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「話はまとまったみたいだね」
「! リード?」
「……何の御用で」
そんな二人の世界に浸っていると、突然の第三者の声。声をする方を見ればリードがそこには立っていた。こんなに近くにいて気づかなかったなんて……少し恥ずかしさが……。そう思って離れようとしたけど公爵様の腕はそれを許してはくれなかった。寧ろ不機嫌な声をリードに向ける。
「君が荒れていてシャロン一人が公爵に立ち向かったと聞いて様子見に来たんだよ。そうしたら公爵の過去話になってて、止める雰囲気でもなかったし、ぼくには気づかないから話終わるのを待ってたんだ。それにバーン伯爵の話もあったしね」
「どこから聞いてたの?」
「弟離れしたくなった思春期の話辺りから?」
「ほぼ全部では?まあ構いませんが」
「正直公爵は気づいてたでしょ?一応人払いしてあげたんだから感謝してよね」
「ありがとうございます」
公爵様が気づいた上で話してたならいいのかな……?というか気づかなかった僕がちょろすぎるのか?危機感とかもう少し持つ努力するべきかな……。周りを見る努力とか……うん。
「まあ、正直ぼく自身公爵を責めてばかりもいられないけどさ。ぼくが不甲斐ないばかりにシャロンを守ってきてくれてありがとう」
「結局は私も傷つけた一人でもありますから、感謝はいりません。それにシャロンは殿下が側にいたから頑張ってこれたのでしょう。あの時の私はただただシャロンの側に無条件でおられた殿下が羨ましく妬んだだけに過ぎません」
本来なら王族の側にいる僕をこそ妬む人間が多かったのに、公爵様一人はリードを妬むなんて僕に惹かれていたと聞いた後でも信じられない気持ちだ。それも僕がまだ公爵様に恋する前の話なのだから余計に。割と単純な僕はその言葉だけで、嬉しさのせいか胸がぽかぽかする。
「大事な自慢の親友だから、妬ましくなるのは仕方ないね!ああ、それと取り急ぎ公爵が考えるバーン伯爵の目的聞いても?さっきの話で推測はできそうだけど決定づけては言ってなかったし。場合によってはバーン伯爵が王族に……いや、まずは聞いてからかな。人払いはしてるし、信用置ける者に見張りも頼んでるから」
そうだ。喜んでばかりもいられない。全ての元凶だろうバーン伯爵の狙いを知った上で対処しないと、それこそ公爵様の両親のように誰かが……そういえば……。
「旦那様の両親は生きていらっしゃるんですか?」
僕と公爵様との結婚式は公爵家でなくとも規模の狭い最低限のものだった。その時さえ公爵様の両親に出会うこともなく、公爵様が若くして公爵になったことが関係してるのかなと思っていたけど……。
「生きてはいる……が、私を公爵に、リテールをバーン伯爵と爵位を授けてから廃人に近い状態だ。声をかけずにいれば食事さえもとらない、ただ起きて寝るだけ。記憶がなくなっていた間は両親が暗殺者に狙われてそうなったと思っていて、私を追い出そうとした報いだなんだと思いつつそれでも慈悲をかけて面倒を見る使用人をつけてやっていた気でいた……。これからは改めて医師の手配などしっかりしてやらねば」
「誰か一人でもそういう状況ではなかったとは言わなかったの?バーン伯爵がその犯人なら誰かしら見た人もいれば、それが暗殺者の手口じゃないことくらいわかる者もいたはずだよ」
確かに……公爵様にそう言ってくれる人が一人でもいればもっと早く公爵様は自分の両親について思い出す何かがあったはずだ。
「……あの日いた使用人たちは総入れ替わりされています。ツォンの提案によって」
「! リード?」
「……何の御用で」
そんな二人の世界に浸っていると、突然の第三者の声。声をする方を見ればリードがそこには立っていた。こんなに近くにいて気づかなかったなんて……少し恥ずかしさが……。そう思って離れようとしたけど公爵様の腕はそれを許してはくれなかった。寧ろ不機嫌な声をリードに向ける。
「君が荒れていてシャロン一人が公爵に立ち向かったと聞いて様子見に来たんだよ。そうしたら公爵の過去話になってて、止める雰囲気でもなかったし、ぼくには気づかないから話終わるのを待ってたんだ。それにバーン伯爵の話もあったしね」
「どこから聞いてたの?」
「弟離れしたくなった思春期の話辺りから?」
「ほぼ全部では?まあ構いませんが」
「正直公爵は気づいてたでしょ?一応人払いしてあげたんだから感謝してよね」
「ありがとうございます」
公爵様が気づいた上で話してたならいいのかな……?というか気づかなかった僕がちょろすぎるのか?危機感とかもう少し持つ努力するべきかな……。周りを見る努力とか……うん。
「まあ、正直ぼく自身公爵を責めてばかりもいられないけどさ。ぼくが不甲斐ないばかりにシャロンを守ってきてくれてありがとう」
「結局は私も傷つけた一人でもありますから、感謝はいりません。それにシャロンは殿下が側にいたから頑張ってこれたのでしょう。あの時の私はただただシャロンの側に無条件でおられた殿下が羨ましく妬んだだけに過ぎません」
本来なら王族の側にいる僕をこそ妬む人間が多かったのに、公爵様一人はリードを妬むなんて僕に惹かれていたと聞いた後でも信じられない気持ちだ。それも僕がまだ公爵様に恋する前の話なのだから余計に。割と単純な僕はその言葉だけで、嬉しさのせいか胸がぽかぽかする。
「大事な自慢の親友だから、妬ましくなるのは仕方ないね!ああ、それと取り急ぎ公爵が考えるバーン伯爵の目的聞いても?さっきの話で推測はできそうだけど決定づけては言ってなかったし。場合によってはバーン伯爵が王族に……いや、まずは聞いてからかな。人払いはしてるし、信用置ける者に見張りも頼んでるから」
そうだ。喜んでばかりもいられない。全ての元凶だろうバーン伯爵の狙いを知った上で対処しないと、それこそ公爵様の両親のように誰かが……そういえば……。
「旦那様の両親は生きていらっしゃるんですか?」
僕と公爵様との結婚式は公爵家でなくとも規模の狭い最低限のものだった。その時さえ公爵様の両親に出会うこともなく、公爵様が若くして公爵になったことが関係してるのかなと思っていたけど……。
「生きてはいる……が、私を公爵に、リテールをバーン伯爵と爵位を授けてから廃人に近い状態だ。声をかけずにいれば食事さえもとらない、ただ起きて寝るだけ。記憶がなくなっていた間は両親が暗殺者に狙われてそうなったと思っていて、私を追い出そうとした報いだなんだと思いつつそれでも慈悲をかけて面倒を見る使用人をつけてやっていた気でいた……。これからは改めて医師の手配などしっかりしてやらねば」
「誰か一人でもそういう状況ではなかったとは言わなかったの?バーン伯爵がその犯人なら誰かしら見た人もいれば、それが暗殺者の手口じゃないことくらいわかる者もいたはずだよ」
確かに……公爵様にそう言ってくれる人が一人でもいればもっと早く公爵様は自分の両親について思い出す何かがあったはずだ。
「……あの日いた使用人たちは総入れ替わりされています。ツォンの提案によって」
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