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75〜公爵視点〜
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学園についてすぐ頭痛を感じたが、その痛みを無視して探そうとすると腕を引っ張られた。その相手は後をついてきていたリテール。邪魔するなと言おうとして急に押し付けられたのは剣だった。
「兄様はきっと必要になるよ」
雨で洗い流しきれない血か水かわからないものをぽたぽたとさせながらリテールは何を考えているかわからない笑顔でそう言った。だが、これ以上無駄に時間を経たせるわけにも行かず、探すのを邪魔するように頭も痛くなってきて、苛立ちが募り、剣を奪い取るようにして再び探しに行こうとすれば、リテールが急に前に飛び出す。
「案内してあげる」
何の心境の変化か、嘘かどうかもわからないが、こんな強い雨の日は学園も人が少ない。事を起こすならより人も少ない場所であることくらいは予想がつく。そこを注意さえすれば嘘とわかった瞬間別の場所を探しに行けばいいだけの話。真実ならそれにこしたことはないと、考えが読めないリテールと激しくなっていく頭痛に苛立ちつつも着いていくことにした。
結果、それは本当の現場で、泣き叫ぶようなシャロンの声が聞こえた瞬間、頭痛を忘れ、頭が怒りで真っ白になったのは言うまでもなく、剣を躊躇いもなくそいつらに振り翳していた。数なんて数えることなくただシャロンのいる元へと周囲の叫び声を聞きながら、最後はシャロンに最も触れただろう男には最も痛みを味わう部位を斬ってやった。逃げようとするものもいたが、そんなことよりシャロンで、穢れきる前に助けられたことがこの時の私にとって唯一の救いだったと言える。
「無事で、よかった……」
無事とは言い切れないのはわかっていたが、最後までされていなかったことへの安堵からか、頭の痛みが戻ってきていてうまく言葉がまとまらない。
「だ、れ……」
シャロンが恐怖と抵抗で疲れ切っている様子は頭が痛い中でもすぐわかった。本当ならそんな思いをさせる前に助けられたならと思うが過ぎた後悔はどうしようもない。
「もう、大丈夫だ……っ」
せめてこの後のことは任せて安心して眠ってくれと。その想いを込めて出てきた言葉はこの一言。意識を失うシャロンを見て、床に寝かせて誰一人逃してなるものかと思い立ったものの酷い眩暈に身体がふらつく。こんな時に限って体調を崩すなど自分自身に怒りが湧く。
「兄様代わりに相手してあげたから安心していいよ。身体そろそろ辛いでしょ?」
「何か、したの、か……!」
だが、私の様子を見て私の考えを読んだリテールがそう言いのけたことから、この頭痛や身体の不調が普通の体調不良ではないことを悟る。しかし、朝の事件もあって今日は何も口にしていない。毒かと一瞬疑ったがその可能性が低いとなると……と考えるも頭痛のせいでこれ以上頭が働かない。
「もっと実験してからつかいたかったんだけど、邪魔されてたまったもんじゃないよね。まあ未完成ではあるけど、時が来るまでに仕上げればいいか。……そろそろ暗示の時間かな」
「暗示……だと」
「兄様は人を不幸にさせる存在。だから日記の存在なんて見てないし、両親にも見放されて人が嫌いで仕方ないよね。シャロン•トークが本当に大事ならシャロン•トークを守るためにシャロン•トークを忘れて嫌わないといけない。今日の事はただ両親がジーン襲おうとして返り討ちにあっただけだよ。僕の言うことは正しいから、抵抗してはいけない」
「う……ぐ……」
頭の痛い中でリテールの言葉だけが強く響く。シャロンが大事だ。私にはシャロンしかいない。だから全部ワスレナイト……マモル……タメに……?
そうして私は人嫌いを加速させ、この日シャロンにあったこと、リテールとの出来事を記憶からなくした。
「兄様はきっと必要になるよ」
雨で洗い流しきれない血か水かわからないものをぽたぽたとさせながらリテールは何を考えているかわからない笑顔でそう言った。だが、これ以上無駄に時間を経たせるわけにも行かず、探すのを邪魔するように頭も痛くなってきて、苛立ちが募り、剣を奪い取るようにして再び探しに行こうとすれば、リテールが急に前に飛び出す。
「案内してあげる」
何の心境の変化か、嘘かどうかもわからないが、こんな強い雨の日は学園も人が少ない。事を起こすならより人も少ない場所であることくらいは予想がつく。そこを注意さえすれば嘘とわかった瞬間別の場所を探しに行けばいいだけの話。真実ならそれにこしたことはないと、考えが読めないリテールと激しくなっていく頭痛に苛立ちつつも着いていくことにした。
結果、それは本当の現場で、泣き叫ぶようなシャロンの声が聞こえた瞬間、頭痛を忘れ、頭が怒りで真っ白になったのは言うまでもなく、剣を躊躇いもなくそいつらに振り翳していた。数なんて数えることなくただシャロンのいる元へと周囲の叫び声を聞きながら、最後はシャロンに最も触れただろう男には最も痛みを味わう部位を斬ってやった。逃げようとするものもいたが、そんなことよりシャロンで、穢れきる前に助けられたことがこの時の私にとって唯一の救いだったと言える。
「無事で、よかった……」
無事とは言い切れないのはわかっていたが、最後までされていなかったことへの安堵からか、頭の痛みが戻ってきていてうまく言葉がまとまらない。
「だ、れ……」
シャロンが恐怖と抵抗で疲れ切っている様子は頭が痛い中でもすぐわかった。本当ならそんな思いをさせる前に助けられたならと思うが過ぎた後悔はどうしようもない。
「もう、大丈夫だ……っ」
せめてこの後のことは任せて安心して眠ってくれと。その想いを込めて出てきた言葉はこの一言。意識を失うシャロンを見て、床に寝かせて誰一人逃してなるものかと思い立ったものの酷い眩暈に身体がふらつく。こんな時に限って体調を崩すなど自分自身に怒りが湧く。
「兄様代わりに相手してあげたから安心していいよ。身体そろそろ辛いでしょ?」
「何か、したの、か……!」
だが、私の様子を見て私の考えを読んだリテールがそう言いのけたことから、この頭痛や身体の不調が普通の体調不良ではないことを悟る。しかし、朝の事件もあって今日は何も口にしていない。毒かと一瞬疑ったがその可能性が低いとなると……と考えるも頭痛のせいでこれ以上頭が働かない。
「もっと実験してからつかいたかったんだけど、邪魔されてたまったもんじゃないよね。まあ未完成ではあるけど、時が来るまでに仕上げればいいか。……そろそろ暗示の時間かな」
「暗示……だと」
「兄様は人を不幸にさせる存在。だから日記の存在なんて見てないし、両親にも見放されて人が嫌いで仕方ないよね。シャロン•トークが本当に大事ならシャロン•トークを守るためにシャロン•トークを忘れて嫌わないといけない。今日の事はただ両親がジーン襲おうとして返り討ちにあっただけだよ。僕の言うことは正しいから、抵抗してはいけない」
「う……ぐ……」
頭の痛い中でリテールの言葉だけが強く響く。シャロンが大事だ。私にはシャロンしかいない。だから全部ワスレナイト……マモル……タメに……?
そうして私は人嫌いを加速させ、この日シャロンにあったこと、リテールとの出来事を記憶からなくした。
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