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第105話 神殺しについて
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見上げると空を覆い隠している分厚い雲から、海面にあたっても波紋が発生しないほど柔らかい雨が落ちてきていた。
海から10mほどの高さにある帝国旗艦ポラリスの甲板から見下ろすと、ガラクタを継ぎ接ぎし造られた直径50mほどある浮島が見える。
300人を超える漂流者達は、イムセティが放った殺気にあてられ、まだ気を失ったままだ。
ペンギンが三流神と呼んでいたその者は、ポラリスの機関砲から連射された弾丸にハチの巣にされた姿で、浮島に不時着していた。
足元に立ち、一緒に甲板から浮島を見下ろしているペンギンが、安定のドヤ顔をしながら、この世界について話しを始めてきた。
「三華月様。ラグナロク領域はご存知の通り神々が戦った世界であり、元々は大綿津見神の眷属であるクラーケン達が支配していたようです。帝国旗艦ポラリスがこの世界に侵入してきた際、クラーケン達が襲い掛かろうとしてきた理由は、凶悪で野蛮な外来種のような存在である三華月様を駆逐しようとしたものと考えられます。」
「いま何か、気になる言葉が聞こえてきましたが、可愛いらしい容姿をしている聖女が、野蛮な外来種と言われたのですか。」
「三華月様。違いますよ。凶悪で野蛮な外来種だと言いました。」
「まぁそれはいいとして、大綿津見神は私達が信仰する神とは敵対関係にないはず。」
「はい。彼等も最初は認識出来ていなかったのでしょうが、現状では三華月様を敵視することはないものと思われます。」
「つまり、鬼可愛い聖女はどこの世界でも受け入れられるということですか。」
「違います。」
「違うのですか?」
「はい。私が違うと言ったのは、鬼可愛いから受け入れられたわけではないということです。」
「そこ、重要なところですよね。もう少し具体的に教えてください。」
「そこは全く重要ではありせんし、むしろどうでもいいことです。訳の分からないことを言うのは、もうこれくらいで終わりにしてもらえませんか。いい加減にしておかないと、カスハラ、モラハラで訴えられますよ!」
ペンギンが額に青筋を浮かべていた。
そこは、おいおい問いただすことにして、問題はイムセティの処遇だ。
おそらくだが、奴はまだ死んではいない。
そう。あいつは、このまま放置しておくわけにはいなない存在だろうと直感していた。
ペンギンが、そのイムセティについての話しを始めてきた。
「三華月様。三流神のイムセティの目的について説明させてもらいます。」
「奴の目的は、主神ホルスを復活させることと言っていたと記憶しております。」
「はい。神々の戦いに敗北してしまい、天空神ホルスはこの地に封印されていると思われます。」
「主神ホルスを復活させるためには、天空から加護を受ける必要がりますが、分厚い雲が覆っているこの世界では、復活は不可能でしょう。」
「そうです。このラグナロク領域そのものが、天空神の力を封じているのです。」
「イムセティは、天空神を別世界へ持ち出すために緋色のスキル『フロート』を利用していたと推測されているわけですね。」
「そのとおりです。」
「全く興味が無い話しを聞かせて頂き有難うございます。」
「興味がありませんでしたか。」
「はい。それこそ無限大にどうでもいいことです。重要なのは、私の信仰心に影響があるかどうかです。」
「三華月様にとっては、そうですよね。」
「それでは、イムセティを処刑してしまいましょう。」
「YES_MINE_MASTER」
海面から約10mの高さにある甲板から接岸した浮島を見下ろすと、翼を失い、全身を蜂の巣にされたイムセティが芋虫のように這いずる姿が見えていた。
奴の目指す方向に気を失っている緋色の姿がある。
最後の力を振りしぼり、緋色を取り込もうとしているのかしら。
足元のペンギンを両手で抱きかかえて、話しかけた。
「ペンギンさん。イムセティがまだ良からぬ事を企んでいるようです。」
「三華月様。この様子を見る限りでは、あの三流神を出来るだけ早く処分するべきではと愚直します。」
「やはりそう見えましたか。ペンギンさん。それでは、よろしくお願いします。」
