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しおりを挟む「ゆずる、お前体力大丈夫か?」
「え?うん、大丈夫だよ」
「辛くなったら言えよ。どこまで歩き続ける羽目になるか分からねえからな」
「じゃあ、辛くなったら兄ちゃんにおんぶしてもらおうっと」
「…………アホか」
「あはは、冗談だって」
そんなことまでしてもらうのは、流石の俺でも気が引ける。
でもこんな状況に陥ってしまうんだったら、どうせならコンビニに行った後がよかった。口の中がさっきから肉まんとピザまんを求めている。それにいつまで歩き続けるのか分からないのなら、食料はあるにこしたことはないだろう。
「でも兄ちゃんが歩けなくなったら、俺がおんぶしてあげるからね!」
「…………潰れるだろ」
「火事場の馬鹿力ってやつを発揮してみせるよ」
「……ふっ。本当にお前は変な奴だな」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
兄ちゃんが俺のことを気遣ってくれているのと同じように、俺も兄ちゃんのことが大切だ。兄ちゃんがもしなんらかの大変な目に遭ってしまった時は、すかさず支えてあげたいと思っている。
――――と意気込んでいたのも早々に……、
『グオオオオォオオォォッ!!』
「……ヒッ!?」
突如人間とは思えないような叫び声が聞こえてきて、俺は思わず兄ちゃんの腕にしがみ付いてしまった。対して兄ちゃんも、まるで俺を守るかのように、しがみ付いてきた俺の身体を引き寄せてくれた。
「な、なに?今の声……?」
「……分からん」
「化物?恐竜?みたいな声だったけど……」
馬や熊といった動物の叫び声ではないと思うけど、もうすでに訳が分からない状況に陥っているんだ。これから他に何が起ころうとも不思議ではない。
「ゆずる、俺から離れるなよ」
「……う、うん」
五メートルほど先の草むらが激しくガサガサとなっている。……何が現れるのか全く想像が付かない。だけどそれを確認せずに逃げるなんてことは余計に怖くてできなくて、兄ちゃんに抱き着いたままビクビクとしながら様子を窺っているといると……、草むらからソレは顔を出した。
「………………ぱ、パンダ……?」
テレビなどで見慣れている白黒カラーではなくて、白色だけで構成されているモフモフした物体は、俺からしてみるとパンダにしか見えない。
「……白熊じゃねえの?」
「えー?パンダでしょ」
だけど兄ちゃんには子供の白熊に見えるようだ。正解は分からないけれど、想像をしていた以上の可愛らしい物体に癒されてしまう。兄ちゃんと繋いでいる手を離して、そのままその子に近付こうとすれば、……兄ちゃんに腕を引っ張られてしまった。
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