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第66話 「俺だけ不死身の英雄譚」とか言いそうな奴だな
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城塞都市の遊郭から侵入した迷宮内には、大きな湖と草原地帯が広がっていた。
ところどころに高木が立ち、岩地が草原から突き出ている。
高くとられている天井を構成している岩石が太陽光に似た明かりを放ち、迷宮内を昼間のように照らしていた。
澄んだ風が流れ、草木が揺れる気持ちいい音が聞こえてくる。
目の前では、少年が自身より背の高い男を背中から羽交い締めにしている姿があった。
十戒からの拘束から逃れるために飛燕は力の限りに暴れているが、少年の力の前になす術が無くどうすることも出来ないといった感じだ。
十戒の目的は、スキル『捕食』にて、飛燕のスキル『ミラー』を自身のものにすること。
その様子を見ている勇者と強斥候は、事態を把握しているものの、見て見ぬふりを決め込んでいた。
このまま十戒の好き勝手にさせ、飛燕が殺されてしまうと、見殺しにした行為とみなされ、信仰心が下がってしまうだろう。
そう。私は飛燕を助けなければならないのだ。
十戒の力に抗えない飛燕から助けを求めてくる声が聞こえてくる。
「俺は全てを総べる王に成るんだ。こんな所で死ぬわけにはいかない。誰か俺を助けてくれ。もし助けてくれたら何でもしてやるぞ。」
その上から目線の言葉遣いは演技ではなく、安定の平常運転だったのか。
助ける意欲が更に下がってしまうが、ぼやいても仕方がない。
期待にお応えして、十戒を仕留めることにしよう。
ロックオンしていた少年の姿をした十戒の頭へ向け、既に召喚していた運命の弓を引き絞り始めていく。
十戒は、標的になっていることを認識しているものの、拘束している飛燕を離す様子はない。
ロックオンされた認識があるならば、通常は必死に逃げようとするものだ。
かといって殺されることを覚悟しているとも見えない。
私を舐めているのか、もしくは狙撃されないスキルでももっているのかしら。
何にしても、ここは今出来ることをするしかない。
確実にあなたの脳天を撃ち抜いて差し上げましょう。
十戒がスキル『捕食』を発動させたらしく、少年の口が異常に大きく開き始めていく。
狙撃される前に飛燕を丸呑みするつもりなのかしら。
だが、もう遅い。
引き絞っていた弓のエネルギーを解放させた。
――――――――――――SHOOT
超音速で発射された矢が十戒の頭を正確に撃ち抜いた。
遅れて運命の矢が空気を切り裂いた震えが伝わってくる。
間違いなく仕留め、奴は確実に息絶えた。
十戒が何故逃げなかったのかという疑問が残るものの、奴が死んでしまった後では確かめようがない。
脳天を撃ち抜かれた少年が、あっけなく背後から地面に落ちていく。
羽交締めから解放された十戒は安心しきった表情をし、ぐったりと地面に崩れ落ちていた。
気配を消していた勇者と強斥候が、拍手をしながらこちらに歩いてくる。
「さすが、三華月だぜ。俺達にはむかったら、こういう結末になるんだよな。」
「鬼可愛いは最強っす。これからも頼りにしているっす。」
その時である。
目の前に予期していなかった景色が見えていた。
――――――――――仕留めたはずの十戒が復活していたのだ。
十戒の姿が、先ほどとは異なる少年の姿になり、活動を再開している。
そして、油断してしまっていた。
気が付いた時には、スキル『捕食』の効果で大きく口を開いて、安心しきっていた飛燕の体を丸のみにしてしまっていた。
飛燕の断末魔が迷宮内に聞こえてくる。
十戒の体が、異常に膨らみ、おかしな体型になっていく。
確実な死を与えたにもかかわらず、なぜ姿を変えて復活しているのかしら。
異常を感じ取った私の瞳が黄金色に輝いた。
スキル『真眼』が発動したのだ。
――――――――――脳天を撃ち抜かれた十戒は『転生』していた。
遊郭では青年の姿をしていた十戒が、少年の姿になって現れ不思議に思っていたが、遊郭から下の層へ落ちた際に死亡してしまい、少年に『転生』していたということか。
そしてつい先ほど、私にロックオンされたにもかかわらず、逃げようとしなかったのは『転生』というスキルを持っていたからだ。
