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エリーゼが男爵令嬢の教科書を捨てた。エリーゼが男爵令嬢を突き飛ばした。エリーゼが男爵令嬢を……と、言った風なひどい噂。
元々嫌われやすい性格のエリーゼに悪い噂はつきものだったが、たったひとりに集中した噂はなかった。だからこそ曖昧で、そこまで大きくなる噂でもなかったが、ここに来てひとりに集中した噂は真実味を帯びて濃くなった。
もちろん、エリーゼは半分無実だ。教科書は捨てたのではなく、男爵令嬢がいつしかの仕返しか挑発したようで、エリーゼが怒りのままに破いたようだし、突き飛ばしたのはエリーゼがつまずいて転んだのに男爵令嬢が巻き込まれただけ。
その他にも色々あるが、どれも誤解だし、エリーゼの暴走はあれど冷静に見れば大抵は男爵令嬢が悪いのはわかる話。
寧ろ何故男爵令嬢がエリーゼに近づくことを誰も不思議に思わないのか。この国の貴族はバカしかいないのかもしれない。
まあ、エリーゼのバカさ加減は愛らしいから別物だが。
それはそれとして男爵令嬢の行き過ぎた行為もそうだが、それ以上に不快な噂を耳にした。
『王太子は今の婚約者と婚約を破棄したいと考えており、男爵令嬢に想いを寄せている』
そんなありえない噂を。
流した者も許せないが、それを信じるバカたちを全員殺して回ろうかとすら思った。この噂のせいでいつも陰で誰に何を言われようと自信満々に耐えていたエリーゼが泣いたのだから。
「でんかぁ………っ噂は、ほんとう………ですの……っ?」
「そんなはずがない!すまない、私の動きが遅いばかりに不安にさせたね」
「うう………っ」
私を想いながら涙を流すエリーゼも愛おしいが、やはりエリーゼには笑っていてほしい。何より私以外がエリーゼを泣かせる権利など与えたつもりはない。
エリーゼを泣かせた元凶たちは始末しなければ。
「安心して、エリーゼ。私が君の憂いを払おう。だから、もう君を悪く言う噂を気にしないと止めないでくれ……いや、止めても言うことを聞けそうにない」
最初からエリーゼの噂をする者を片付けていれば泣かせることもなかったのに。
人の思いを理解してこなかった代償がその時になって始めてズシリと重みを感じた。私は誰に何を言われようと気にはならなかったから。まあ、目の前で遠回しにバカにするような阿呆は立場上舐められても仕事が増えかねないと対処をしなかったわけではないが、あくまで無視できないものに限った。
大抵は私へ媚びを売る親を見て嫉妬した子供の反発と、子供ながらに大人顔負けの行動をするとして恐れる大人たちによるものが大半。子供に関しては成長するに連れて身分を弁えてなくなったものの、それならそれでエリーゼに対しても弁えろという話だが、バカには王太子以外の身分は一緒と意味のわからない理解しかできないのかもしれない。
でなければそもそも男爵令嬢が被害者のような噂が広まるはずもないのだから。
元々嫌われやすい性格のエリーゼに悪い噂はつきものだったが、たったひとりに集中した噂はなかった。だからこそ曖昧で、そこまで大きくなる噂でもなかったが、ここに来てひとりに集中した噂は真実味を帯びて濃くなった。
もちろん、エリーゼは半分無実だ。教科書は捨てたのではなく、男爵令嬢がいつしかの仕返しか挑発したようで、エリーゼが怒りのままに破いたようだし、突き飛ばしたのはエリーゼがつまずいて転んだのに男爵令嬢が巻き込まれただけ。
その他にも色々あるが、どれも誤解だし、エリーゼの暴走はあれど冷静に見れば大抵は男爵令嬢が悪いのはわかる話。
寧ろ何故男爵令嬢がエリーゼに近づくことを誰も不思議に思わないのか。この国の貴族はバカしかいないのかもしれない。
まあ、エリーゼのバカさ加減は愛らしいから別物だが。
それはそれとして男爵令嬢の行き過ぎた行為もそうだが、それ以上に不快な噂を耳にした。
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そんなありえない噂を。
流した者も許せないが、それを信じるバカたちを全員殺して回ろうかとすら思った。この噂のせいでいつも陰で誰に何を言われようと自信満々に耐えていたエリーゼが泣いたのだから。
「でんかぁ………っ噂は、ほんとう………ですの……っ?」
「そんなはずがない!すまない、私の動きが遅いばかりに不安にさせたね」
「うう………っ」
私を想いながら涙を流すエリーゼも愛おしいが、やはりエリーゼには笑っていてほしい。何より私以外がエリーゼを泣かせる権利など与えたつもりはない。
エリーゼを泣かせた元凶たちは始末しなければ。
「安心して、エリーゼ。私が君の憂いを払おう。だから、もう君を悪く言う噂を気にしないと止めないでくれ……いや、止めても言うことを聞けそうにない」
最初からエリーゼの噂をする者を片付けていれば泣かせることもなかったのに。
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