(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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1章(真面目版)悪役令嬢の秘密

10

ティア様に婚約の解消について伝えられたあの日から一週間後、ロイエ様から呼び出された。人気のない中庭に。この時ばかりは踏ん張らなければと杖なしにひそかに汗を流しながら向かった。

あくまでロイエ様には杖はいじめに使う道具という見せかけだから。

「君と婚約を解消したい」

着いた先で戸惑いもなくはっきりと言われた言葉。きっと一週間も時間をかけたのは迷わず言い切るために練習したのかもしれない。

ロイエ様のことだからすぐに言い出すには迷ったのだろう。あれだけ悪さをし、そのように見せかけたのにどこまでも優しいお人だ。

「はい、承知いたしました」

声が震えないように毅然とした態度で返事を返す。胸が張り裂けそうだけどそれをロイエ様に見せてはいけない。

何の迷いなく承諾した私にロイエ様の目が見開く。きっと嫉妬に狂っていじめたという噂があるからだろう。

狂ったかはわからないけれど、少なからず嫉妬は気づかないフリをしていただけであったかもしれない。

それでも今更気づいたところでこの覚悟を無駄にする気はない。

目の前にいるのは私の初恋の人で最後の恋となる人、その相手は私の婚約者。今その立場がなくなろうとしている。

理由はわかっているし、私がそう仕向けたこと。本当は叫びたい。まだ貴方が好きで仕方ないと。貴方しか私にはいないのだと。

それでも私は貴方を幸せにはできないから、この恋は諦めるの。

そう心に言い聞かせる。

「最後にひとつ聞きたい。何故あんなことを?」

あんなことなんてティア様をいじめた件だろう。きっと少しばかり彼は混乱しているに違いない。

「私、貴方がずっと大嫌いでしたから嫌がらせですわ」

私、貴方がずっとこれからも大好きです。

心と言葉に矛盾を持って泣き叫ぶ心の悲鳴は見てみぬふり。私の言葉に傷ついたような表情をしたロイエ様は私の幻覚で、これは間違っていない選択。

どうか、あの子とお幸せに。

(本当は私が幸せにしたかった)

本当の望みの声は心の奥に鍵をして涙も最後まで見せない。

私の望みはロイエ様が私を忘れて愛する人と幸せになる未来。

(私を忘れないで)

これも鍵を

(いやだ、ひとりで死にたくない)

これにも鍵を

(ロイエ様が好き、大好き、愛してるの!)

これには大きく頑丈な鍵を。

溢れる想いに鍵だらけになっていく心。

「そんなに僕は嫌われていたの?」

「さようなら」

その問いに答えず去る私。もう心さえもが限界だった。そして身体もまた限界を越えてしまっていた。

その日、私は学園からもいなくなり屋敷の自室のベッドで眠りにつく。役目は終わったとばかりに。

それから婚約を解消された3日後に私はようやく死を迎えた。学園を卒業することすらできずに。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

真面目版は上、原作は下で分けさせていただきます。

まあ、同じ作品内で別れるのが見にくいとなれば他サイトで真面目版書くことを考えます。

他サイトではやったことないですが、その場合小説家になろうで考え中です。また意見あればお願いします。

by同作品内ならオッケーとアルファポリスから来ましたです!作者より
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