やれやれです。
そのうち『俺だけ不死身の英雄譚。今更戻って来いと言ってももう遅い』とかいう物語の主人公になってしまいそうだな。
既に飛燕の断末魔は消え、絶滅してしまっていた。
十戒は盛りがついた息の荒い犬のように、ニタリとしながら舌をダラリと出している。
「俺はここで失礼するぜ。飛燕のスキルを俺の物にしたら、次は聖女。お前を従服させてやるぜ。」
その十戒が『ダンジョンウォーク』で開いた通路に消えていく。
すぐに仕留める必要もないし、今回は見逃してやろう。
その代わりに、次に姿を現した時は、楽しいイベントを用意して差し上げましょう。
ダンジョンウォークの通路が閉じられると私の背後で息を潜めていた勇者と強斥候が、再び生産性の無い活動を開始した。
「あの野郎。トドメを刺す寸前で、逃げていきやがるとはマジで許せん!」
「三華月様。このままあいつを逃がしてもよかったんすか。」
「安心して下さい。十戒をブチ殺すタクティクスは出来上がっております。必ず仕留めないと気が済みませんし。」
「おいおいおい。ぶち殺すって、穏やかではじゃないな。奴に何か恨みのようなものでもあるのかよ。気に入らないという理由だけで、殺してしまう行為って駄目なんじゃないのか。」
「三華月様。僕から言うのも何なんすけど、聖女のJOBって、人を許すものなんすよ。」
61話で私の控えめなバディの事を貧弱なバディと表現し、私を性奴隷にすると宣言した魔物をぶち殺すための理由が、うんこ達には理解できないのか。
生産性の無い生き物である2人が、諭そうとしてくる行為にも腹が立つ。
だが、いま優先しなければならないことは、十戒の処遇だ。
奴を始末する条件は、第一にスキル『転生』を破壊すること。
そして、その十戒については既に『ロックオン』済みである。
そう。私は、ここから『転生』を破壊することが出来るのだ。
―――――――――スキル『転移』を発動させ、『SKILL_VIRUS』にて十戒の『転移』を破壊させてもらいます。
正面に転移の魔法陣の列が浮かび上がっていく。
今はまだ殺しはしない。
次に対戦する時に備え、スキルを一つ破壊するだけにしてあげます。
3m以上ある白銀に輝く弓を引き絞り始めた。
狙い撃たせてもらいます。
―――――――――BREAK_SHOT
ところどころに高木が立ち、岩地が草原から突き出ている。
高くとられている天井を構成している岩石が太陽光に似た明かりを放ち、迷宮内を昼間のように照らしていた。
澄んだ風が流れ、草木が揺れる気持ちいい音が聞こえてくる。
目の前では、少年が自身より背の高い男を背中から羽交い締めにしている姿があった。
十戒からの拘束から逃れるために飛燕は力の限りに暴れているが、少年の力の前になす術が無くどうすることも出来ないといった感じだ。
十戒の目的は、スキル『捕食』にて、飛燕のスキル『ミラー』を自身のものにすること。
その様子を見ている勇者と強斥候は、事態を把握しているものの、見て見ぬふりを決め込んでいた。
このまま十戒の好き勝手にさせ、飛燕が殺されてしまうと、見殺しにした行為とみなされ、信仰心が下がってしまうだろう。
そう。私は飛燕を助けなければならないのだ。
十戒の力に抗えない飛燕から助けを求めてくる声が聞こえてくる。
「俺は全てを総べる王に成るんだ。こんな所で死ぬわけにはいかない。誰か俺を助けてくれ。もし助けてくれたら何でもしてやるぞ。」
その上から目線の言葉遣いは演技ではなく、安定の平常運転だったのか。
助ける意欲が更に下がってしまうが、ぼやいても仕方がない。
期待にお応えして、十戒を仕留めることにしよう。
ロックオンしていた少年の姿をした十戒の頭へ向け、既に召喚していた運命の弓を引き絞り始めていく。
十戒は、標的になっていることを認識しているものの、拘束している飛燕を離す様子はない。
ロックオンされた認識があるならば、通常は必死に逃げようとするものだ。
かといって殺されることを覚悟しているとも見えない。
私を舐めているのか、もしくは狙撃されないスキルでももっているのかしら。
何にしても、ここは今出来ることをするしかない。
確実にあなたの脳天を撃ち抜いて差し上げましょう。
十戒がスキル『捕食』を発動させたらしく、少年の口が異常に大きく開き始めていく。
