甘えたがりなニート異世界に行く

ぬるあまい

文字の大きさ
12 / 24

11

しおりを挟む



「ゆずる、お前体力大丈夫か?」
「え?うん、大丈夫だよ」
「辛くなったら言えよ。どこまで歩き続ける羽目になるか分からねえからな」
「じゃあ、辛くなったら兄ちゃんにおんぶしてもらおうっと」
「…………アホか」
「あはは、冗談だって」

そんなことまでしてもらうのは、流石の俺でも気が引ける。
でもこんな状況に陥ってしまうんだったら、どうせならコンビニに行った後がよかった。口の中がさっきから肉まんとピザまんを求めている。それにいつまで歩き続けるのか分からないのなら、食料はあるにこしたことはないだろう。

「でも兄ちゃんが歩けなくなったら、俺がおんぶしてあげるからね!」
「…………潰れるだろ」
「火事場の馬鹿力ってやつを発揮してみせるよ」
「……ふっ。本当にお前は変な奴だな」
「褒め言葉として受け取っておくよ」

兄ちゃんが俺のことを気遣ってくれているのと同じように、俺も兄ちゃんのことが大切だ。兄ちゃんがもしなんらかの大変な目に遭ってしまった時は、すかさず支えてあげたいと思っている。


――――と意気込んでいたのも早々に……、
『グオオオオォオオォォッ!!』


「……ヒッ!?」

突如人間とは思えないような叫び声が聞こえてきて、俺は思わず兄ちゃんの腕にしがみ付いてしまった。対して兄ちゃんも、まるで俺を守るかのように、しがみ付いてきた俺の身体を引き寄せてくれた。

「な、なに?今の声……?」
「……分からん」
「化物?恐竜?みたいな声だったけど……」

馬や熊といった動物の叫び声ではないと思うけど、もうすでに訳が分からない状況に陥っているんだ。これから他に何が起ころうとも不思議ではない。

「ゆずる、俺から離れるなよ」
「……う、うん」

五メートルほど先の草むらが激しくガサガサとなっている。……何が現れるのか全く想像が付かない。だけどそれを確認せずに逃げるなんてことは余計に怖くてできなくて、兄ちゃんに抱き着いたままビクビクとしながら様子を窺っているといると……、草むらからソレは顔を出した。

「………………ぱ、パンダ……?」

テレビなどで見慣れている白黒カラーではなくて、白色だけで構成されているモフモフした物体は、俺からしてみるとパンダにしか見えない。

「……白熊じゃねえの?」
「えー?パンダでしょ」

だけど兄ちゃんには子供の白熊に見えるようだ。正解は分からないけれど、想像をしていた以上の可愛らしい物体に癒されてしまう。兄ちゃんと繋いでいる手を離して、そのままその子に近付こうとすれば、……兄ちゃんに腕を引っ張られてしまった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

暑がりになったのはお前のせいかっ

わさび
BL
ただのβである僕は最近身体の調子が悪い なんでだろう? そんな僕の隣には今日も光り輝くαの幼馴染、空がいた

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。 ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!

学園ものに転生した悪役の男について

ひいきにみゐる
BL
タイトルの通りにございます。文才を褒められたことはないので、そういうつもりで見ていただけたらなと思います。

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

処理中です...