真梅雨怪奇譚 ー 梅雨の日に得た能力

七槻夏木

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心象世界

廃墟探索 Ⅲ

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「この調子だと、難なく合格ですね。まあ、能力をマイさんと僕が実際に目で見てみるってだけのテストですから、合格も何もないんですけど。それで、小崎の評価はどうですか? マイさん」

「百点だね。能力は、もちろん申し分ない。現在判明している能力の中でも、戦闘適正は、間違いなく最強クラスだ。それに、初めて銃口を向けらえて、あそこまで冷静でいられるのも才能だろう。立ち回りも完璧だった。軍隊にいた経験があるんじゃないかと思うくらいだよ。
 肉体を除いて、洗練された兵士と同等と言っていいモノを持っている。しかも、それが百パーセントセンスに由来している。化け物だよ。それはまあ、今朝、の時点で分かっていたことなんだけどね」
 妙な言い方をする峰子に、海斗が尋ねる。

「今朝のうちから、というのはどういうことですか?」

「海斗も、真梅雨が作成した能力についての資料を読んだだろ?」

「はい、軽く目を通したくらいですが。確かに、凄い能力だとは思いましたが、あの資料は能力に関することしか書かれていなかったので、小崎の戦いのセンスとは関係ないのでは?」

「いいや、あの資料からある程度は推測できたんだ。真梅雨が、自身の能力について、銃と比較していた項があっただろ? よく考えてみろ。普通、突然に能力に目覚めた少女が、自分の能力を冷静に、銃と比べたりすると思うか?」

「そう言われてみれば、確かに」

「あの時点で、既に真梅雨は、無意識の内に実践を想定していたんだ。驚いたよ。
 おっと、こんなことを話している間に、真梅雨は最後の敵の方へと向かったな。そろそろだ、私たちも合流しようか」
 峰子は、パンッと腿を叩くと、立ち上がると、真梅雨のいる方向へと歩いていく。海斗もそれに続いた。

「そうですね、二十八人撃破してますから、あと三人です。小崎なら、ささっと、やっつけちゃうでしょうね」

「いいや、助けが必要になるかもしれないから行くんだよ」

「え? 助けですか?」
 予想外の峰子の言葉に、海斗は面食らったようになる。

「いつも言っているだろう。勝ったと思った瞬間、人は、思考が鈍くなり、行動は単調になるって」

「なるほど。今回は、油断、二本立てですしね」

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