6 / 55
本編完結(年齢制限無し)
ようやく学園、弟も婚約者も同じ学年?
しおりを挟む
ついに来た学園生活。学園生活はイベントが盛りだくさん。トアのために俺はゲーム通りにした。一般的に13歳で入学の学園。俺も13歳、この世界での入学式は1月でどうも前世とは違うようだ。この5年間の内、1年は時々アイリス嬢をトアに会わせ、後4年は俺がアイリス嬢に会いに行くことで会わせなくした。
トアも剣や魔法も加わり、休憩時間はひそかになり、俺自身も全く会わなくなった。恐らく父が手を回したんだろう。それでもトアがどうしているか聞くことくらいは許してもらえた。
だから驚いたものだ。父が手を回して会わせないようにしたのに、ちょうどよく勉強過程が被ったからと俺の入学式に、トアも入学するのだから。ついでに強制力かわからないが、俺の婚約者も優秀らしく、10歳にして同じく入学だ。一番年上ないのに情けない。
というわけで、久々のトアとの再会は入学式。平等主義の学園では家名の地位順ではなく、家名のあ~わ行の順となり、同じ家名のトアとは隣同士。
8歳になり、最年少で一番小さく目立つトアは、ちらちらと緊張した様子で俺を見てくるのが丸わかりで4年ぶりなのもあり、弟の可愛さに悶えそうになる。本当、前世よく弟を前にしてあんな暴言吐けたな俺と思うくらいにはブラコンになりつつあるのを自覚している。
まあ久々だし、いいか。と軽い気持ちで、トアの膝の上で握り締めている手を包むようにして握ってやれば、びくっと面白いくらいに動揺し、困惑した表情でこちらを見てきたので、ついおかしくて声を抑えて笑ってしまった。
俺でこうならヒロインのアイリス嬢にはどんな風になるのだろうとつい想像してしまう。
そんな可愛い弟を愛でてる内に、入学式が終わり、ようやくアイリス嬢とトアの再会イベントだと思っていれば、トアに引っ張られ人気のない校舎裏へ。入学式だし、迷子だろうか?ここから出て正門まで行かないと再会イベントが果たされない。俺を待つアイリス嬢が先にトアと会うことで果たされるわけだから、まず俺が離れなければいけないわけだが。
この時点でリーアベルをアイリス嬢が待つ理由が、婚約者とわからなかった俺はバカなのかもしれない。他にこのゲームをしていた人たちは勘づいていたのだろうか。それともリーアベルの婚約者である表示がゲームであったりしたのだろうか。
「兄上、お久しぶりです。あの………えっと」
「久しぶり。どうも父上がトアと俺を会わせないように手を回していたみたいだ。でも、トアがどうしているかを聞く分には許してもらえていたし、頑張っているのも聞いている」
「父上が………」
聞きたいことは合っていたようだ。入学式中にも思ったが、どうやらまだ俺は嫌われてないみたいだ。3歳時のことなんてそれこそすぐに忘れて、トアと違い大したこともできないリーアベルなどすぐ嫌うと思ったんだけど。
正直トアに嘘はつきたくないし、嫌われているならともかく、まだ構っていた時のことを覚えている上で慕ってくれているのなら、自分から避けたなど悪いよう言って傷つけたくはない。あくまで俺はトアを傷つけずに幸せにしたいのだから。
「剣も魔法もその年じゃありえないくらいにできてるんだとか。すごい頑張ったんだなぁ」
「あ………王になりたいから」
「既に次期王としての自覚もあるのか。さすがだな。王になってしたいことでもあるのか?」
「兄上を………」
「俺を?」
「えっと………兄上とリトレーン嬢の婚約破棄を」
「なるほど………トアはアイリス嬢に既に恋しているのか」
思った以上に進展が早いな。
「ち、違います!誰があんな女………じゃなくて、兄上をとられたくないんです!」
なんとも可愛い理由だった。なるほど、婚約者のアイリス嬢が来てから俺と二人の時間がなくなり、さらに4年も会えなかったことで、アイリス嬢に俺がとられたと感じたのか。いや、アイリス嬢への恋が無自覚でそう思い込んでいる可能性もあるか?本当はアイリス嬢を俺に渡したくない気持ちから?