「え。よろしくお願いしますとは、どういうことですか?」
「サクッと、あいつを処刑して下さい。」
「三華月様は、この私めに、あの三流神を処分しろと言われているのでしょうか。」
「はい。よろしくお願いします。」
私からのお願いを聞いたペンギンが、今までに見せたことがないくらい動揺している。
イムセティを早く処分するべきだと進言してきたはず。
何をそんなに嫌がっているのかしら。
足元にいたペンギンが顔色を変えて、目を吊り上げていた。
「申し訳ありませんが、あの三流神のトドメについては、三華月様の手でお願いします。」
「どういうことですか。何か、ペンギンさんにはトドメを刺したくない事情でもあるのでしょうか?」
「もしもの話しですが、将来、天空神ホルスが復活してしまったとしたら、『イムセティを殺した者を見つけ出し、我が眷属と同じ苦痛を味合わせてやる。』とか言ってきそうじゃないですか。」
「つまり、ペンギンさんは仕返しを恐れているということですか。」
「その時は、四天王である私を三華月様は助けてくれるのでしょうか。そもそも嫌な仕事を配下へ押し付ける行為ってパワハラに該当するのではないですか。」
ペンギンは私をマインマスターと呼んでいるが、何とも薄っぺらいマスターだ。
汚れ役には慣れているとはいえ、私も神殺しにはなりたくない。
とりあえず、気を失っている緋色へ這いずっているイムセティは、動けなくしておこうかしら。
甲板の端にある手摺りの下段へ片足を乗せて、運命の弓を構えた。
イムセティは動けないように床に張り付けにさせてもらいます。
矢をリロードし、弦を引き絞り狙いをつけた。
スキル『ロックオン』を発動。
ギリギリと弓を引き絞り、弓のエネルギーが臨界点に達した。
それでは狙い撃たせてもらいます。
――――――――――――SHOOT。
小雨が降る中、音速で走る運命の矢が起こしてしたジャイロー回転により、弾道の跡を追い水しぶきのラインが伸びていく。
原型が無くなっているイムセティの胴体を運命の矢が串刺しにした。
まさに張り付け状態だ。
そのイムセティはモゾモゾともがくものの、動くことが出来ない。
その様子を見ていたペンギンが口に手を押さえている。
「生かさず殺さずの状態にしてしまったのですか。それにしても、無慈悲にとても酷い事を平気で実行してしまうとは、さすがは三華月様です。」
生かさず、殺さずって、もっといい表現方法をして下さいよ。
私だって神殺しにはなりたくない。
かといって緋色を取り込まれるのも阻止しないといけないし、妥協点がこの方法だったわけだ。
気がつくとペンギンが私の太ももをペシペシと叩いている。
「三華月様。イムセティをあの状態のままにしておくと、復活して我々に何かをしてくる可能性もあります。ここは外海の底へ沈め、クラーケン達に処分してもらいましょう。」
なるほど。
神殺しはクラーケン達に代行させるというわけか。
生かさず殺さずよりも、遥かに残虐な提案である気がするが、それがベターな選択なのかもしれない。
雨が降りしきる中、ペンギンを両手に抱えながら、甲板から約10m下にある浮島へ飛び降り、衝撃を吸収するように膝を曲げ、片手をついて着地をした。
イムセティからの殺気は消えている。
そろそろ漂流者達も目を覚まし始めてくる頃合いだろう。
ペンギンを抱えてイムセティの元へ歩いて行くと、目を覚ましていた緋色がフラフラと歩いてきていた。
こちらへ向かって来るというよりも、イムセティへ吸い寄せられているようだ。
三流神に緋色を取り込むだけの力が残っているとは思えないが、嫌な予感がする。
その緋色は足を止め、床に運命の矢で張り付けとなっている原型が分からなくなったイムセティを、見下ろしながら話しかけている声が聞こえてきた。
「俺と取引がしたいのか?」
緋色の言葉を聞き、体が条件反射をし、運命の矢をリロードし弓を引き絞っていた。
緋色とイムセティが交わそうとしているその取引の内容は不明であるが、真っ当なものとは思えない。
今すぐイムセティを絶滅させなければならないと直感したのだ。
―――――――SHOOT
緋色が接触をする前にイムセティの脳天を正確に撃ち抜いたはずだが、既に緋色の雰囲気が一変していた。
間に合わなかったのだろうか。
緋色の顔が、自信に満ち溢れているものに戻っている。
