婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?

荷居人(にいと)

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「まあ疑われるなら見てもらった方がよろしいですね。私の妹は少々自由にさせると危険を伴うので檻の中に入れておりますが、お気になさらず」

「お、檻?そ、そんな危険人物なのか?」

危険人物……ね。まあ、殿下が戸惑うのも仕方ありません。まさか婚約者が檻に入ったまま登場するとは思わなかったでしょうから。

「今日は連れて来ておりますから……」

近くにいる使用人に連れてくるよう指示して、しばらく……大きな檻に入った私の妹がローラーのついた台で動かされながら傍に来た。

「ゴリラだ」

唖然とする二人と周囲。先に言葉を発したのはヒロインで、あらと思う。

「お知り合いでしたか?」

「は……?いや、ゴリラに知り合いなんていません!ふざけないでください!」

「え?でも、今名前を呟かれましたよね?ゴリラダと」

「……ゴリラダがこの子の名前ですか?」

「そうですね、ゴリラダ・ウッホ、正真正銘私の可愛い妹です」

体は私より……いや、誰よりもでかくはありますが……。

「ドレスを着ただけのこのゴリラが私の婚約者だと!?人間ですらないじゃないか!」

「ウホッ!?」

正気を取り戻したとばかりに喚く王子様。全くいきなり大声を出すからゴリラダがびっくりしてるじゃないですか……。

「会ったことがあるのを思い出されましたか?」

「学園の見世物として置いていたゴリラだろう!だが、婚約者だと思うはずがない!バカにしているのか!」

「見世物だなんて……ゴリラダは学園に通っていただけですよ」

「ゴリラが人間の学園で何を学ぶつもりだ!」

「ドレスの着方とか……ですかね」

「学園で学ぶことでもないだろう……」

全く、ああいったらこういう煩わしい人ですね。なんでこれが攻略対象になったのか……。

「それよりも、ゴリラが殿下と結婚できるはずないでしょう!?」

二人してあっちからこっちからと急に会話を遮り合うのだから私もさすがに疲れてきました。できるから王子様の婚約者にゴリラダが宛がわれたのです。

父と陛下を説得するのには骨が折れましたが………。まあゴリラを養女にして、人の婚約者にするなんて前代未聞でしょうし、世界初のことでしょうからね。前世ですらそんな人見たことありませんし?

「動物と結婚してはいけない法律はないですし、問題なしですよ」

「問題だらけだ!」

「そうです!こんなの殿下が可哀想ですわ!」

「まあ、私の可愛い妹なのに……お二人とも酷いわ……ねぇ、ゴリラダ」

「ウホウホ」

「ほら、こんな気にするなと優しく可愛い妹に何の不満があって?」

「「ゴリラだからだ(よ)!」」

全く……生き物差別はよくないですよ?
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