この学園では個性的なキャラを演じてください、と言われたので「遅刻」ばっかしてみた。

七槻夏木

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厨二と作家とシャーロキアン

砂糖のような ①

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「お待たせしました。こちら、コーヒーになります。ごゆっくりどうぞ」

 二十半ばくらいの若いウエイトレスが熱いコーヒーを運んで来た。俺は、それに軽く頭を下げ会釈する。

 今日は土曜日。俺は、学園内にある少し小洒落たカフェで待ち合わせの相手を待っている。待ち合わせの時間より少し早く来すぎた。もう少ししたら相手もくるだろう。

 時計の針はちょうど一時半を指す時間帯だ。カフェの中はそこそこ混んでいる。私立傘信学園しりつかさのがくえんは愛媛の山奥の田舎の広大な土地に建てられている。規模にして、大きめの大学くらいはあるだろう。交通の便は最悪だが、学園内にコンビニやスーパー、生協、カフェやレストラン、簡易な診療所くらいは揃っている為に不便はない。通販を利用するという手もある。
 それでも、休日にはバスで少し山を下り駅のある町まで行く生徒も多い。都会とは言えないにしても、カラオケボックスや映画館くらいはあるし、電車で一時間くらいかけて松山まで行けばなんでもある。傘信学園は、寮生活が義務付けられているが、基本出入りは自由だ。また、部活などの練習試合の際にはバスが出る。

 少しして待ち合わせの相手が来たようだ。スカートをヒラヒラさせ、パタパタとこちらに駆けよってくる。

「お待たせ~、待った?」

「いや、今来たところだよ」

 てか、先に来るって、俺、遅刻キャラ崩壊なのでは?まあ、ここには監視カメラがあるわけでもないし大した問題ではない。

 待ち合わせの相手は、佐藤さつきだ。シンプルで春らしい清楚な装いだ。明るめの色合いもふわふわした佐藤のイメージとよく合っている。佐藤は俺と同じコーヒーを一杯頼むと、俺に断りを入れる。

「ごめんね、壁岡君が気になって診療所までお見舞いに行って様子見て来たの」

 え、マジ?あの変態の為にわざわざお見舞いに行ってあげたの?壁岡が鼻の下を伸ばして喜んでいる姿が目に浮かぶ。

「どうだった?」

「まだ痛むけど、何処かの骨が折れたりはしてないって」

「ふーん、そっか。まぁ、あれは平成最大の自業自得だからな」

 佐藤は困ったような苦笑いを浮かべていたが、何かを思い出したようだ。

「あ、そういえば、壁岡君のマル秘ノート、私も見せてもらったの。そしたら、すごかったよ、スリーサイズの予想も生理の日も全部当たってたの!」

 ……。(絶句)

「末子ちゃんも一緒に行ってたんだけど、怖くて見れないって」

 いや、そりゃこえーよ。

「そのノート、女の子的には、シュレッダーにかけなくていいのか?」

「私も、そう言ったんだけど、パソコンにバックアップとってあるから無駄だって言われて」

 ……。(絶句)

「佐藤、それ、絶対に後井に言うなよ。アイツ、多分次はパソコンぶっ壊すから…あ、後井の方は大丈夫なのか?」

「登葉ちゃんは、昨日はすごい落ち込んでたって様子見に行った理子ちゃんが言ってたけど、今日の朝、寮の廊下ですれ違った時はもう大丈夫そうだったよ」

「そか。なら、いいんだが」

 後井でも、そりゃあ、へこむよな。昨日のあれは。それでも、一晩で気を持ち直したのは流石といったところだろう。

 というか、瑞浪は、ちょっとギャルっぽいし、気の強くて近寄りづらいところあるけど、根は友達思いでいい奴なんだよな。俺が風邪で学校休んだ日に、先生に頼まれたとか何とかでプリントを部屋まで届けてくれた日のことを思い出す。「別に、あんたのためじゃないんだからね!先生に頼まれただけなんだから!」って言ってたな。どんだけ王道ツンデレなんだよ。あの時は、危うく恋してしまいそうになったぜ。
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