その緋色が吠えた。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
海から10mほどの高さにある帝国旗艦ポラリスの甲板から見下ろすと、ガラクタを継ぎ接ぎし造られた直径50mほどある浮島が見える。
300人を超える漂流者達は、イムセティが放った殺気にあてられ、まだ気を失ったままだ。
ペンギンが三流神と呼んでいたその者は、ポラリスの機関砲から連射された弾丸にハチの巣にされた姿で、浮島に不時着していた。
足元に立ち、一緒に甲板から浮島を見下ろしているペンギンが、安定のドヤ顔をしながら、この世界について話しを始めてきた。
「三華月様。ラグナロク領域はご存知の通り神々が戦った世界であり、元々は大綿津見神の眷属であるクラーケン達が支配していたようです。帝国旗艦ポラリスがこの世界に侵入してきた際、クラーケン達が襲い掛かろうとしてきた理由は、凶悪で野蛮な外来種のような存在である三華月様を駆逐しようとしたものと考えられます。」
「いま何か、気になる言葉が聞こえてきましたが、可愛いらしい容姿をしている聖女が、野蛮な外来種と言われたのですか。」
「三華月様。違いますよ。凶悪で野蛮な外来種だと言いました。」
「まぁそれはいいとして、大綿津見神は私達が信仰する神とは敵対関係にないはず。」
「はい。彼等も最初は認識出来ていなかったのでしょうが、現状では三華月様を敵視することはないものと思われます。」
「つまり、鬼可愛い聖女はどこの世界でも受け入れられるということですか。」
「違います。」
「違うのですか?」
「はい。私が違うと言ったのは、鬼可愛いから受け入れられたわけではないということです。」
「そこ、重要なところですよね。もう少し具体的に教えてください。」
「そこは全く重要ではありせんし、むしろどうでもいいことです。訳の分からないことを言うのは、もうこれくらいで終わりにしてもらえませんか。いい加減にしておかないと、カスハラ、モラハラで訴えられますよ!」
ペンギンが額に青筋を浮かべていた。
そこは、おいおい問いただすことにして、問題はイムセティの処遇だ。
おそらくだが、奴はまだ死んではいない。
そう。あいつは、このまま放置しておくわけにはいなない存在だろうと直感していた。
ペンギンが、そのイムセティについての話しを始めてきた。
「三華月様。三流神のイムセティの目的について説明させてもらいます。」
「奴の目的は、主神ホルスを復活させることと言っていたと記憶しております。」
「はい。神々の戦いに敗北してしまい、天空神ホルスはこの地に封印されていると思われます。」
「主神ホルスを復活させるためには、天空から加護を受ける必要がりますが、分厚い雲が覆っているこの世界では、復活は不可能でしょう。」
「そうです。このラグナロク領域そのものが、天空神の力を封じているのです。」
「イムセティは、天空神を別世界へ持ち出すために緋色のスキル『フロート』を利用していたと推測されているわけですね。」
「そのとおりです。」
「全く興味が無い話しを聞かせて頂き有難うございます。」
「興味がありませんでしたか。」
「はい。それこそ無限大にどうでもいいことです。重要なのは、私の信仰心に影響があるかどうかです。」
「三華月様にとっては、そうですよね。」
「それでは、イムセティを処刑してしまいましょう。」
「YES_MINE_MASTER」
海面から約10mの高さにある甲板から接岸した浮島を見下ろすと、翼を失い、全身を蜂の巣にされたイムセティが芋虫のように這いずる姿が見えていた。
奴の目指す方向に気を失っている緋色の姿がある。
最後の力を振りしぼり、緋色を取り込もうとしているのかしら。
足元のペンギンを両手で抱きかかえて、話しかけた。
「ペンギンさん。イムセティがまだ良からぬ事を企んでいるようです。」
「三華月様。この様子を見る限りでは、あの三流神を出来るだけ早く処分するべきではと愚直します。」
「やはりそう見えましたか。ペンギンさん。それでは、よろしくお願いします。」
「え。よろしくお願いしますとは、どういうことですか?」
「サクッと、あいつを処刑して下さい。」
「三華月様は、この私めに、あの三流神を処分しろと言われているのでしょうか。」
「はい。よろしくお願いします。」
