11 / 40
11、王宮の事件
しおりを挟む
夜も更けたころ、街の中心部にある警備署ではアレンがニコニコしていた。ここは街の治安を担うところで、署員は街の住人や農村部からの出稼ぎの者でまかなわれている。署員がアレンの下に集まってきた。
「ご結婚おめでとうございます」
「ありがとう。今日は久しぶりの夜警だ、よろしく頼む。私はいつものように一人で行動する」
「分かりました。助かります」
アレンが入ると、二人が休めるのだ。
「これまでに、変わったところは?」
「特にありません」
アレンの代で24時間の四交代制になり、治安はぐっと良くなった。それまでは、辺境の地に流入してくるならず者が後を絶たなかった。少人数の低予算でまかなわれていたので、魔法使いも治安維持に駆り出されていた。今は給与もいいので、領地一帯から署員が集まるようになっていた。
「遅番の者はご苦労」
班長が引継ぎを終えると、アレンは勤務が終わった者をねぎらった。
夜警が始まり、それぞれがランタンを持って担当区域に出て行った。外には街灯が灯っている。これには魔法石が使われていた。ランタンは経費節約のためだが、それぞれが予備の明かり用の魔法石を持っている。
アレンも深夜の街を歩いた。空気は冷たかったが、以前とは違い今日は心地よく感じた。帰ればニナリアがいることで、心が温かかった。
朝、アレンは椅子に座って、眠っているニナリアを見ていた。アレンは着替えをこの部屋で済ませたが、ニナリアは起きなかった。
ニナリアは目を覚ますと、アレンに気が付いて驚いた。ひどい顔をしてなかったかなと心配になる。
「…お帰りなさい。お疲れ様でした」
「ここで寝たんだな」
「アレンの匂いがしないと落ち着かなくて。ははは…」
ニナリアは照れて小さく笑う。アレンはニナリアをぎゅっと抱きしめた。
「今日はお前がしてくれるのを、楽しみにしていたぞ」
「は、はい、頑張ります」(でいいのか?)
ニナリアは顔を赤くした。二人で朝食を取ると、ニナリアは念入りに歯磨きをした。セルマンには、仕事に少し遅れると伝えた。
「ごゆっくりしてくださいませ」
「はい…」
(なんか照れ臭いな)
アレンが寝やすいように部屋のカーテンを閉めたままにした。アレンは枕を背に座り、ニナリアがアレンの上になった。アレンの体にキスをする。
(私がアレンの体にキスをするなんて、変な感じ)
「くすぐったいな」(猫に舐められてるみたいだ)
アレンは少し笑った。ニナリアは恥ずかしくならないように、そのまま続けてアレンの上にまたがった。
「きれいだ」
「そんなこと、言われたことないです」
「他の奴は言わなくていい」
痩せていたニナリアの体は、ここに来てから女性らしくふっくらしてきた。その変化にアレンはほっとしていた。
「ニナリア、こっちに来てキスをしてくれ」
ニナリアは、アレンに深くキスをした。
「私がアレンを食べてるみたいです」
「そうだな、俺はお前に食べられた。……お前の気持ちが分かったな」
二人はまたキスをし、今度は長くしていた。ニナリアはアレンの上で横になった。
「お前は軽くて、ちょうどいい重さだ」
アレンはニナリアを抱きしめて、眠った。
(しまった。これは起きられない!)
この後仕事をしようと思ったのに、ニナリアも結局寝てしまった。
ニナリアが起きると、アレンは起きていた。
「もう! あの後仕事をするつもりだったんですよ」
ニナリアはポカッとアレンを叩いた。
「お前が逃げられないように、わざと抱きしめて寝たんだ。アハハ」
「あなたはもう少し寝てください」
「分かった。夜が楽しみだ」
「いいえ、今日はもうしたから、夜はなしです」
ニナリアは服を着ると部屋を出て行った。まだ昼前だった。
そのころ王宮では事件が起きていた。
「キャー!! 王女様がお倒れに!!」
侍女が叫び、アーシャ王女が昼食のテーブルで気を失っていた。王子が慌てて駆け付けた。数名の衛兵もあとに続いた。アーシャ王女の姿を見て顔面蒼白になる。
「どういうことだ!!」
「分かりません。お食事をされていて、突然お倒れに。お食事に、毒が入っていたのかもしれません…」
侍女は自分の身を案じて震えた。王子は王女の様子を確認すると、あることに気が付いた。王子は連れてきた衛兵に命令する。
「侍女を拘束しろ。すぐに侍医を呼べ!」
「はい!」
「私はやっていません! 本当です。お願いです!」
連れていかれる侍女は泣き叫んだ。衛兵が部屋の外で見張り、呼ばれた侍医が部屋に入っていった。
「ご結婚おめでとうございます」
「ありがとう。今日は久しぶりの夜警だ、よろしく頼む。私はいつものように一人で行動する」
「分かりました。助かります」
アレンが入ると、二人が休めるのだ。
「これまでに、変わったところは?」
「特にありません」
アレンの代で24時間の四交代制になり、治安はぐっと良くなった。それまでは、辺境の地に流入してくるならず者が後を絶たなかった。少人数の低予算でまかなわれていたので、魔法使いも治安維持に駆り出されていた。今は給与もいいので、領地一帯から署員が集まるようになっていた。
「遅番の者はご苦労」
班長が引継ぎを終えると、アレンは勤務が終わった者をねぎらった。
夜警が始まり、それぞれがランタンを持って担当区域に出て行った。外には街灯が灯っている。これには魔法石が使われていた。ランタンは経費節約のためだが、それぞれが予備の明かり用の魔法石を持っている。
アレンも深夜の街を歩いた。空気は冷たかったが、以前とは違い今日は心地よく感じた。帰ればニナリアがいることで、心が温かかった。
朝、アレンは椅子に座って、眠っているニナリアを見ていた。アレンは着替えをこの部屋で済ませたが、ニナリアは起きなかった。
ニナリアは目を覚ますと、アレンに気が付いて驚いた。ひどい顔をしてなかったかなと心配になる。
「…お帰りなさい。お疲れ様でした」
「ここで寝たんだな」
「アレンの匂いがしないと落ち着かなくて。ははは…」
ニナリアは照れて小さく笑う。アレンはニナリアをぎゅっと抱きしめた。
「今日はお前がしてくれるのを、楽しみにしていたぞ」
「は、はい、頑張ります」(でいいのか?)
ニナリアは顔を赤くした。二人で朝食を取ると、ニナリアは念入りに歯磨きをした。セルマンには、仕事に少し遅れると伝えた。
「ごゆっくりしてくださいませ」
「はい…」
(なんか照れ臭いな)
アレンが寝やすいように部屋のカーテンを閉めたままにした。アレンは枕を背に座り、ニナリアがアレンの上になった。アレンの体にキスをする。
(私がアレンの体にキスをするなんて、変な感じ)
「くすぐったいな」(猫に舐められてるみたいだ)
アレンは少し笑った。ニナリアは恥ずかしくならないように、そのまま続けてアレンの上にまたがった。
「きれいだ」
「そんなこと、言われたことないです」
「他の奴は言わなくていい」
痩せていたニナリアの体は、ここに来てから女性らしくふっくらしてきた。その変化にアレンはほっとしていた。
「ニナリア、こっちに来てキスをしてくれ」
ニナリアは、アレンに深くキスをした。
「私がアレンを食べてるみたいです」
「そうだな、俺はお前に食べられた。……お前の気持ちが分かったな」
二人はまたキスをし、今度は長くしていた。ニナリアはアレンの上で横になった。
「お前は軽くて、ちょうどいい重さだ」
アレンはニナリアを抱きしめて、眠った。
(しまった。これは起きられない!)
