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2章(真面目版・名前変更に伴い話修正もあり)悪役令嬢の転生先
6~???視点~
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噴水広場に本を持って座る私の周りに集まるのは子供たちと子供を連れた大人たち。私はいつも決まった日に同じ本を何度も読み聞かせている。
昔から語り継がれた悲しいお話。誰もが知る嘘のおとぎ話の真実を語る話。
「昔々あるところにひとりの女の子がいました。女の子は生まれつき身体が弱く短い命だと生まれたその日から告げられます。女の子の母と父は嘆き、助けてあげられないのが辛いあまりに娘から遠ざかってしまいました。
それでも娘に幸せになってほしい気持ちから親がしたことは娘が好きな人と結婚できるようにしてあげること。女の子が好きになった男の子の父はその子を気に入り男の子の意思をも聞かずに結婚の約束をしました。
しかし、男の子もまた女の子を好きだと思っていました。両想いです。普通ならこれで二人は幸せになれたかもしれません。だけど女の子が恋をしたからといって短い命が長くなるわけではないのです。
そしてまた女の子の命の短さを男の子が知ることはなかったためにすれ違いが起こります。だんだんと外へ出るのがままならなくなる女の子は男の子と会う日々が減り、それを疑問に思う男の子。その内、他の人が好きになって自分に会わないのではと男の子は勘違いしてしまいます。
これが最初の女の子の不幸の始まりでした。
男の子は悩みに悩んで相談したのは生活が変わって友達がうまく作れずひとり佇む少女です。溜め込んだ不安にタイミングよく現れた少女。これは偶然でそれもまた不幸の扉を少しずつ開ける役割を担ったのです。
相談した日から会うようになった二人は仲を深めていき気がつけば惹かれ合う仲に。そしてある日偶然にも調子を取り戻して歩いた命儚い女の子は仲のいい二人をついに見つけてしまいました。
それにより女の子は不幸な決断をします。好きな人を幸せにしたいという気持ち、命の終わりが近いことを知るがために決断してしまった誰もが不幸になる決断を。
女の子がしたこと、それは好きな人に嫌われるようにすること。どんなに辛いことでしょう。どんなに苦しいことでしょう。
それは誰もが想像できない痛み。女の子は終わりを叫ぶ命の痛みすらも我慢して、自分が嫌われるために励みました。
真実を知ったところで誰もその行動を理解するものはいません。自分が嫌われることで死んでよかったと思われたかったのでしょうか、そう思えば自分がいない未来も幸せになれるだろうと思ったのでしょうか。
考えられる理由は残酷なものばかり。きっと女の子は知らなかったのです。自分がどれだけ愛されていたかを。そして誰も教えてあげられなかった。親すらも愛しているという気持ちを。
全てが遅すぎて後悔した時には誰も知らないところでひとり、女の子は告げられていた命の日数よりも早くに冷たくなっていました。それに気づき、女の子の命の短さを知っていたものたちはそれぞれのもつ後悔以上の悲しみに包まれましたが…………誰も涙は流しませんでした。今更女の子のために涙する資格がないと拳だけを固く握ることしかできなかったのです。
ただ知らないのは女の子が誰よりも愛した男の子だけでした。
これは誰も幸せになれない悲しいお話。どうかこれから生きるみなさんが後悔なき人生を送れますように」
ぱたんと閉じられた本。周りを見渡せば涙するものたち。私も知らず知らずに涙がほろりと一筋流れる。何度も読んだ話は何故かとても他人のようには思えない。先祖の血がそうさせているのだろうか?