私からのお願いを聞いたペンギンが、今までに見せたことがないくらい動揺している。
イムセティを早く処分するべきだと進言してきたはず。
何をそんなに嫌がっているのかしら。
足元にいたペンギンが顔色を変えて、目を吊り上げていた。
「申し訳ありませんが、あの三流神のトドメについては、三華月様の手でお願いします。」
「どういうことですか。何か、ペンギンさんにはトドメを刺したくない事情でもあるのでしょうか?」
「もしもの話しですが、将来、天空神ホルスが復活してしまったとしたら、『イムセティを殺した者を見つけ出し、我が眷属と同じ苦痛を味合わせてやる。』とか言ってきそうじゃないですか。」
「つまり、ペンギンさんは仕返しを恐れているということですか。」
「その時は、四天王である私を三華月様は助けてくれるのでしょうか。そもそも嫌な仕事を配下へ押し付ける行為ってパワハラに該当するのではないですか。」
ペンギンは私をマインマスターと呼んでいるが、何とも薄っぺらいマスターだ。
汚れ役には慣れているとはいえ、私も神殺しにはなりたくない。
とりあえず、気を失っている緋色へ這いずっているイムセティは、動けなくしておこうかしら。
甲板の端にある手摺りの下段へ片足を乗せて、運命の弓を構えた。
イムセティは動けないように床に張り付けにさせてもらいます。
矢をリロードし、弦を引き絞り狙いをつけた。
スキル『ロックオン』を発動。
ギリギリと弓を引き絞り、弓のエネルギーが臨界点に達した。
それでは狙い撃たせてもらいます。
――――――――――――SHOOT。
小雨が降る中、音速で走る運命の矢が起こしてしたジャイロー回転により、弾道の跡を追い水しぶきのラインが伸びていく。
原型が無くなっているイムセティの胴体を運命の矢が串刺しにした。
まさに張り付け状態だ。
そのイムセティはモゾモゾともがくものの、動くことが出来ない。
その様子を見ていたペンギンが口に手を押さえている。
「生かさず殺さずの状態にしてしまったのですか。それにしても、無慈悲にとても酷い事を平気で実行してしまうとは、さすがは三華月様です。」
生かさず、殺さずって、もっといい表現方法をして下さいよ。
私だって神殺しにはなりたくない。
かといって緋色を取り込まれるのも阻止しないといけないし、妥協点がこの方法だったわけだ。
気がつくとペンギンが私の太ももをペシペシと叩いている。
「三華月様。イムセティをあの状態のままにしておくと、復活して我々に何かをしてくる可能性もあります。ここは外海の底へ沈め、クラーケン達に処分してもらいましょう。」
なるほど。
神殺しはクラーケン達に代行させるというわけか。
生かさず殺さずよりも、遥かに残虐な提案である気がするが、それがベターな選択なのかもしれない。
雨が降りしきる中、ペンギンを両手に抱えながら、甲板から約10m下にある浮島へ飛び降り、衝撃を吸収するように膝を曲げ、片手をついて着地をした。
イムセティからの殺気は消えている。
そろそろ漂流者達も目を覚まし始めてくる頃合いだろう。
ペンギンを抱えてイムセティの元へ歩いて行くと、目を覚ましていた緋色がフラフラと歩いてきていた。
こちらへ向かって来るというよりも、イムセティへ吸い寄せられているようだ。
三流神に緋色を取り込むだけの力が残っているとは思えないが、嫌な予感がする。
その緋色は足を止め、床に運命の矢で張り付けとなっている原型が分からなくなったイムセティを、見下ろしながら話しかけている声が聞こえてきた。
「俺と取引がしたいのか?」
緋色の言葉を聞き、体が条件反射をし、運命の矢をリロードし弓を引き絞っていた。
緋色とイムセティが交わそうとしているその取引の内容は不明であるが、真っ当なものとは思えない。
今すぐイムセティを絶滅させなければならないと直感したのだ。
―――――――SHOOT
緋色が接触をする前にイムセティの脳天を正確に撃ち抜いたはずだが、既に緋色の雰囲気が一変していた。
間に合わなかったのだろうか。
緋色の顔が、自信に満ち溢れているものに戻っている。
その緋色が吠えた。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
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