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割と充実した日の翌日。今日は公爵様にペアリングを送ろうと気合いを入れる。何せ早めに渡さないと公爵様が先に用意して渡された場合渡しにくくなるのは間違いないから。
こういうのは値段じゃないと思いたいけれど、明らかに差があるとどうしても思うところは出てしまう。ならば怖気付かず早めに渡すのが一番だ。昨日は公爵様に会えてなかったし、自ら会いに行くのも離婚ということになってからは初めてだから、余計に緊張する。
離婚話になる前はあんなにも好意を伝えてきたのに、今更気持ちを伝えるのに緊張するのは、きっと環境が変わったから。この緊張は悪いものじゃないと僕は思う。
そんな緊張の中で部屋を出て居合わせた執事に公爵様の場所まで案内してもらうことになったものの、どうにも城内がだんだんとざわついてきて違和感を覚える。
「なんだか空気が悪いですね……」
案内してくれていた執事も周りの雰囲気がどうにもざわつきながらも緊迫感のある様子に気づいた様子。まあ、気づかない方がおかしいくらいに周りのメイドや執事たちが立ち往生しているように思う。
「何かあったのかな……?」
「少々聞いて……」
次の瞬間、執事の言葉を遮るように大きな物音が鳴り響いた。それはその一回きりではなく何度も何か暴れてるような物音が道の先から聞こえる。でもそれはこの先の廊下ではなく、廊下を挟む部屋から聞こえているようだ。物音と一緒に微かに叫ぶ声も時折聞こえるような気がするのは気のせいではないだろう。
「あっちの人が集まってる方から聞こえるね」
「あちらは……公爵様のお部屋ですね」
「え?こ……旦那様!」
「シャロン様!」
執事の言葉を聞いてすぐ僕は駆け出していた。何かあったのだろうかと。執事の呼び止める声は聞こえたけれど、身体は止まれそうになく、焦る気持ちのままに動いて、公爵様の部屋の扉から少し離れて何もできないでいる執事たちをも無視して扉を開けた。
「誰だ!誰も入るなと……シャロ、ン?」
その部屋の惨状といったらまるで災害でもあったのかというほどの壊れた物や倒れた物もあれば、それ以外の物も散らばっていて、片付けようと思うと掃除だけでは済まないのが伺える。その部屋の中にいたただ一人の主である公爵様は昨日会ってないだけでとてもやつれていて怒鳴ったかと思えば、僕に気づくと目を見開いて静かになった。
「旦那様、大丈夫……?」
そんな今の公爵様を見て、怯えて弱気になってはダメな気がした。公爵様と呼ばず、敬語も使わない……公爵様の心に寄り添う気持ちで、ゆっくりと公爵様に近づく。そんな僕を見てしばらくぼーっとしていた公爵様だったけど、はっとしたように走り出して驚いた僕を横切ったかと思えば、僕が開けた扉をばんっと閉めた。まるで何かを怖がるように。
がちゃりと次は鍵まで閉めたようで、さっきまでは鍵を閉め忘れるほどに我を忘れていたのだろうか?なんて心配になる。
「シャロン……シャロンを……俺は」
「旦那様、落ち着いて」
鍵こそ閉めたが、無意識だったのか、どうにもまだ混乱している様子で、いつもの公爵様らしさからはほど遠くて、公爵様の弱さに触れているような気分だ。そうしてようやく公爵様に近づけたので公爵様が落ち着けるように両頬を手のひらで包み込む。
そうすると僕の腕が疲れないようにか公爵様がしゃがんでくれた。無意識なのか意識的なのかはともかく、同時に僕を気遣っているような……それでいて縋るような視線もこちらに向ける。
「シャロン……」
「はい、旦那様」
「ジーン……ジーンがいい」
「……ジーン」
「名前、呼んでくれた……もっと呼んでほしい」
「ジーンは甘えん坊だね」