狙撃される前に飛燕を丸呑みするつもりなのかしら。
だが、もう遅い。
引き絞っていた弓のエネルギーを解放させた。
――――――――――――SHOOT
超音速で発射された矢が十戒の頭を正確に撃ち抜いた。
遅れて運命の矢が空気を切り裂いた震えが伝わってくる。
間違いなく仕留め、奴は確実に息絶えた。
十戒が何故逃げなかったのかという疑問が残るものの、奴が死んでしまった後では確かめようがない。
脳天を撃ち抜かれた少年が、あっけなく背後から地面に落ちていく。
羽交締めから解放された十戒は安心しきった表情をし、ぐったりと地面に崩れ落ちていた。
気配を消していた勇者と強斥候が、拍手をしながらこちらに歩いてくる。
「さすが、三華月だぜ。俺達にはむかったら、こういう結末になるんだよな。」
「鬼可愛いは最強っす。これからも頼りにしているっす。」
その時である。
目の前に予期していなかった景色が見えていた。
――――――――――仕留めたはずの十戒が復活していたのだ。
十戒の姿が、先ほどとは異なる少年の姿になり、活動を再開している。
そして、油断してしまっていた。
気が付いた時には、スキル『捕食』の効果で大きく口を開いて、安心しきっていた飛燕の体を丸のみにしてしまっていた。
飛燕の断末魔が迷宮内に聞こえてくる。
十戒の体が、異常に膨らみ、おかしな体型になっていく。
確実な死を与えたにもかかわらず、なぜ姿を変えて復活しているのかしら。
異常を感じ取った私の瞳が黄金色に輝いた。
スキル『真眼』が発動したのだ。
――――――――――脳天を撃ち抜かれた十戒は『転生』していた。
遊郭では青年の姿をしていた十戒が、少年の姿になって現れ不思議に思っていたが、遊郭から下の層へ落ちた際に死亡してしまい、少年に『転生』していたということか。
そしてつい先ほど、私にロックオンされたにもかかわらず、逃げようとしなかったのは『転生』というスキルを持っていたからだ。
やれやれです。
そのうち『俺だけ不死身の英雄譚。今更戻って来いと言ってももう遅い』とかいう物語の主人公になってしまいそうだな。
既に飛燕の断末魔は消え、絶滅してしまっていた。
十戒は盛りがついた息の荒い犬のように、ニタリとしながら舌をダラリと出している。
「俺はここで失礼するぜ。飛燕のスキルを俺の物にしたら、次は聖女。お前を従服させてやるぜ。」
その十戒が『ダンジョンウォーク』で開いた通路に消えていく。
すぐに仕留める必要もないし、今回は見逃してやろう。
その代わりに、次に姿を現した時は、楽しいイベントを用意して差し上げましょう。
ダンジョンウォークの通路が閉じられると私の背後で息を潜めていた勇者と強斥候が、再び生産性の無い活動を開始した。
「あの野郎。トドメを刺す寸前で、逃げていきやがるとはマジで許せん!」
「三華月様。このままあいつを逃がしてもよかったんすか。」
「安心して下さい。十戒をブチ殺すタクティクスは出来上がっております。必ず仕留めないと気が済みませんし。」
「おいおいおい。ぶち殺すって、穏やかではじゃないな。奴に何か恨みのようなものでもあるのかよ。気に入らないという理由だけで、殺してしまう行為って駄目なんじゃないのか。」
「三華月様。僕から言うのも何なんすけど、聖女のJOBって、人を許すものなんすよ。」
61話で私の控えめなバディの事を貧弱なバディと表現し、私を性奴隷にすると宣言した魔物をぶち殺すための理由が、うんこ達には理解できないのか。
生産性の無い生き物である2人が、諭そうとしてくる行為にも腹が立つ。
だが、いま優先しなければならないことは、十戒の処遇だ。
奴を始末する条件は、第一にスキル『転生』を破壊すること。
そして、その十戒については既に『ロックオン』済みである。
そう。私は、ここから『転生』を破壊することが出来るのだ。
―――――――――スキル『転移』を発動させ、『SKILL_VIRUS』にて十戒の『転移』を破壊させてもらいます。
正面に転移の魔法陣の列が浮かび上がっていく。
今はまだ殺しはしない。
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狙い撃たせてもらいます。
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