(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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2章(真面目版・名前変更に伴い話修正もあり)悪役令嬢の転生先

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結局あれからよくよく聞くとタナカは私の補佐をしてくれるとのこと。実際縦読みが読みづらいとか特殊なサングラスをかけているとはいえ、視力の矯正も限界で色の区別が苦手な私には道を歩くときの危険性は通常の人より高い。

それを父が心配して同じ年で学園入学できる従者を探していたとか。授業中の補佐範囲の世話などの許可もとったらしいけど、特別待遇だと恨まれないかより心配になる。助かりはするけど。

理由だけ聞けばお礼だけ言って早く仕事をしに行ってくださいと父をすぐ追い出して従者と向き直った。

何はともあれとりあえず、理由を知れば従者を受け入れるのは構わない。何故女の子じゃないかは父のことだから聞いたところで運命を感じた以外口にしないとわかっている。父の運命を感じたはよくあること。それよりもこのタナカに相談すべきこと………いや、聞くべきことがある。

「誘拐ではないわよね?」

「はい。拾われたのは事実ですが」

違うとは思っていた。思っていたのだけどね?やっぱり娘としては心配だったのよ。疑っていた訳じゃない。ただ、父が気に入ったからと飴でもあげて連れてきたみたいな………。

「ちなみに飴でももらったのかしら?」

「え、いただきましたけど………」

「なんてこと!」

完全に不審者だわ!お父様!きっとタナカは誘拐されたことに気づいてないのではないかしら?

「あの、勘違いしていると思うのですが、僕先日親が亡くなりまして住む場所を追いやられて途方にくれていたところを当主様に拾っていただいたんです。住む場所を提供していただく代わりにお嬢様の従者をと」

「も、もちろん、そんな理由だと思っていたわ。これからよろしくね」

「ふ、ふふ………っはい」

さすがに父を少し、ほんの少し疑っていたことを誤魔化せなかったのだろう。タナカにはバレバレで笑われてしまった。でもその目は決して私の見た目を笑うそれではない。笑うタイミングからして当たり前なのだけど。

最初私を見た時、不思議そうに私を見ていたけど気味が悪いとかそう思われてはなかったようでほっとする。この容姿じゃ珍しくて見てしまうのは仕方ないことだろう。

今のタナカを見る限り見た目で人を判断するような人ではないのがわかる。父にもそれがわかったからタナカを拾って………いや、私の従者として連れてきたのかもしれない。

日に当たりすぎるのがよくないためあまり町には出ないけど出る度帽子からはみ出る白い髪への視線が怖くて仕方ない。この赤い瞳も知られたらより嫌な目で見られるんじゃないかと不安は大きい。

誰もが私を蔑むように………違う。これは、私に向けての目じゃ、いや、私の………?

「お嬢様!」

「! あ、ご、ごめんなさい。少しぼーっとして………」

意味もなく混乱した自分に首を傾げる。タナカに声をかけられなかったら益々混乱していた。何で?と言われたら答えられないけど。私は何を思って混乱したのだろう?

「体調が優れないようでしたら医師を呼びますが」

「いえ、大丈夫。でも、少し休むわ」

「かしこまりました」

よくわからないことばかりが頭の中を駆け巡るようでひとりで解決できそうにもないのに相談ひとつ誰にもできそうにない。言えばきっと少なくとも父も母も乗ってくれるだろうに何故私は言えずにいるんだろう?

『私はずっとひとり、大切な人も物もいらない』

どこからともなくそんな言葉が聞こえた気がした。
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