(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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1章(真面目版)悪役令嬢の秘密

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揺れて痛む頭で考え付いたのはとても単純なこと。どちらにしろこれしか望みはなかった。

ようやく落ち着いた咳に荒い息を整えればじっと心配そうに私を見るティア様。あれだけいじめたのにそのいじめた本人を心配できるとはなんて心優しい人なのかと思う。

ロイエ様もきっとそこに惚れたんだろう。この人ならロイエ様を幸せにできると確信した。

「驚かせて、ごめんなさい」

「い、いえ、あの………ロイエ様は知っているんですか?」

かなり動揺したんだろう。ロイエ様と名を呼んでいることにティア様は気づいていない。

落ち着いてからの最初の言葉がロイエ様が私の状態を知っているかという疑問だなんてやはりロイエ様と想い合う彼女には何か思うところがあったのだろう。

「知らないわ。私が知られたくないの」

「なんで………」

彼女の疑問に素直に答えればロイエ様が私の婚約者と知っているからこそさらに生まれる疑問の声。

きっと彼に想われる彼女だからこそわかる。きっと私の状態を知れば彼は私をどう思っていようと傍にいて優しくしてくれるだろうと。だからこそ何故黙っているのか不思議でたまらないことだろう。

最近では私はロイエ様に優しくされて、私よりお傍にいて、元は平民の癖にを口癖のようにしていじめていたから尚更。醜い嫉妬に狂った令嬢としてあろうとした結果だ。

そうあろうとした結果、より身体に負担を与えてしまいいじめの後は一気に足の力も抜け授業もろくに出れなくなっていた。限界すら越えて気力と根性でいじめをしているような状態だった。

まだ婚約解消には足りえないのかと毎日弱る身体に焦りが積もっての今日。これで台無しにするわけにはいかなかった。

「全て、話します。だから協力して。私はただロイエ様に幸せになってほしいだけなの………っ」

私があの人にできるのはそれだけだから。思わず流した涙にティア様は目を見開く。誰の前でも泣くことはなかった私、ひとりで泣くことに慣れてしまった私だからこそティア様はまさか私がこの場で泣くとは思わなかっただろう。

私だって泣くつもりはなかったのだから。ロイエ様を想うあまりに勝手にでてしまったのだ。

「わ、私で力になれるなら」

たくさんたくさんいじめてたというのにティア様は協力してくれるという。限界を感じていただけにまだなんとかなると希望が生まれる。

ロイエ様が婚約の解消を申し出るまで私は死ぬわけにも、余命を、病気を知られるわけにもいかない。

早く楽になりたいと心芽生えるもロイエ様を想う気持ちが私をいつまでたっても楽にはさせてくれない。
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