フラグ回収率

ぬるあまい

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「おい」

昼休みの時間にトイレに行き、教室に帰ろうとしていたらいきなり後ろから声を掛けられた。

「え?」

俺は反射的に振り返る。そこには薫と同じくらい背が高く、嫌味なほどにイケメンな男が居た。
…その男は最近編入してきた俺でも知っている程の超有名人。しかも薫がまず最初に教えてくれた人物でもある。

“俺様生徒会長”だ。

「………」

俺は辺りを見回す。
運が良いのか悪いのか分からないが、俺と俺様生徒会長様以外に他に誰も居ない。ということは、もしかしてもではなく生徒会長様は俺に話し掛けているということか?

「…えっと、お、俺ですか?」
「お前以外に誰が居る」
「そ、そうですよね」

うわ、超怖い。
なんだよ、一体俺に何の用だ?こんなところを親衛隊とやらに見られる前に、用件だけ聞いてさっさと教室に戻ろう。

「ご用件は何ですか?」
「………」
「あ、あの…?」
「…お前、相内柳だよな…?」
「は、はい」
「………」
「……?」

……本当に何なんだ。
というか何で生徒会長様なんかが、俺の名前知っているんだろうか。編入したときの書類に不備でもあったのかな?不思議に思っていると「…想像していたのと違うな」とボソリと呟かれた。

「…想像?」
「小型犬のようだと聞いていた」
「小型犬?俺が?」

俺が小型犬がどうこうという話は前に薫としたことがあるけど、薫と会長様って関わりないよな?…それにこう言ったら悪いけど、薫は会長様のこと嫌いだから近寄りたくもないって言ってたし。

「いったいそれは誰が…?」
「宮田だ」
「……宮田、ってワンコ会計さん?」
「ワンコって可愛い面じゃねえだろ、あいつは」
「あ、…いや、何で宮田さんが俺の名前を?」

すると会長様は面倒臭そうに話してくれた。
最近ワンコ会計さんが生徒会室に顔を出さないと。それに誠君(王道編入生の名前らしい。初めて知った)とやらにも素っ気ないと。

「…話は分かりましたが、そのことに俺が何か関係が?」
「関係も何も、全部お前のせいだろうが」
「…え?俺?な、何で?」
「お前のことで頭がいっぱいで、仕事も手に付かないってほざいてやがった」
「……は?」

俺のことで、頭がいっぱい…?
え、…ちょ、意味が分からないんだけど。何で俺?俺、ワンコ会計さんに何か悪いことでもしてしまったのだろうか。

「あいつはこんなのが好みなのか…」

困惑していると、会長様に鼻で笑われた。
…え?もしかしなくても今馬鹿にされたのか?

「可愛くねえし、無駄に身長もあるし」

「……はぁ、…ごめん、なさい?」
「それならあれか?余程あっちの具合がいいのか?」
「あっちってどっちですか?」
「とぼけんなよ。特別に一回くらい抱いてやってもいいぜ」
「……抱く?」
「グチャグチャしてやるよ」
「…グチャグチャ!?」

何を!?
顔面をか!?

「いや、いいです!遠慮します!」
「…あ゛?てめえに拒否権なんざねぇ」
「俺、痛いの嫌いだし、そんな趣味ないです」
「俺の手にかかれば、痛みさえも快感に変わる」
「……は?え、…あ、いや、まじで勘弁してくだい。殴られるのなんて、嫌ですよ」

何で初対面の人にグチャグチャになるまで殴られなくてはいけないんだ。そんなの嫌に決まっている。
必死で抵抗するものの、会長様は俺の抵抗する様を見て笑いながら何処かに連れて行こうとする。

ああ、もう!薫でも誰でもいいから助けてくれ!と願っていると、その救世主は突如現れた。

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