この後仕事をしようと思ったのに、ニナリアも結局寝てしまった。
ニナリアが起きると、アレンは起きていた。
「もう! あの後仕事をするつもりだったんですよ」
ニナリアはポカッとアレンを叩いた。
「お前が逃げられないように、わざと抱きしめて寝たんだ。アハハ」
「あなたはもう少し寝てください」
「分かった。夜が楽しみだ」
「いいえ、今日はもうしたから、夜はなしです」
ニナリアは服を着ると部屋を出て行った。まだ昼前だった。
そのころ王宮では事件が起きていた。
「キャー!! 王女様がお倒れに!!」
侍女が叫び、アーシャ王女が昼食のテーブルで気を失っていた。王子が慌てて駆け付けた。数名の衛兵もあとに続いた。アーシャ王女の姿を見て顔面蒼白になる。
「どういうことだ!!」
「分かりません。お食事をされていて、突然お倒れに。お食事に、毒が入っていたのかもしれません…」
侍女は自分の身を案じて震えた。王子は王女の様子を確認すると、あることに気が付いた。王子は連れてきた衛兵に命令する。
「侍女を拘束しろ。すぐに侍医を呼べ!」
「はい!」
「私はやっていません! 本当です。お願いです!」
連れていかれる侍女は泣き叫んだ。衛兵が部屋の外で見張り、呼ばれた侍医が部屋に入っていった。
17
あなたにおすすめの小説
【完結】言いつけ通り、夫となる人を自力で見つけました!
まりぃべる
恋愛
エーファ=バルヒェットは、父から十七歳になったからお見合い話を持ってこようかと提案された。
人に決められた人とより、自分が見定めた人と結婚したい!
そう思ったエーファは考え抜いた結果、引き籠もっていた侯爵領から人の行き交いが多い王都へと出向く事とした。
そして、思わぬ形で友人が出来、様々な人と出会い結婚相手も無事に見つかって新しい生活をしていくエーファのお話。
☆まりぃべるの世界観です。現実世界とは似ているもの、違うものもあります。
☆現実世界で似たもしくは同じ人名、地名があるかもしれませんが、全く関係ありません。
☆現実世界とは似ているようで違う世界です。常識も現実世界と似ているようで違います。それをご理解いただいた上で、楽しんでいただけると幸いです。
☆この世界でも季節はありますが、現実世界と似ているところと少し違うところもあります。まりぃべるの世界だと思って楽しんでいただけると幸いです。
☆書き上げています。
その途中間違えて投稿してしまいました…すぐ取り下げたのですがお気に入り入れてくれた方、ありがとうございます。ずいぶんとお待たせいたしました。
追放された地味なメイドは和菓子職人の記憶に目覚める 〜王子たちの胃袋を『あんこ』で掴んだら、王宮で極甘に溺愛されています〜
あとりえむ
恋愛
「起きなさい、この穀潰し!」
冷たい紅茶を浴びせられ、無実の罪で男爵家を追放された地味なメイド、ミア。
泥濘の中で力尽きようとしたその時、彼女の脳裏に鮮やかな記憶が蘇る。
それは、炊きたての小豆の香りと、丁寧にあんこを練り上げる職人としての誇り……
行き倒れたミアを救ったのは、冷徹と恐れられる第一王子ミハエルだった。
バターと生クリームの重いお菓子に胃を痛めていた王族たちの前に、ミアは前世の知恵を絞った未知のスイーツ『おはぎ』を差し出す。
「なんだ、この食感は……深く、そして優しい。ミア、お前は私の最高のパートナーだ」
小豆の魔法に魅了されたミハエルだけでなく、武闘派の第二王子やわがままな王女まで、気づけばミアを取り合う溺愛合戦が勃発!