まるで公爵様が子供になったみたいに僕に甘えた声を出す。成人男性なのに顔がいいとかっこいいだけでなくこういう姿でかわいいとも思わされるのだから卑怯だなあと思う。
こういうのは値段じゃないと思いたいけれど、明らかに差があるとどうしても思うところは出てしまう。ならば怖気付かず早めに渡すのが一番だ。昨日は公爵様に会えてなかったし、自ら会いに行くのも離婚ということになってからは初めてだから、余計に緊張する。
離婚話になる前はあんなにも好意を伝えてきたのに、今更気持ちを伝えるのに緊張するのは、きっと環境が変わったから。この緊張は悪いものじゃないと僕は思う。
そんな緊張の中で部屋を出て居合わせた執事に公爵様の場所まで案内してもらうことになったものの、どうにも城内がだんだんとざわついてきて違和感を覚える。
「なんだか空気が悪いですね……」
案内してくれていた執事も周りの雰囲気がどうにもざわつきながらも緊迫感のある様子に気づいた様子。まあ、気づかない方がおかしいくらいに周りのメイドや執事たちが立ち往生しているように思う。
「何かあったのかな……?」
「少々聞いて……」
次の瞬間、執事の言葉を遮るように大きな物音が鳴り響いた。それはその一回きりではなく何度も何か暴れてるような物音が道の先から聞こえる。でもそれはこの先の廊下ではなく、廊下を挟む部屋から聞こえているようだ。物音と一緒に微かに叫ぶ声も時折聞こえるような気がするのは気のせいではないだろう。
「あっちの人が集まってる方から聞こえるね」
「あちらは……公爵様のお部屋ですね」
「え?こ……旦那様!」
「シャロン様!」
執事の言葉を聞いてすぐ僕は駆け出していた。何かあったのだろうかと。執事の呼び止める声は聞こえたけれど、身体は止まれそうになく、焦る気持ちのままに動いて、公爵様の部屋の扉から少し離れて何もできないでいる執事たちをも無視して扉を開けた。
「誰だ!誰も入るなと……シャロ、ン?」
その部屋の惨状といったらまるで災害でもあったのかというほどの壊れた物や倒れた物もあれば、それ以外の物も散らばっていて、片付けようと思うと掃除だけでは済まないのが伺える。その部屋の中にいたただ一人の主である公爵様は昨日会ってないだけでとてもやつれていて怒鳴ったかと思えば、僕に気づくと目を見開いて静かになった。
「旦那様、大丈夫……?」
そんな今の公爵様を見て、怯えて弱気になってはダメな気がした。公爵様と呼ばず、敬語も使わない……公爵様の心に寄り添う気持ちで、ゆっくりと公爵様に近づく。そんな僕を見てしばらくぼーっとしていた公爵様だったけど、はっとしたように走り出して驚いた僕を横切ったかと思えば、僕が開けた扉をばんっと閉めた。まるで何かを怖がるように。
がちゃりと次は鍵まで閉めたようで、さっきまでは鍵を閉め忘れるほどに我を忘れていたのだろうか?なんて心配になる。
「シャロン……シャロンを……俺は」
「旦那様、落ち着いて」
鍵こそ閉めたが、無意識だったのか、どうにもまだ混乱している様子で、いつもの公爵様らしさからはほど遠くて、公爵様の弱さに触れているような気分だ。そうしてようやく公爵様に近づけたので公爵様が落ち着けるように両頬を手のひらで包み込む。
そうすると僕の腕が疲れないようにか公爵様がしゃがんでくれた。無意識なのか意識的なのかはともかく、同時に僕を気遣っているような……それでいて縋るような視線もこちらに向ける。
「シャロン……」
「はい、旦那様」
「ジーン……ジーンがいい」
「……ジーン」
「名前、呼んでくれた……もっと呼んでほしい」
「ジーンは甘えん坊だね」
まるで公爵様が子供になったみたいに僕に甘えた声を出す。成人男性なのに顔がいいとかっこいいだけでなくこういう姿でかわいいとも思わされるのだから卑怯だなあと思う。
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