50m先にある高台に動く影が見えた。
見張りをしているゴブリンが何個体かいるようだ。
16種族は他全ての種族に敵対しており、災いをもたらす者達である。
私を含めた特定の種族でしか対応できない伝説級と呼ばれる個体もいるらしい。
ゴブリンについての特徴は、集団戦を得意としており装備品を巧みに使うと聞くが、一体どれほどのものなのかしら。
背後に付いてきていた屑礼が注意を促してきた。
「安杏里。50m先の高台に潜んでいるゴブリン達が、ボウガンでこちらを狙っているぞ。」
ゴブリン達が持っている小型サイズのボウガンの射程は10~20mで短いが、軽くて移動に優れており矢の装填が簡易であるタイプである。
屑礼は私へボウガンに狙われていると言うが、おそらく私とASは標的にされていない。
ゴブリンは人間の女を犯して子孫を残そうとするため、私やASはレイプの対象として捕らえようとするものと推測されるからだ。
つまりボウガンで狙われているのは屑礼だけだろう。
まぁ、初速が時速100km程度の矢なら、私にとっては止まっているようなものなので、狙われていても問題ありませんけど。
背後にいる2人へ目配せをした。
「それではゴブリンの掃討を開始してきます。2人はここで見学でもしていてください。」
ASの方は私を心配しているように見受けられるが屑礼の方は、私が19種族として『千年戦争』に参加している者であると告知してから警戒をしている感じがする。
ここまで付いてきたのは、ゴブリンとの戦いを見て戦闘力を見極めるためだろう。
私としては絶望的である実力差を認識頂き、戦わずして千年戦争の敗北を認めていただければ有難い。
姿を消していたミネルバが球体の姿で転がりながら足元に現れ、これから始まる戦闘について脳内に直接話しかけてきた。
『教えていたとおり、ゴブリンは人間の女を襲う繁殖力が高い16種族だ。絶対にここで全滅させないとならないぞ。』
『承知しています。時間をかけないで皆殺しにさせてもらいます。どれくらいの個体数がいるかは不明ですが、目標は60秒以内くらいでしょうか。』
狡猾な者は何通りもの罠を張り巡らせる。
現在ゴブリン達は、私達が接近している姿を見て、罠をはる用意をしている真っ最中であると予測出来るが、そういう相手には速攻を仕掛けて混乱を誘い、反撃の猶予を与えない戦術が効果的だ。
歩調はそのままに視線をゴブリン達から外し、不自然な歩行にならないように前に出した足へ荷重移動をさせ、岩地を歩き始めた。
1秒でも早く終わらせてもらいます。
ゆっくり『逆手』から抜刀をするように腰の神剣ソラスクラスに手をかけた。
それでは殺らせて頂きます。
抜刀。
――――紫電一閃――――
ノーモーションからの逆手による居合抜きである。
抜刀と同時に、音速の衝撃波が50m先の岩石を切り裂いた。
続いて空気を切り裂いた衝撃音と、切り裂かれた岩の衝撃音が入り混じって聞こえてくると、岩から粉塵が舞い上がっていく。
初撃となる『紫電一閃』はゴブリンを仕留めるためのものでなく、混乱させるものだ。
逆手からの斬撃は、威力は低いがそれでも10tくらいの岩石なら軽く真っ二つには出来る。
ボウガン兵のゴブリン達が、斬撃による岩場の崩壊に気が付く前に、弾丸のように走り始めた。
切り裂いた岩が崩れる動作がスローモーションのように見える。
岩地を跳ねるように走る中、1個体のゴブリンを視認した。
私が走り込んできているスピードに動揺し対応が間に合っていない。
更に初撃によりゴブリン達がいる足場となる岩地が破壊されている事にも気が付いていないようである。
私がここで気を付けなければならないのは、転ばない事と障害物に当たらない事かしら。
侵入ルートと足場を確認し50mの距離を瞬時に詰めると、ゼロ距離で首を跳ねた。
まず1個体。
足場がグラついている。
岩地の崩壊が始まったようだ。
ゴブリン3個体を視認したが、バランスを崩しており混乱をしている。
あらあら。私から視線を外してもよろしいのですか。
一瞬で間合いを詰め、順番に首をはねていった。
これで4個体を仕留めた。
予測どおりではありますが、何のサプライズもなく、このまま一方敵な殺戮で終わってしまいそうだ。
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