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本編完結(年齢制限無し)
婚約イベント失敗
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「兄上がどう君に嫌がらせをしたか話してくれる?」
おかしい、何かがおかしい。
「は、はい ………っ教科書を破られ、靴を捨てられ、服に泥をつけられましたわっ」
ヒロインが泣きながら俺の弟に訴える。これは嘘ではないし、本来俺が知るシナリオでは、弟がヒロインに親身になって冷たく見るのは俺のはず。
なのに、何故弟は俺に抱きつきながらヒロインを冷めた目で見ているのか。信じてないんだろうか?寧ろ怒りすら感じるのは気のせいか?
「へぇ………で?」
「え……あの……?」
ここで本来なら弟がいい加減にしろと俺に冷めた目で見ながら怒鳴るところだ。なのに、この“だから、何?”みたいな態度はなんだ?お前の将来の結婚相手のヒロインだぞ?まあまだ婚約すらしてないけど。
「もう用がないなら兄上との時間をとらないでくれるかな?君と関わってから兄上が全く会ってくださらない。久々に兄上に甘えられるのにそんなことで時間をとるな!」
そんなこと………。え、なんで?ヒロインは涙ながらに訳がわからないといった表情だし、周囲も本来なら弟と一緒に俺を非難するはずが、ぽかんとしている。
本来このイベントは弟がヒロインと結婚を誓う、婚約イベントになるはずだった。
こんなことなら女に暴行するのを躊躇わず、大きな怪我をさせない程度にもっと酷くいじめを決行すべきだったかと後悔した。
どうにもあの“ゲーム”通りにならないのはやっぱりヒロインと出会うまでの弟を可愛がりすぎた結果かもしれない。気のせいか、どうもトアが俺に依存しているように思えてきた。
アイリス嬢に嫌がらせをしたのは俺で、トアの取り巻きにもしているし、嫌がらせをしているといった噂を流したのも俺。それを聞けば王族の癖に最低な兄だと嫌うことだろうと思ったのだが………。
「こんなことって酷いわ!リーアベル様は私に暴行だってしたんだから!」
え、した覚えない。というか怪我ひとつないだろう、アイリス嬢。けど、ここはしたことにすべきかもしれない。なんて思っていれば、トアから殺気を感じる。俺に向けてならイベントは成功のはずが、何故ヒロインのアイリス嬢に殺気を向けている?トア?
「兄上が自らお前に触れた?僕は兄上に何もされないのに!入学式以来一目すら見れてないのに!兄上に会うだけじゃなく触れてもらったなんて!手?足?なんでお前なんかが!」
「え?ちがっ痛い目に………」
「ねぇ、兄上に傷つけられた場所どこ?僕が傷、つけ直してあげる。兄上に触れられるのも傷つけるのも僕だけで十分だから」
「ひぃっ」
トアが離れてアイリス嬢に近づいていく。あの可愛いトアは何処へ。これはもう幼なじみから聞いていたゲームイベントとはかけ離れている。ついでに言えばアイリス嬢なら未だしも、トアを暴行で傷つけるなんてできそうにないです。
「トア」
「あに………うえ?なんで、こんな女を庇うのですか?なんで、僕を避けるのにこの女には………なんで、なんで………っ」
トアを止めるようにして後ろから抱き締めてやれば、混乱した様子で俺を振り返り見て、涙を流す。その涙でようやく、俺はまた失敗していたのか。と、今更気がついた。
「不安にさせちゃったな。俺は失敗したようだ」
「失敗………っ?なんのこと………」
「嫌がらせした内容は本当だけど、アイリス嬢に暴行はしてない。婚約破棄もしよう。父上が許すかはわからないが、許さなかったらトアが王になった時に頼もう。もう避けないし、また昔みたいにトアとの時間を最大限増やそう。トアがしてほしいことなんでもしよう。泣かせてごめん」
「兄上、本当………?」
「トアが嫌じゃないなら」
「嫌じゃない………!嫌なわけない!僕は兄上がいなきゃ生きるのも辛いのです………!」
「うん、気づかなくてごめん」
俺をとられたくないと入学式で言った言葉は本音で、アイリス嬢を婚約者に迎えたときから不安を積ませてしまっていたのだろう。
きっと本来のリーアベルと違った対応をしたがために、トアの唯一を俺に変更されてしまったのかもしれない。正直聞いていたヒロインと性格が違うし、このまま進めば聞いていた通りになるのかもしれないと心配な部分もあったからこれはこれでいいのかもしれない。
後ろから抱き締め、トアの前に回す俺の腕にそっと触れるトアの手。なんとも可愛らしいなと思いながらも、視線をヒロインに向けぎょっとした。トアは下に俯いているから気づいてないのかもしれないが、どう見ても俺に対して殺気だっている。
「なんで、なんで、なんで!このゲームおっかしいんじゃないの!?バグよ、これ!なんでヒロインの私が泣いて終わり?は?意味わかんない!」
周囲の視線が俺とトアから、ヒロインに向かう。俺以外は頭が狂ったのかと思うだろう。けど、もしかしなくてもこのヒロイン、本来のヒロインじゃなく、前世の記憶を持つヒロインで、それもあってトアが惹かれなかったのかもしれない。
幼なじみが語るヒロインからかけ離れているどころじゃない。本当なんで気づかなかった俺。
おかしい、何かがおかしい。
「は、はい ………っ教科書を破られ、靴を捨てられ、服に泥をつけられましたわっ」
ヒロインが泣きながら俺の弟に訴える。これは嘘ではないし、本来俺が知るシナリオでは、弟がヒロインに親身になって冷たく見るのは俺のはず。
なのに、何故弟は俺に抱きつきながらヒロインを冷めた目で見ているのか。信じてないんだろうか?寧ろ怒りすら感じるのは気のせいか?