うんうん、どうやら順調のようだ。
「なら頑張らないとな。そろそろ行くよ。アイリス嬢を待たせてるから。なんなら俺が行く前に会って言うか?俺との婚約を破棄させること宣言」
「い、いいのですか?」
「いいよ。その方がやる気も出るだろ」
「はい!」
これで後は俺がトアを避け、トアとアイリス嬢の二人の時間を作りやすくし、アイリス嬢に嫌がらせを開始すれば、アイリス嬢がトアを頼り、トアが俺を嫌い、王になるまで待てないとアイリス嬢を父上に頼み込んで婚約者にすれば、アイリス嬢を殺すフリをすることで、アイリス嬢を失うかもしれないという感情から、より深い愛に目覚め、俺を処刑し、より固い婚約で成人後結婚し、誰もが羨む夫婦となりトアの幸せが続くことになるだろう。
完璧なストーリーである。トアの幸せを見続けられないのだけが残念だけど。
トアも剣や魔法も加わり、休憩時間はひそかになり、俺自身も全く会わなくなった。恐らく父が手を回したんだろう。それでもトアがどうしているか聞くことくらいは許してもらえた。
だから驚いたものだ。父が手を回して会わせないようにしたのに、ちょうどよく勉強過程が被ったからと俺の入学式に、トアも入学するのだから。ついでに強制力かわからないが、俺の婚約者も優秀らしく、10歳にして同じく入学だ。一番年上ないのに情けない。
というわけで、久々のトアとの再会は入学式。平等主義の学園では家名の地位順ではなく、家名のあ~わ行の順となり、同じ家名のトアとは隣同士。
8歳になり、最年少で一番小さく目立つトアは、ちらちらと緊張した様子で俺を見てくるのが丸わかりで4年ぶりなのもあり、弟の可愛さに悶えそうになる。本当、前世よく弟を前にしてあんな暴言吐けたな俺と思うくらいにはブラコンになりつつあるのを自覚している。
まあ久々だし、いいか。と軽い気持ちで、トアの膝の上で握り締めている手を包むようにして握ってやれば、びくっと面白いくらいに動揺し、困惑した表情でこちらを見てきたので、ついおかしくて声を抑えて笑ってしまった。
俺でこうならヒロインのアイリス嬢にはどんな風になるのだろうとつい想像してしまう。
そんな可愛い弟を愛でてる内に、入学式が終わり、ようやくアイリス嬢とトアの再会イベントだと思っていれば、トアに引っ張られ人気のない校舎裏へ。入学式だし、迷子だろうか?ここから出て正門まで行かないと再会イベントが果たされない。俺を待つアイリス嬢が先にトアと会うことで果たされるわけだから、まず俺が離れなければいけないわけだが。
この時点でリーアベルをアイリス嬢が待つ理由が、婚約者とわからなかった俺はバカなのかもしれない。他にこのゲームをしていた人たちは勘づいていたのだろうか。それともリーアベルの婚約者である表示がゲームであったりしたのだろうか。
「兄上、お久しぶりです。あの………えっと」
「久しぶり。どうも父上がトアと俺を会わせないように手を回していたみたいだ。でも、トアがどうしているかを聞く分には許してもらえていたし、頑張っているのも聞いている」
「父上が………」
聞きたいことは合っていたようだ。入学式中にも思ったが、どうやらまだ俺は嫌われてないみたいだ。3歳時のことなんてそれこそすぐに忘れて、トアと違い大したこともできないリーアベルなどすぐ嫌うと思ったんだけど。
正直トアに嘘はつきたくないし、嫌われているならともかく、まだ構っていた時のことを覚えている上で慕ってくれているのなら、自分から避けたなど悪いよう言って傷つけたくはない。あくまで俺はトアを傷つけずに幸せにしたいのだから。
「剣も魔法もその年じゃありえないくらいにできてるんだとか。すごい頑張ったんだなぁ」
「あ………王になりたいから」
「既に次期王としての自覚もあるのか。さすがだな。王になってしたいことでもあるのか?」
「兄上を………」
「俺を?」
「えっと………兄上とリトレーン嬢の婚約破棄を」
「なるほど………トアはアイリス嬢に既に恋しているのか」
思った以上に進展が早いな。
「ち、違います!誰があんな女………じゃなくて、兄上をとられたくないんです!」
なんとも可愛い理由だった。なるほど、婚約者のアイリス嬢が来てから俺と二人の時間がなくなり、さらに4年も会えなかったことで、アイリス嬢に俺がとられたと感じたのか。いや、アイリス嬢への恋が無自覚でそう思い込んでいる可能性もあるか?本当はアイリス嬢を俺に渡したくない気持ちから?
