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第10章
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俺たちはジョイソンさんの伝手で、知り合いの宿屋に泊まることになった。
そして翌日には、ノドルドン商会の馬車でカイドンの街まで送ってくれるらしい。子供の俺を抱えて走ってるというのを聞いて、ジョイソンさんに激怒されたからだ。
俺の方にしてみれば、すでに慣れてしまったけれど、よくよく考えてみれば、魔物とか盗賊とかに襲われた時に、手が空いてないほうが危険なのだ。今までは運よく、そういう目には会わずに済んでいたけど。
「入口の衛兵でもわかるように、なぜかエルフの子供の探索に王家が関わりだしたそうです。理由はわかりませんけどね」
ジョイソンさん曰く、これから先、俺が一緒だと、どこで誰が絡んでくるかわからないだろう、とのこと。
なんだって王家が? と俺ですら思う。
もう嫌な予感しかしない。
夕食は俺のこともあるからと、アーロンが食堂から食べ物を受け取ってきてくれた。
「ありがとう、アーロン」
「いいから、いいから。久々に旨い料理なんだ。しっかり食え」
「うん」
野営で食えるのなんて、干し肉くらい。たぶん、アーロン一人だったら狩りにでも行って、獲物をとってくるくらい朝飯前なんだろうけど、俺がいるせいで、それもままならなかった。
目の前に出された具だくさんの赤いスープ。ミネストローネのような懐かしい味に、少しだけホッとする。あちらの世界で母親に作ってもらった……わけではない。自分で缶詰のミネストローネを温めただけ。でも、印象に残ってるくらいには、好きだった味だ。
「そうだ、さっき、話が途中だったな」
「?」
「ほら、フードをとった時のハルの容貌が違ったって話」
「ああ!」
そういえばそうだった。
「でも、俺、何もしてないんだけど……」
『そりゃぁ、光の精霊のおかげさ!』
「え?」
「うん? どうした、ハル」
俺は不意にエアーの言葉に声を出してしまった。
いやいやいや、光の精霊って、何。そんなの、俺、お願いしてないけど。
『光の精霊たちも、ハルの手伝いがしたいんだってさ』
「マジで?」
『ああ。俺は俺だけがいればいいって思うんだけどさぁ……さっきみたいなのは、俺にはできない』
「ハル、さっきからどうした?」
エアーと会話をしている俺に、アーロンが心配そうな顔になる。
「え、あ、えーと」
どう答えればいいのか、悩んでいると。
『ハル、こいつは大丈夫だろ。火の精霊の加護を持ってる。いい奴だ』
「え、火の精霊!?」
「な、どうした!?」
俺はエアーとアーロン、両方を見比べてから、腹を決めた。
「あ、あのさ、アーロンは精霊とかって信じる?」
「なんだ、突然。精霊様を信じない獣人はいないぞ?」
「うん?」
「うちの一族は、火の精霊様の加護をいただく一族だしな」
「あ、やっぱり、そうなのか」
俺は手にしていたスプーンをスープのカップに戻すと、アーロンに目を向けた。
「あのな? 俺、なんか、風の精霊に気に入られちゃったみたいでさ……そこにいるんだよね」
「は?」
「いや、その風の精霊が、アーロンはいい奴だから、教えてもいいって」
「な、なんだって!?」
大声をあげたアーロンだったけれど、すぐに自分の口を抑えて、キョロキョロ見回す。
「こ、ここに精霊様がいるってぇのか」
「う、うん。俺にしか声も姿も見えないみたいなんだけど……」
「……なんてこった!」
しばらくアーロンは固まってしまったので、俺は先にスープを飲み干すことにした。
そして翌日には、ノドルドン商会の馬車でカイドンの街まで送ってくれるらしい。子供の俺を抱えて走ってるというのを聞いて、ジョイソンさんに激怒されたからだ。
俺の方にしてみれば、すでに慣れてしまったけれど、よくよく考えてみれば、魔物とか盗賊とかに襲われた時に、手が空いてないほうが危険なのだ。今までは運よく、そういう目には会わずに済んでいたけど。
「入口の衛兵でもわかるように、なぜかエルフの子供の探索に王家が関わりだしたそうです。理由はわかりませんけどね」
ジョイソンさん曰く、これから先、俺が一緒だと、どこで誰が絡んでくるかわからないだろう、とのこと。
なんだって王家が? と俺ですら思う。
もう嫌な予感しかしない。
夕食は俺のこともあるからと、アーロンが食堂から食べ物を受け取ってきてくれた。
「ありがとう、アーロン」
「いいから、いいから。久々に旨い料理なんだ。しっかり食え」
「うん」
野営で食えるのなんて、干し肉くらい。たぶん、アーロン一人だったら狩りにでも行って、獲物をとってくるくらい朝飯前なんだろうけど、俺がいるせいで、それもままならなかった。
目の前に出された具だくさんの赤いスープ。ミネストローネのような懐かしい味に、少しだけホッとする。あちらの世界で母親に作ってもらった……わけではない。自分で缶詰のミネストローネを温めただけ。でも、印象に残ってるくらいには、好きだった味だ。
「そうだ、さっき、話が途中だったな」
「?」
「ほら、フードをとった時のハルの容貌が違ったって話」
「ああ!」
そういえばそうだった。
「でも、俺、何もしてないんだけど……」
『そりゃぁ、光の精霊のおかげさ!』
「え?」
「うん? どうした、ハル」
俺は不意にエアーの言葉に声を出してしまった。
いやいやいや、光の精霊って、何。そんなの、俺、お願いしてないけど。
『光の精霊たちも、ハルの手伝いがしたいんだってさ』
「マジで?」
『ああ。俺は俺だけがいればいいって思うんだけどさぁ……さっきみたいなのは、俺にはできない』
「ハル、さっきからどうした?」
エアーと会話をしている俺に、アーロンが心配そうな顔になる。
「え、あ、えーと」
どう答えればいいのか、悩んでいると。
『ハル、こいつは大丈夫だろ。火の精霊の加護を持ってる。いい奴だ』
「え、火の精霊!?」
「な、どうした!?」
俺はエアーとアーロン、両方を見比べてから、腹を決めた。
「あ、あのさ、アーロンは精霊とかって信じる?」
「なんだ、突然。精霊様を信じない獣人はいないぞ?」
「うん?」
「うちの一族は、火の精霊様の加護をいただく一族だしな」
「あ、やっぱり、そうなのか」
俺は手にしていたスプーンをスープのカップに戻すと、アーロンに目を向けた。
「あのな? 俺、なんか、風の精霊に気に入られちゃったみたいでさ……そこにいるんだよね」
「は?」
「いや、その風の精霊が、アーロンはいい奴だから、教えてもいいって」
「な、なんだって!?」
大声をあげたアーロンだったけれど、すぐに自分の口を抑えて、キョロキョロ見回す。
「こ、ここに精霊様がいるってぇのか」
「う、うん。俺にしか声も姿も見えないみたいなんだけど……」
「……なんてこった!」
しばらくアーロンは固まってしまったので、俺は先にスープを飲み干すことにした。
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