「へぇ………で?」
「え……あの……?」
ここで本来なら弟がいい加減にしろと俺に冷めた目で見ながら怒鳴るところだ。なのに、この“だから、何?”みたいな態度はなんだ?お前の将来の結婚相手のヒロインだぞ?まあまだ婚約すらしてないけど。
「もう用がないなら兄上との時間をとらないでくれるかな?君と関わってから兄上が全く会ってくださらない。久々に兄上に甘えられるのにそんなことで時間をとるな!」
そんなこと………。え、なんで?ヒロインは涙ながらに訳がわからないといった表情だし、周囲も本来なら弟と一緒に俺を非難するはずが、ぽかんとしている。
本来このイベントは弟がヒロインと結婚を誓う、婚約イベントになるはずだった。
こんなことなら女に暴行するのを躊躇わず、大きな怪我をさせない程度にもっと酷くいじめを決行すべきだったかと後悔した。
どうにもあの“ゲーム”通りにならないのはやっぱりヒロインと出会うまでの弟を可愛がりすぎた結果かもしれない。気のせいか、どうもトアが俺に依存しているように思えてきた。
アイリス嬢に嫌がらせをしたのは俺で、トアの取り巻きにもしているし、嫌がらせをしているといった噂を流したのも俺。それを聞けば王族の癖に最低な兄だと嫌うことだろうと思ったのだが………。
「こんなことって酷いわ!リーアベル様は私に暴行だってしたんだから!」
え、した覚えない。というか怪我ひとつないだろう、アイリス嬢。けど、ここはしたことにすべきかもしれない。なんて思っていれば、トアから殺気を感じる。俺に向けてならイベントは成功のはずが、何故ヒロインのアイリス嬢に殺気を向けている?トア?
「兄上が自らお前に触れた?僕は兄上に何もされないのに!入学式以来一目すら見れてないのに!兄上に会うだけじゃなく触れてもらったなんて!手?足?なんでお前なんかが!」
「え?ちがっ痛い目に………」
「ねぇ、兄上に傷つけられた場所どこ?僕が傷、つけ直してあげる。兄上に触れられるのも傷つけるのも僕だけで十分だから」
「ひぃっ」
トアが離れてアイリス嬢に近づいていく。あの可愛いトアは何処へ。これはもう幼なじみから聞いていたゲームイベントとはかけ離れている。ついでに言えばアイリス嬢なら未だしも、トアを暴行で傷つけるなんてできそうにないです。
「トア」
「あに………うえ?なんで、こんな女を庇うのですか?なんで、僕を避けるのにこの女には………なんで、なんで………っ」
トアを止めるようにして後ろから抱き締めてやれば、混乱した様子で俺を振り返り見て、涙を流す。その涙でようやく、俺はまた失敗していたのか。と、今更気がついた。
「不安にさせちゃったな。俺は失敗したようだ」
「失敗………っ?なんのこと………」
「嫌がらせした内容は本当だけど、アイリス嬢に暴行はしてない。婚約破棄もしよう。父上が許すかはわからないが、許さなかったらトアが王になった時に頼もう。もう避けないし、また昔みたいにトアとの時間を最大限増やそう。トアがしてほしいことなんでもしよう。泣かせてごめん」
「兄上、本当………?」
「トアが嫌じゃないなら」
「嫌じゃない………!嫌なわけない!僕は兄上がいなきゃ生きるのも辛いのです………!」
「うん、気づかなくてごめん」
俺をとられたくないと入学式で言った言葉は本音で、アイリス嬢を婚約者に迎えたときから不安を積ませてしまっていたのだろう。
きっと本来のリーアベルと違った対応をしたがために、トアの唯一を俺に変更されてしまったのかもしれない。正直聞いていたヒロインと性格が違うし、このまま進めば聞いていた通りになるのかもしれないと心配な部分もあったからこれはこれでいいのかもしれない。
後ろから抱き締め、トアの前に回す俺の腕にそっと触れるトアの手。なんとも可愛らしいなと思いながらも、視線をヒロインに向けぎょっとした。トアは下に俯いているから気づいてないのかもしれないが、どう見ても俺に対して殺気だっている。
「なんで、なんで、なんで!このゲームおっかしいんじゃないの!?バグよ、これ!なんでヒロインの私が泣いて終わり?は?意味わかんない!」
周囲の視線が俺とトアから、ヒロインに向かう。俺以外は頭が狂ったのかと思うだろう。けど、もしかしなくてもこのヒロイン、本来のヒロインじゃなく、前世の記憶を持つヒロインで、それもあってトアが惹かれなかったのかもしれない。
幼なじみが語るヒロインからかけ離れているどころじゃない。本当なんで気づかなかった俺。
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