うんうん、どうやら順調のようだ。
「なら頑張らないとな。そろそろ行くよ。アイリス嬢を待たせてるから。なんなら俺が行く前に会って言うか?俺との婚約を破棄させること宣言」
「い、いいのですか?」
「いいよ。その方がやる気も出るだろ」
「はい!」
これで後は俺がトアを避け、トアとアイリス嬢の二人の時間を作りやすくし、アイリス嬢に嫌がらせを開始すれば、アイリス嬢がトアを頼り、トアが俺を嫌い、王になるまで待てないとアイリス嬢を父上に頼み込んで婚約者にすれば、アイリス嬢を殺すフリをすることで、アイリス嬢を失うかもしれないという感情から、より深い愛に目覚め、俺を処刑し、より固い婚約で成人後結婚し、誰もが羨む夫婦となりトアの幸せが続くことになるだろう。
完璧なストーリーである。トアの幸せを見続けられないのだけが残念だけど。
539
あなたにおすすめの小説
弟が兄離れしようとしないのですがどうすればいいですか?~本編~
荷居人(にいと)
BL
俺の家族は至って普通だと思う。ただ普通じゃないのは弟というべきか。正しくは普通じゃなくなっていったというべきか。小さい頃はそれはそれは可愛くて俺も可愛がった。実際俺は自覚あるブラコンなわけだが、それがいけなかったのだろう。弟までブラコンになってしまった。
これでは弟の将来が暗く閉ざされてしまう!と危機を感じた俺は覚悟を持って……
「龍、そろそろ兄離れの時だ」
「………は?」
その日初めて弟が怖いと思いました。
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。
人間嫌いの公爵様との契約期間が終了したので離婚手続きをしたら夫の執着と溺愛がとんでもないことになりました
荷居人(にいと)
BL
第12回BL大賞奨励賞作品3/2完結。
人間嫌いと言われた公爵様に嫁いで3年。最初こそどうなるかと思ったものの自分としては公爵の妻として努力してきたつもりだ。
男同士でも結婚できる時代とはいえ、その同性愛結婚の先駆けの1人にされた僕。なんてことを言いつつも、嫌々嫁いだわけじゃなくて僕は運良く好きになった人に嫁いだので政略結婚万歳と今でも思っている。
だけど相手は人嫌いの公爵様。初夜なんて必要なことを一方的に話されただけで、翌日にどころかその日にお仕事に行ってしまうような人だ。だから使用人にも舐められるし、割と肩身は狭かった。
いくら惚れた相手と結婚できてもこれが毎日では参ってしまう。だから自分から少しでも過ごしやすい日々を送るためにそんな夫に提案したのだ。
三年間白い結婚を続けたら必ず離婚するから、三年間仕事でどうしても時間が取れない日を除いて毎日公爵様と関わる時間がほしいと。
どんなに人嫌いでも約束は守ってくれる人だと知っていたからできた提案だ。この契約のおかげで毎日辛くても頑張れた。
しかし、そんな毎日も今日で終わり。これからは好きな人から離れた生活になるのは残念なものの、同時に使用人たちからの冷遇や公爵様が好きな令嬢たちの妬みからの辛い日々から解放されるので悪い事ばかりではない。
最近は関わる時間が増えて少しは心の距離が近づけたかなとは思ったりもしたけど、元々噂されるほどの人嫌いな公爵様だから、契約のせいで無駄な時間をとらされる邪魔な僕がいなくなって内心喜んでいるかもしれない。それでもたまにはあんな奴がいたなと思い出してくれたら嬉しいなあ、なんて思っていたのに……。
「何故離婚の手続きをした?何か不満でもあるのなら直す。だから離れていかないでくれ」
「え?」
なんだか公爵様の様子がおかしい?
「誰よりも愛している。願うなら私だけの檻に閉じ込めたい」
「ふぇっ!?」
あまりの態度の変わりように僕はもうどうすればいいかわかりません!!
弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
推しカプのために当て馬ヤンデレキャラを演じていたら、展開がおかしくなってきた
七瀬おむ
BL
■BL小説の世界に転生した腐男子が、推しカプのために「当て馬ヤンデレキャラ」を演じていたら、なぜか攻めに執着される話。
■だんだん執着してくる美形生徒会長×当て馬ヤンデレキャラを演じる腐男子
美形×平凡/執着攻め/ハッピーエンド/勘違い・すれ違い
《あらすじ》
伯爵家の令息であるアルト・リドリーは、幼い頃から療養のため家に籠っていた。成長と共に体調が安定し、憧れていた魔法学園への途中入学が決まったアルトは、学園への入学当日、前世を思い出す。
この世界は前世で読んでいた「学園モノのBL小説」であり、アルトは推しカプの「攻め」であるグレン・アディソンに好意を寄せる、当て馬ヤンデレキャラだったのだ。アルトは「美形クール攻め×平民の美少年」という推しカプを成立させるため、ヤンデレ当て馬キャラを演じることを決意する。
アルトはそれからグレンに迫り、本人としては完璧に「ヤンデレ」を演じていた。しかし、そもそも病んでいないアルトは、だんだん演技にボロがではじめてしまう。そんな中、最初は全くアルトに興味がなかったグレンも、アルトのことが気になってきて…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる