1 / 26
第一話
予約
しおりを挟む
バックヤードの薄暗い中、手にしたスマホの灯りが、私の顔を薄っすらと照らしている。
電話のコール音が数回聞こえ、相手が出た音がした。
「予約お願いしたいんですけど。」
月に一回通っている美容室に、予約の電話をいれる。
『はい、ありがとうございます。カードの番号とお名前いただけますか』
「50019 早瀬 杏子です。」
『お日にちは、いつになさいますか?』
「今日の夕方って大丈夫ですか?」
『ご希望の担当者は?』
「黒川さんで」
『確認しますので、少しお待ちください』
保留音はハワイアン。季節に関係なくハワイアン。そろそろクリスマスの商品が店頭に並びはじめてるのに。
『お待たせしました。夕方でしたら5時からいかがでしょう?』
「はい、お願いします。」
『今日はいかがなさいますか?』
「カットとヘッドスパで」
これで、今日が乗りきれる。
これで、一ヶ月乗りきれる。
「はぁぁっ」
思わず大きなため息が出てしまう。
今日は朝から、(というか、正確には昨日の夕方から)あまりにも凹むことが続いて、もうエネルギー不足。
たまらず、トイレ休憩に逃亡。
さすがに泣くほどではないけど、自己嫌悪MAX。でも、美容室予約したことで、今日の終わりが見えた。
さあ、再び戦場に向かわなくちゃ、とスマホを握りしめ、気合いを入れた。
「よしっ!」
バックヤードからフロアに入るドアを開けた。
予約前よりも、少しは『マシ』になっただろうか。
電話のコール音が数回聞こえ、相手が出た音がした。
「予約お願いしたいんですけど。」
月に一回通っている美容室に、予約の電話をいれる。
『はい、ありがとうございます。カードの番号とお名前いただけますか』
「50019 早瀬 杏子です。」
『お日にちは、いつになさいますか?』
「今日の夕方って大丈夫ですか?」
『ご希望の担当者は?』
「黒川さんで」
『確認しますので、少しお待ちください』
保留音はハワイアン。季節に関係なくハワイアン。そろそろクリスマスの商品が店頭に並びはじめてるのに。
『お待たせしました。夕方でしたら5時からいかがでしょう?』
「はい、お願いします。」
『今日はいかがなさいますか?』
「カットとヘッドスパで」
これで、今日が乗りきれる。
これで、一ヶ月乗りきれる。
「はぁぁっ」
思わず大きなため息が出てしまう。
今日は朝から、(というか、正確には昨日の夕方から)あまりにも凹むことが続いて、もうエネルギー不足。
たまらず、トイレ休憩に逃亡。
さすがに泣くほどではないけど、自己嫌悪MAX。でも、美容室予約したことで、今日の終わりが見えた。
さあ、再び戦場に向かわなくちゃ、とスマホを握りしめ、気合いを入れた。
「よしっ!」
バックヤードからフロアに入るドアを開けた。
予約前よりも、少しは『マシ』になっただろうか。
0
あなたにおすすめの小説
罪悪と愛情
暦海
恋愛
地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。
だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
今宵、薔薇の園で
天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。
しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。
彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。
キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。
そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。
彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。
【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから
えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。
※他サイトに自立も掲載しております
21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
運命の番より真実の愛が欲しい
サトウミ
恋愛
田舎娘のゾーイは龍族の王子・シャウロンの『運命の番』だった。
ロマンチックな恋を夢見るゾーイは『運命の番』であるシャウロンと会えるのを楽しみにしていた。
しかし、シャウロンはゾーイに対して素っ気ない。
運命の番だからといって、必ずしも愛し合う関係だとは限らないらしい。
それを悟ったゾーイは、シャウロンのもとから去ることを決意した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる