ブラックな聖女『終わっことは仕方がないという言葉を考えた者は天才ですね』

第20話 （外伝）数年前に私がした行為について

（過去に遡ります）

私が聖女として異界の神を信仰し世界を混沌に陥れようとしていた雑魚達を処刑するために世界を転戦していた時のこと。
前ぶれなく神託が降りてきた。

――――――――――地上世界の覇権を握るべく行動を起こそうとしている機械兵ゴーレム達の野望を阻止せよ。


ＹＥＳ_ＭＡＩＮ_ＧＯＤ。
世界の覇権ですか。
くだらない事を考える馬鹿はどの種族にもいるものなのだな。
個人的には信仰心を上げる糧となってくれるその者達は、有難い存在だ。
帝都に南には、一年を通して雨が降らない灼熱の砂漠地帯あり、その中央部の気温は１００度以上になる死の世界と言われている。
その砂漠中央の地下に世界最強レベルに危険な迷宮があり、その最下層には異世界に繋がる門が存在していた。

神託に従い人類史上で初めてその迷宮へ足を踏み入れ、そして最下層から異世界へ通じる扉を開いたのだ。

そこは機械兵達の小さな世界に繋がっていた。
その文明は地上世界の古代人が築いていたものに迫るくらい発展しており、そして世界は汚染されていた。
―――――――機械兵の世界は終焉を迎えようとしていたのだ。
進み過ぎた文明が世界のキャパシティーをオーバーしてしまっていた。
自己再生を獲得していなければ、決して人が生きることが出来ない環境だ。
そして機械兵達はこの世界から旅立つ決意をし、一部の機体が人類に成り代わり地上世界を支配しようと画策していたようだ。
不穏な計画をぶち上げくれて有難うございます。
皆様がたには私の信仰心をあげるための糧になって頂きます。

ｖｓ全機械兵との戦いの幕が切って落とされた。
異世界には『月の加護』が届かないものの、平均でＢ級相当の実力を兼ね備えていた機械兵達の中に、私がてこずりそうな個体は存在しない。
私は手心や同情を加えるような慈悲深い聖女ではない。
どうせ滅亡する運命ならば、私がトドメを刺して差し上げましょう。
戦闘が開始されてすぐ、予測外の出来事が起きてしまった。
機械兵が白旗を上げてきたのだ。
だが、そのこと事態は問題ではない。
――――――機械兵達が降伏したため、神託が完了するお告げ降りてきてしまったのだ。
見込んでいた信仰心の上昇値が少ない。
怒りと絶望の感情が体の中に駆け巡る。
私はどこかで選択のミスをしたのだろうか。

そして機械兵達の世界の崩壊が始まってしまった。

運命の矢を乱射した行為が、この世界の寿命を縮めてしまったのだろう。
生き残っていた機械兵達の命を救う為には、地上世界が彼等を受け入れるしか道は無い。
とはいうものの、地上世界からすると外来種のような存在である機械兵達を招き入れる行為は危険だ。
―――――――――――もちろん私は、地上世界の生態系を破壊しないことを条件にし、危険となる存在である機械兵達を地上世界へ受け入れる選択をした。

数年後。
その機械兵達が、葭ヶ谷亜里亜の屋敷で何か良からぬ事を計画していた。
私との地上世界の生態系を破壊しないという約束を違えてしまった機械兵達には、確実に神託が降り討伐対象となるだろう。
異世界で稼ぎ損ねてしまった信仰心を取り戻す時がやってきたのだ。