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「陛下、王妃様、助かりました。ありがとうございます」
とりあえず鳥の存在が気にはなるけど呼び出したからには、お礼を言わなければと気を取り直す。
「お礼なんていいのよ~!」
「寧ろ毎日でも呼んでくれ!」
「おほほ……」
毎日はちょっと……というか陛下と王妃様を私が従えるのには抵抗ありすぎて……。なんでこうなったのかはアルアルと婚約してから始まった。
『アルアル、何をしているのです?』
それは婚約が成立してから1年は過ぎた頃。
『アリ、数えてる。今666匹目』
その日、一度座り込んでから、いくら呼んでもアルアルからの返事がなくどうしていいかわからないと困っていた侍女や護衛たちを見て、私が見かねて声をかけることに。
婚約前から仲良くしていた私たちだからだろうか?どんなに集中していても私が声をかければアルアルは何かしら答えてくれていた。
『そうですか……。そろそろ皆さんが心配してますからやめましょう』
『心配?』
『アルアルの体調がわるいんじゃないかって皆さんが心配してるんですよ』
『声かけてくれたらよかったのに……』
『声をかけたと言っていましたよ』
『気づかなかった……』
まあそんな感じでアルアルは昔からマイペース。でも基本穏やかで怒ることがあるのか?ってくらい相手が誰であろうと同じ態度なので身分差別のない王子として人気ではある。
って話が脱線したわね。とりあえず、その場面をどこからか陛下と王妃様が見ていたようで翌日呼び出されたの。
『あの子、自分の世界に入ると私たちが呼んでもだめなのよ』
『だが、ビビアン嬢にはきちんと返事ができる。つまりはビビアン嬢には何かしらアルアルの意識を呼び出す何かがあるのだろうと思う』
要はアルアルは元々集中力が人一倍あって一度何かに集中すると集中が途切れて寝るまでそれ以外に意識がいくことなく、誰の声も聞こえなくなることを陛下と王妃様は言いたいようだ。
そしてその集中力に打ち勝つのが私の中にある何かだと二人は言う。バトル漫画じゃないんだからとツッコミたくなったけど、我慢した私はえらい。
『それを知るために私たち、ビビアン嬢の犬になろうと思ったの』
『い、ぬ……?』
『ビビアン嬢の秘めたる力を知るにはまず呼ばれる側になり、知ればよいと二人で相談してな』
『あ、犬になるならビビアン様とお呼びするべきね』
『いや、あの……おことわ……』
『王命だから拒否権はないぞ?』
こうして私はその日国家権力を手にすることとなった次第である。この国の王族の思考回路はやっぱりおかしいと考えながら。その場にいた宰相さんだけが同情するような眼差しだったのは今でも覚えている。
とりあえず鳥の存在が気にはなるけど呼び出したからには、お礼を言わなければと気を取り直す。
「お礼なんていいのよ~!」
「寧ろ毎日でも呼んでくれ!」
「おほほ……」
毎日はちょっと……というか陛下と王妃様を私が従えるのには抵抗ありすぎて……。なんでこうなったのかはアルアルと婚約してから始まった。
『アルアル、何をしているのです?』
それは婚約が成立してから1年は過ぎた頃。
『アリ、数えてる。今666匹目』
その日、一度座り込んでから、いくら呼んでもアルアルからの返事がなくどうしていいかわからないと困っていた侍女や護衛たちを見て、私が見かねて声をかけることに。
婚約前から仲良くしていた私たちだからだろうか?どんなに集中していても私が声をかければアルアルは何かしら答えてくれていた。
『そうですか……。そろそろ皆さんが心配してますからやめましょう』
『心配?』
『アルアルの体調がわるいんじゃないかって皆さんが心配してるんですよ』
『声かけてくれたらよかったのに……』
『声をかけたと言っていましたよ』
『気づかなかった……』
まあそんな感じでアルアルは昔からマイペース。でも基本穏やかで怒ることがあるのか?ってくらい相手が誰であろうと同じ態度なので身分差別のない王子として人気ではある。
って話が脱線したわね。とりあえず、その場面をどこからか陛下と王妃様が見ていたようで翌日呼び出されたの。
『あの子、自分の世界に入ると私たちが呼んでもだめなのよ』
『だが、ビビアン嬢にはきちんと返事ができる。つまりはビビアン嬢には何かしらアルアルの意識を呼び出す何かがあるのだろうと思う』
要はアルアルは元々集中力が人一倍あって一度何かに集中すると集中が途切れて寝るまでそれ以外に意識がいくことなく、誰の声も聞こえなくなることを陛下と王妃様は言いたいようだ。
そしてその集中力に打ち勝つのが私の中にある何かだと二人は言う。バトル漫画じゃないんだからとツッコミたくなったけど、我慢した私はえらい。
『それを知るために私たち、ビビアン嬢の犬になろうと思ったの』
『い、ぬ……?』
『ビビアン嬢の秘めたる力を知るにはまず呼ばれる側になり、知ればよいと二人で相談してな』
『あ、犬になるならビビアン様とお呼びするべきね』
『いや、あの……おことわ……』
『王命だから拒否権はないぞ?』
こうして私はその日国家権力を手にすることとなった次第である。この国の王族の思考回路はやっぱりおかしいと考えながら。その場にいた宰相さんだけが同情するような眼差しだったのは今でも覚えている。
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