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第一話
疲労、そして記憶
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今日のシフトが早上がりで助かった。
昼抜きなのは少しつらいけど、いつもなら、ランチタイムを外せて、ゆっくり食事ができる。
でも、今日は予約してる時間に間に合わせるために、駅のコーヒーショップで軽くすませた。
予約時間まで、少し余裕があるものの、仕事上がりでボロボロの顔で、黒川 智信とは、会えない。どんなに綺麗に化粧しても、あの人には見抜かれるのはわかってる。
あの人の前にいる私は、あの頃の子供の私じゃないって、思ってほしい。
――少しでも綺麗な私でいたいから。
疲れのたまった足は、むくみまくりで、駅ビルの化粧室で軽くもんでみたところで、太さは変わらない。
少し汗ばんだ首筋に、パウダーシートをあてる。
「ふぅっ」
倉庫と店舗の往復で、こんな季節なのに、汗まみれ。
ひんやりした感触と、ほんのりとみずみずしい香り。
そして、厚塗りにならなように気を付けながら、ファンデーションで疲れを隠す。
試しに、笑顔になってみても、鏡の私は、ひきつった笑顔を返してくる。
「はぁぁぁっ」
だめじゃん。大きな溜息が出る。
黒川さんとの出会いは、小学校時代までさかのぼる。
彼は近所に住んでいたお兄さんだった。
小学校一年生のとき、集団登校しているときのリーダーで、よく私の面倒をみてくれていた。
その年は、一年生は私だけだったから、余計に気に掛けてくれたのかもしれない。
幼稚園からあがったばかりの一年生からみれば、六年生なんてものは大人で、恐れ多い存在だった。
でも、いつも気にかけてくれた彼は、とても優しい人で、私にとっての初恋の人だった。
正直、幼馴染というには、年齢も家も離れていた。
集団登校が組まれることがなければ、顔も合わせなかったかもしれない。
そんな彼とは、当然、私の成長とともに同じ時間や場所を過ごす機会はなくなった。
たまたま、仕事帰りに飛び込んだ美容室に、黒川さんがいたのだ。
昼抜きなのは少しつらいけど、いつもなら、ランチタイムを外せて、ゆっくり食事ができる。
でも、今日は予約してる時間に間に合わせるために、駅のコーヒーショップで軽くすませた。
予約時間まで、少し余裕があるものの、仕事上がりでボロボロの顔で、黒川 智信とは、会えない。どんなに綺麗に化粧しても、あの人には見抜かれるのはわかってる。
あの人の前にいる私は、あの頃の子供の私じゃないって、思ってほしい。
――少しでも綺麗な私でいたいから。
疲れのたまった足は、むくみまくりで、駅ビルの化粧室で軽くもんでみたところで、太さは変わらない。
少し汗ばんだ首筋に、パウダーシートをあてる。
「ふぅっ」
倉庫と店舗の往復で、こんな季節なのに、汗まみれ。
ひんやりした感触と、ほんのりとみずみずしい香り。
そして、厚塗りにならなように気を付けながら、ファンデーションで疲れを隠す。
試しに、笑顔になってみても、鏡の私は、ひきつった笑顔を返してくる。
「はぁぁぁっ」
だめじゃん。大きな溜息が出る。
黒川さんとの出会いは、小学校時代までさかのぼる。
彼は近所に住んでいたお兄さんだった。
小学校一年生のとき、集団登校しているときのリーダーで、よく私の面倒をみてくれていた。
その年は、一年生は私だけだったから、余計に気に掛けてくれたのかもしれない。
幼稚園からあがったばかりの一年生からみれば、六年生なんてものは大人で、恐れ多い存在だった。
でも、いつも気にかけてくれた彼は、とても優しい人で、私にとっての初恋の人だった。
正直、幼馴染というには、年齢も家も離れていた。
集団登校が組まれることがなければ、顔も合わせなかったかもしれない。
そんな彼とは、当然、私の成長とともに同じ時間や場所を過ごす機会はなくなった。
たまたま、仕事帰りに飛び込んだ美容室に、黒川さんがいたのだ。
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