ブラックな聖女『終わっことは仕方がないという言葉を考えた者は天才ですね』

samishii kame

文字の大きさ
99 / 142

第99話 vsペンギンその1

しおりを挟む
暗黒色の海からは湿った風が吹いていた。
夜空を分厚い雲が多い、月の明かりを遮っている。
遠い昔に神々が戦いを繰り広げ、最も危険な場所とされているラグナロク領域に侵入し、全長50m程度あるガラクタだらけの浮島を発見した。
碇を下ろした帝国旗艦ポラリスからペンギンを抱きかかえ、タグボートにて接近していくと、深夜にも関わらず、清く可憐な聖女の姿を見た漂流者達から、歓喜の大合唱が聞こえてくる。
その数が300人以上。
そんな中、セクハラをして楽しむ親父のような目つきをしているペンギンと、どちらが愛されキャラであるか、決着をつける話しになっていた。
この戦いは、ペンギンから指摘されたとおり、私が圧倒的に不利だと考えられる。
聖衣に刻まれている十字架のデザインを見て聖女と認識した漂流者達は、私に治癒行為を期待しているものだと推測できるが、超武闘派の聖女である私には、他人に対して治癒を施す事が出来ない。
期待値の大きさに比例し、裏切られた場合のダメージは大きくなるという法則に従うと、私が治癒・回復が出来ないと知った漂流者達の落胆値は、計り知れないものであると容易に推測できる。
そう。このままだと、私は愛されキャラではなくなり、鬼可愛いだけの駄目な聖女と認識されてしまうことだろう。
はい。ここは策を練り、逆転の一手を打たせてもらいます。


ペンギンを抱きかかえながらタグボートへ乗り込み、ガラクタで造られた浮島へ近づいていた。


潮に乗り、タグボートはゆっくり進んでいた。
浮島全体から可憐すぎる聖女を歓迎する声が更に大きく聞こえてくる。
これは、見た目で判断されると損をする悪い例だな。
ペンギンがこの状況を見て、追い討ちをかけるような一言を言ってきた。


「三華月様。その聖女っぽい容姿が災いし、聖女に対する期待感が物凄く増しているようです。」
「なんですか。聖女っぽい容姿というのは。まぁ見ていて下さい。皆さんの期待にお応えさせてもらいますから。」
「ふっ。また何を良からぬことを画策しているようですが、ここは一刻も早く治癒が出来ない事を告白して、紛らわしい服を着て聖女と誤解させてしまった事を謝罪することをお勧めさせてもらいます。」
「私は、どこかのイケメン騎手団長とか、イケメンの腹黒王子に気に入られるような聖女では無いと認めますが、難局を個の力で突破してきた正真正銘の聖女です。今回もいつもどおり、溺愛したがるイケメンのクソ共に頼る事なく、この困難な局面を乗り切ってみせましょう。」
「無自覚にイケメン達限定で溺愛される聖女が本当に存在したなら、女子達からは嫌われキャラになってしまうことには同意しますが、まぁいいでしょう。ここは三華月様のお手並みを拝見させてもらいます。」
「何がまぁいいのか理解出来ませんが、私の手際をお見せ致しましょう。」
「それはそうと、深夜にも関わらず浮島には火が焚かれていないのは良く無いと思いませんか。人は真っ暗な環境にながくいると不安な気持ちとなり強いストレスを抱えてしまいます。三華月様に付いてきている下級下僕の『魔道の精霊』達にて浮島へ明かりを灯されてはいかがでしょう。」
「確かにそうですね。承知しました。ペンギンさんの提案のとおり、魔道の精霊さん達に浮島全体を明るくしてもらいましょう。」


精霊達は月の加護を好物にしており、私にまとわりつくようにこの旅に付いてきていた。
周囲を浮遊していた魔道の精霊達にお願をすると、早速といった感じで真っ暗だった浮島にゆらゆらと明かりが灯り始めていく。
漂流者達の表情が更に明るくなり、驚くほどにテンションを上げていく様子が分かる。
そして、歓声が沸き上がった。


「灯りが付いたぞ!」
「聖女様に付いてきた精霊達が灯りをともしてくれたぞ!」
「精霊使いの聖女様だ!」
「おぉぉぉぉぉ!」
「奇跡だ!」
「奇跡が起きたぞ!」


歓声で空気が揺れている。
奇跡のように美しい聖女であるのは否定できないのだが…。
とてつもなく盛り上がってきているようだ。
その時、抱きかかえていたペンギンから呟く声が聞こえてきた。


「三華月様。更にまずい事態に陥ってしまいましたね。」
「さらにとは、今度はなんですか?」
「はい。期待値が高まるほど、裏切られてしまった場合の喪失感が高くなる法則が働くとしたなら、治癒・回復が出来ない聖女と知った時のダメージが跳ね上がってしまうことになりませんか。」
「なるほど。この流れは良くない展開になってしまっておりますね。」