一方で、有能なミアを失い、裏金のカラクリを解ける者がいなくなった男爵家は、自業自得の崩壊へと突き進んでいく。
泣いて謝っても、もう遅い。
彼らを待っていたのは、処刑よりも皮肉な「全土小豆畑の刑」だった……
これは、一粒の小豆から始まる、甘くて爽快な逆転シンデレラストーリー。
あなたの心も、あんこのように「まあるく」癒やしてみせます。
妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付
唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。
愛を忘れた令嬢が平民に扮した公爵子息様に娶られる話
rifa
恋愛
今まで虐げられ続けて育ち、愛を忘れてしまった男爵令嬢のミレー。
彼女の義妹・アリサは、社交パーティーで出会ったオリヴァーという公爵家の息子に魅了され、ミレーという義姉がいることを一層よく思わないようになる。
そこでミレーを暴漢に襲わせ、あわよくば亡き者にしようと企んでいたが、それを下町に住むグランという青年に助けられ失敗し、ミレーはグランの家で保護され、そのまま一緒に暮らすようになる。
そしてそのグランこそがアリサが結婚を望んだオリヴァーであり、ミレーと婚約することになる男性だった。
やがてグランが実は公爵家の人間であったと知ったミレーは、公爵家でオリヴァーの婚約者として暮らすことになる。
だが、ミレーを虐げ傷つけてきたアリサたちを許しはしないと、オリヴァーは密かに仕返しを目論んでいた。
※アリサは最後痛い目を見るので、アリサのファンは閲覧をオススメしません。
記憶をなくしても君は忘れない
水城ひさぎ
恋愛
本田光莉(ほんだひかり)、アメリカ・ロサンゼルス在住フォトグラファー、28歳。光莉には、松村理乃(まつむらりの)という同い年の異母姉がいる。行方不明になった理乃を探すため、日本へやってきた光莉は、高校時代の元カレ、月島拓海(つきしまたくみ)と再会する。しかし、彼は高校時代以降の記憶を喪失していた……。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
貧乏男爵令嬢のシンデレラストーリー
光子
恋愛
私の家は、貧乏な男爵家だった。
ツギハギだらけの服、履き潰した靴、穴の空いた靴下、一日一食しか出ない食事……でも、私は優しい義両親と、笑顔の可愛い義弟に囲まれて、幸せだった。
――――たとえ、家の為に働きに出ている勤め先で、どんな理不尽な目に合おうと、私は家族のために一生懸命働いていた。
貧乏でも、不幸だと思ったことなんて無い。
本当の両親を失い、孤独になった私を引き取ってくれた優しい義両親や義弟に囲まれて、私は幸せ。だけど……ほんの少しだけ、悔しいと……思ってしまった。
見返したい……誰か、助けて欲しい。なんて、思ってしまったの。
まさかその願いが、現実に叶うとは思いもしなかったのに――
いかにも高級で綺麗なドレスは、私だけに作られた一点もの。シンデレラのガラスの靴のような光輝く靴に、身につけるのはどれも希少で珍しい宝石達で作られたアクセサリー。
いつもと違う私の装いを見たご令嬢は、目を丸くして、体を震わせていた。
「な……なんなんですか、その格好は……!どうして、キアナが……貴女なんて、ただの、貧乏男爵令嬢だったのに―――!」
そうですね。以前までの私は、確かに貧乏男爵令嬢でした。
でも、今は違います。
「今日ここに、我が息子フィンと、エメラルド公爵令嬢キアナの婚約を発表する!」
貧乏な男爵令嬢は、エメラルド公爵令嬢、そして、この国の第二王子であるフィン殿下の婚約者になって、貴方達とは住む世界が違ってしまいました。
どうぞ、私には二度と関わらないで下さい。
そして――――罪を認め、心から反省して下さい。
私はこのまま、華麗なシンデレラストーリーを歩んでいきます。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。魔物もいます。魔法も使います。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
老婆令嬢と呼ばれた私ですが、死んで灰になりました。~さあ、華麗なる復讐劇をお見せしましょうか!~
ミィタソ
恋愛
ノブルス子爵家の長女マーガレットは、幼い頃から頭の回転が早く、それでいて勉強を怠らない努力家。さらに、まだ少しも磨かれていないサファイアの原石を彷彿とさせる、深い美しさを秘めていた。
婚約者も決まっており、相手はなんと遥か格上の侯爵家。それも長男である。さらに加えて、王都で噂されるほどの美貌の持ち主らしい。田舎貴族のノブルス子爵家にとって、奇跡に等しい縁談であった。
そして二人は結婚し、いつまでも幸せに暮らしましたとさ……と、なればよかったのだが。
新婚旅行の当日、マーガレットは何者かに殺されてしまった。
しかし、その数日後、マーガレットは生き返ることになる。
全財産を使い、蘇りの秘薬を購入した人物が現れたのだ。
信頼できる仲間と共に復讐を誓い、マーガレットは王国のさらなる闇に踏み込んでいく。
********
展開遅めですが、最後までお付き合いいただければ、びっくりしてもらえるはず!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる