兄を悪役にさせないために全力を出した結果~ヤンデレブラコン化は悪役よりマシですか?~

荷居人(にいと)

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本編(完結)

実は一番怒ってる~シエル視点~

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今現在、中等部まで後一年という頃に初等部にもピンクが増加しつつある。理由はわからない。だけど、今までは中等部だけだったため私とハナちゃん二人でバレないよう隠れ目撃者多数ながら駆除を繰り返してきた。

それは別にレウル様に命令されたわけでもなく、私がクウリ様の平穏を邪魔させたくない一心で。ちなみにハナちゃんはそれに付き添ってくれているわけでもない。ハナちゃんはハナちゃんで許せないことがあり私と一緒に活動しているのだ。

その原因とも言えるピンクが初等部にも最近増え始めた。その頃からハナちゃんは私よりも積極的にピンク撲滅運動をしていると思う。

「ピンクを汚すものにせいばーい!」

「何ですの、貴女!」

「何様とは貴女様のことですよー!」

「何様なんて言ってません……わ……きゃあぁぁあぁ!貴女何を持って……っ来ないで~!」

話が噛み合ってるか噛み合っていないかわからない偽ヒロインとハナちゃん。ちなみに偽ヒロインがはしたなくもダッシュさせる代物は大量のミミズの入った箱。

一匹も逃げ出そうとしたところを見たことがないピンクを彩るミミズはハナちゃんの宝物のひとつなのだとか。ハナちゃんと親密な関係になって初めて知ったのだけど、正規ヒロインはピンクをこよなく愛し、ピンクを汚すもの、欲に使うものを許せないらしい。

正直基準はわからないけれど、本人いわく勘でピンクへの愛がわかるとのこと。よくわらないけど、これがまた侮れない。偽ヒロイン増殖が察知されてない間、次々と見つけて駆除できていたのはハナちゃんの勘によるもので、ハナちゃんの姉に関しては何度退治していることやら。どんなに離れていても察知し、ピンクが誰かに迷惑をかけているとより勘が働くとか。恋人の私でも理解不能だわ、うん。

まあ言っちゃえばヒロインによる偽ヒロイン察知能力の開花と言うべき?でも今やそれがなくとも出るわ出るわでキリがない。誰かが餌でもやっているかのように。

「ミミズちゃん一号いっけえぇっ!」

「いやぁあぁぁっ!」

そんな思考をしてる間に、ハナちゃん式成敗が始まる。令嬢に一定距離を保ちながら一匹のミミズが投げるだけの成敗。そのミミズはするりと令嬢の首もとから服の中へ。凄まじいピンクの叫び。あれは普通に私も嫌ね。

「とってぇっとって、だれかあぁっ!」

叫びどころか涙も鼻水も気にしないとばかりに泣き叫んでいる。あまりに悲惨。まるでヒロインが悪役になったみたい。悪役なハナちゃんも素敵だけどね。

「とってほしかったらピンクを欲で着るのをやめてください。ピンクはピンクを愛し、好きで着るもの!仕方なくピンクで包まれようなんて許さないですから!」

「わがっだからあぁっ」

「次ピンクを愛さずにして着たらミミズちゃん百匹と遊んでもらいますからね!」

「うわあぁぁんっ」

言っている意味はわからないけれど、とりあえずピンクだらけになるのをやめればミミズに囲まれる未来はなくなるだろう。まだ子どもの令嬢にはきつすぎたのかしばらく泣き叫ぶ声は止まなかった。

ちなみにハナちゃんは有言実行の子だから実際同じ子がハナちゃんの勘に障ればミミズ百匹の刑にされる。相手が誰でも。

「ピンクさん!また何かやったのですね!」

「ピンクをバカにするのが悪いんですー!」

そして始まる教師との鬼ごっこ。教師ごときではハナちゃんは止まらないのだ。

「ハーヴェさん!貴方もいい加減ピンクさんに余計なことを教えないでください!」

「今日は何もしていませんよー?」

もちろん巻き込まれた私も一緒に逃げる。そしてちらりと周囲に目を向け………

「ハナちゃん、一気に距離を離すわよ!」

「了解!シエルちゃん!」

その合図で走りながらハナちゃんが少し後ろに下がり私をお姫様抱っこ。そして私を抱いたままハナちゃんが3階の開いていた窓から飛び降りる。

「3階は玄関じゃないんですからねー!」

初等部では見慣れた光景なだけに悲鳴はない。ただただ響くのは教師の怒りの声。

「「知ってまーす!」」

元気よく声をあげ、更なるピンク狩りをしに中等部へ走る。お姫様抱っこをされたままだけど別に構わない。力があるのはハナちゃんで足が速く、剣を扱えるのは私の方。私は無我夢中になると知らぬ間にハナちゃんを置いていってしまうのでこれが一番いいのだ。

男が女に抱っこされて……なんてのは聞かない。だって私、中身は女だもの。



ー作者コメントー
既にピンク退治はクウリたちの知らないところで始まっていたという話。

しかも初等部まで侵略し始め、実はヒロインが一番怒ってる。ピンクを汚されたと。その理由はまた明らかになりますが、実はピンクを愛してやまないヒロインが一番偽ヒロインに他のメインキャラとは別の意味でわかりにくく怒りマックスです。

それは教師に逆らうほど。いつもはいい子なんですよ?ヒロインちゃん。バカだけど。
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