抱えているペンギンが悪そうな表情でニヤリとしている事に気がついた。
チッ、罠に嵌めやがったな。
魔導の精霊を使うように勧めてきたのはそのためか。
油断していた。
さすがは参賢者の一角といったところか。
更にペンギンが言葉を続けてきた。


「三華月様のお手並みを拝見させて頂きますとは言いましたが、私がただ指をくわえて見ているだけと思っていたのですか。三華月様もまだまだですね。」


だが、挽回不可能というほどのものではない。
潮の乗ったタグボートが浮島に接岸しようとしていた。
大歓声に迎えられる中、浮島の桟橋から、その辺りにいるような青年が笑顔を浮かべながら手を差し出してきた。


「俺はここのリーダーをやらしてもらっています緋色ひいろと言います。俺は美しい聖女さんを歓迎します。」


緋色と名乗った青年は、年齢は16~18歳で背も私より低い。
イケメンでは無く、鍛え抜かれているような体つきでもない。
表情は自信に満ちており、リーダーとしての風格があるように見えるが、駄目な者に共通している俺様気質が感じられる。
浮島には年配者も数多く見受けられるが、この駄目そうな青年に驚くほどのリーダーシップがあるのだろうか。


「私の名は三華月。ここにいる皆様は、地上世界から遭難し漂流されてきたのでしょうか。」
「そうです。ここにいる者全員が、巨大な海王生物に船を壊されてしまい、流されてきた皆を俺が造ったこの浮島に救助したのです。三華月さんも俺を頼って下さい。」


うむ。こいつからは頼っては駄目な男のにおいが漂っている。
緋色の言葉から推測すると、巨大な海王生物とはクラーケンのことを指しているのだろう。
やはり浮島にいる者達は、地上世界からラグナロク領域に迷いこんだ漂流者達で間違いないようだ。
緋色の背後には、それなりに可愛い女の子の3人が控えていた。
他の漂流者達と違い、少し小綺麗にしている。
これはもしかして、3人の女子達は緋色のハーレム嬢になるのかしら。
私の視線の先を追いかけた緋色が少し恥ずかしそうな顔をし、彼女達の紹介を始めてきた。


「後ろの3人は俺の嫁です。後ほど、詳しく紹介させてもらいます。三華月さんをこちらに引き上げますので、さぁ俺の手を握ってください。」


女は自信に満ちている男に惹かれる傾向がある。
だが、紹介された3人の嫁達は緋色には惚れているとは考えにくい。
男がハーレムを形成するために必要なものは女の愛情ではない。
一般的には、経済力もしくは権力を持っている男がハーレムを築くのだ。
いわゆる権力を乱用しているのである。
嫁と呼ばれた3人の女子達は、緋色の経済力に頼らなければならない状況に陥っており、逆に言うとこの過酷な環境で無ければ緋色の嫁になどなっていないものと推測できる。
私を浮島に引っ張りあげようと手を差し出している緋色が、気持ち悪くて仕方がない。
どうしたものかと悩んでいると、緋色が片足をタグボードに入れて、グイっと手を伸ばして強制的に私の手を握ってきた。
その時である。
条件反射をするように、拒否反応を示していた私のマインドが『SKILL_VIRUS』を発動させてしまった。

『SKILL_VIRUS』とは、対象者にVIRUSを打ち込み、特定のスキルを破壊する遅効性のスキルであり、延べ7日ほどで、対象を完全破壊する。

理由なく一般の者への攻撃行為は信仰心の減に繋がるが、緋色へ『SKILL VIRUS』を打ち込んでしまった行為については、問題なしと判定されたようだ。
生きた心地がしないくらい、ゾッとしてしまいましたよ。
ところで、私は一体、緋色が持っている何のスキルを破壊したのかしら。
『SKILL_VIRUS』の効果は遅行性なので、緋色からすると破壊されたスキルが徐々に使い勝手が悪くなる。
信仰心に影響が無かったようだし、そんな事はどうでもいいか。
さて、ペンギンとの愛されキャラ対決について、逆転に繋がる神の一手を打つことしましょう。

まず、ペンギンが提案してきたとおり、治癒行為が出来ない聖女である事実を、漂流者の皆様へ誠意をもって告知させて頂きます。
抱えていたペンギンを浮島の桟橋に降ろした。
そして背筋を伸ばし、両手をお腹のあたりで結びながら、気まずそうな表情をつくり、約30度程度の位置までゆっくり頭を下げて静止した。
いわゆる、最も美しいとされるお辞儀の姿勢だ。
綺麗なお辞儀のポーズをキープしていると、何を勘違いしたのか、緋色が慌てた様子で声を掛けてきた。


「三華月さん。頭を上げてください。僕はあなたを歓迎するって言ったじゃないですか。お礼なんていりませんよ。」


こいつは無視してもいい存在だな。
頭を下げている相手は緋色あなた個人にではなく、私に治癒行為を期待している浮島にいる皆さんなのだ。
頭を下げ続けたまま静止している私の姿に、違和感を覚えた浮島の者達から熱烈な歓迎ムードが消えていき、戸惑いの声が聞こえ始めてきた。
うむ。いい感じに動揺が広がっている。
下げていた頭を上げると正面に立つ緋色を軽く横へ退け、背筋を伸ばし、深く息を吸い込んだ。
そして、遠くにまで聞こえるように張りのある声で、私が治癒の出来ない聖女であると告知を開始した。


「私は聖女ですが、皆様の回復と治癒をするスキルを持っておりません。」


私の告白に浮島全体が一瞬静まりかえると、戸惑いの声が漏れ始めてくる。
期待して損をしたという深い喪失感が伝わってくる。
予測していたとおり、皆の顔が強張っていく。
重苦しくなっていく空気を読めない者が一人いた。
緋色である。
横に退けていた緋色が、私の肩を掴み、気合の籠った声を響かせてきた。


「俺が三華月さんを守ります。安心してください!」


誰かに守ってほしいような事など言っていない。
そもそも守ってもらいたくは無いしな。
緋色こいつは永遠に無視でいいだろう。
おかしな空気になってしまったが、絶望感が漂うこの雰囲気になるのを待っていた。
このタイミングで一歩前に出て胸を張り、漂流者達が最も言って欲しい言葉を高らかに宣言させてもらいます。


「私は聖女として皆様をこの領域から地上世界に連れて帰る事をお約束させて頂きましょう。」


緋色との挨拶で、浮島の者は地上世界から流されてきて帰る事が出来ない漂流者であるとの情報を拾いあげていた。
その漂流者達が最も強く望む事は、ラグナロク領域から脱出して元の地上世界に戻る事だろう。
一旦不安な気持ちにさせて、一番ほしい言葉を言ったのだ。
はい、これが吊り橋効果です。
真っすぐ透き通るような声が響くと静寂の時間が訪れた後、一気に皆がざわつき始めた。
想定外すぎる言葉を聞いて、私の言葉の意味を頭では理解したが、少し感情が追い付いてくるにはタイムラグがある。
誰かから「本当に?」とすがるような声が漏れてきた。
今、浮島の皆さまには、私が聖女の中の聖女に見えていることだろう。
そして、足元にいたペンギンを両手で抱きかかえ、耳元で勝利宣言をした。


「ペンギンさん。浮島の皆さまには、鬼可愛い私が、いま希望の光を灯す聖女に見えていることでしょう。」
「はぁ。聖女のような姿に騙されたしまったわけですか。」
「98話では、私のことを聖女のコスプレイヤーであるとディスってくれていましたが、もう私に土下座をして泣きながら謝るしかないのではありませんか。」
「やれやれです。38話でやったうつ伏せでしたら、いつでもやってあげますよ。」


やはり、38話のあれは土下座ではなく、うつ伏せだったのか…。
余裕の表情を浮かべているようであるペンギンが「さてと」と呟きニヤリとしていた。


「三華月様。次は僕のターンです。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

領民の幸福度がガチャポイント!? 借金まみれの辺境を立て直す【領地ガチャ】が最強すぎた!内政でUR「温泉郷」と「聖獣」を引き当てて…

namisan
ファンタジー
「役立たず」と中央から追放された没落貴族の俺、アルト・フォン・クライナー。継いだのは、借金まみれで作物も育たない見捨てられた辺境領地だけだった。 絶望する俺に発現したスキルは【領地ガチャ】。それは、領民の「幸福度」をポイントとして消費し、領地発展に必要なものを引き当てる唯一無二の能力だった。 「領民を幸せにすれば、領地も豊かになる!」 俺は領民と共に汗を流し、壊れた水路を直し、地道に幸福度を稼ぐ。 『N:ジャガイモの種』『R:土木技術書』 地味だが確実な「当たり」で、ほのぼのと領地を再建していく。 だが、ある日。溜め込んだ幸福度で引いたガチャが、俺の運命を激変させる。 『UR(ウルトラレア):万病に効く【奇跡の温泉郷】』 この「当たり」が、中央の腐敗した貴族たちの欲望を刺激した。 借金のカタに領地を狙う大商会の令嬢。 温泉利権を奪うため、父の命で派遣されてきた元婚約者の侯爵令嬢。 「領民の幸福(ガチャポイント)を脅かす者は、誰であっても許さない」 これは、ただ平穏に暮らしたかっただけの俺が、ガチャで得た力(と証拠とゴーレムと聖獣)を駆使し、ほのぼの領地を守り抜き、いつの間にか最強の領主として成り上がっていく物語。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

処理中です...