嘘のおとぎ話では不幸の開幕もなしに奇跡的に薬が見つかり末長く二人が仲良く暮らすようなハッピーエンド。せめて話の中だけでも幸せにと先祖が書いたと聞いている。
ならば何故真実の本も別に作ったのか。先祖の手紙には自らの過ちを忘れないためだとそう記されていた。
これは簡単に記された真実の話だが、さらに詳しい子供には難しい先祖の知る限りの細かい話もある。これはまた別の日に読んでいるけれど。やっぱり誰もが涙を我慢できない。
その本のあとがきすら悲痛な表情で皆が聞く。私自身も震えた声で、それでも聞かせようと必死に。
「人には隠す気持ちがあります。私だってそう。でも本当に伝えたい気持ちを伝えず後悔するならば伝えて後悔すればよかったと思う日々です。
自分の気持ちも言えないのに人に本当の気持ちを言えなんてバカは私の方でした。
もしあの日に戻れるなら私は言いたい。
私はレヴェリーと友達になりたい!ロイエ様と幸せになってほしい!死ぬしかないじゃなくて生きててよかったって思える人生にしよう!って!
今だから言える。いえ、今でも気持ちを書くことでしか表せない私。死が近い恐怖を私はわかってあげられないから臆病になってしまいました。死にたくないって幸せになりたいってレヴェリー様に、レヴェリーに言わせようとして最後まで私は最低でした。
一番出会いの中で短い時間だった私だけど、それでもレヴェリーは素敵な女の子だと思うから。レヴェリーが確かに生きていた事実を本にしました。
レヴェリーがみんなに愛される女の子としてみんなの心の中で生きられるように願って。
ティア・パレン」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ようやく真面目版も二章終了。このページが一番名前に触れるページだっただけに大幅修正いたしました。
色々意見ありますが、真面目版のネーミングは読者様の提案をいただきながらおふざけなく意味など考えて愛ある名前にしております。
これ以上は変える気ないため、ネーミングが気になる方は申し訳ありませんが、私とネーミングセンスが普通に合わないと思い諦めてくださいませ。
by作者
昔から語り継がれた悲しいお話。誰もが知る嘘のおとぎ話の真実を語る話。
「昔々あるところにひとりの女の子がいました。女の子は生まれつき身体が弱く短い命だと生まれたその日から告げられます。女の子の母と父は嘆き、助けてあげられないのが辛いあまりに娘から遠ざかってしまいました。
それでも娘に幸せになってほしい気持ちから親がしたことは娘が好きな人と結婚できるようにしてあげること。女の子が好きになった男の子の父はその子を気に入り男の子の意思をも聞かずに結婚の約束をしました。
しかし、男の子もまた女の子を好きだと思っていました。両想いです。普通ならこれで二人は幸せになれたかもしれません。だけど女の子が恋をしたからといって短い命が長くなるわけではないのです。
そしてまた女の子の命の短さを男の子が知ることはなかったためにすれ違いが起こります。だんだんと外へ出るのがままならなくなる女の子は男の子と会う日々が減り、それを疑問に思う男の子。その内、他の人が好きになって自分に会わないのではと男の子は勘違いしてしまいます。
これが最初の女の子の不幸の始まりでした。
男の子は悩みに悩んで相談したのは生活が変わって友達がうまく作れずひとり佇む少女です。溜め込んだ不安にタイミングよく現れた少女。これは偶然でそれもまた不幸の扉を少しずつ開ける役割を担ったのです。
相談した日から会うようになった二人は仲を深めていき気がつけば惹かれ合う仲に。そしてある日偶然にも調子を取り戻して歩いた命儚い女の子は仲のいい二人をついに見つけてしまいました。
それにより女の子は不幸な決断をします。好きな人を幸せにしたいという気持ち、命の終わりが近いことを知るがために決断してしまった誰もが不幸になる決断を。
女の子がしたこと、それは好きな人に嫌われるようにすること。どんなに辛いことでしょう。どんなに苦しいことでしょう。
それは誰もが想像できない痛み。女の子は終わりを叫ぶ命の痛みすらも我慢して、自分が嫌われるために励みました。
真実を知ったところで誰もその行動を理解するものはいません。自分が嫌われることで死んでよかったと思われたかったのでしょうか、そう思えば自分がいない未来も幸せになれるだろうと思ったのでしょうか。
考えられる理由は残酷なものばかり。きっと女の子は知らなかったのです。自分がどれだけ愛されていたかを。そして誰も教えてあげられなかった。親すらも愛しているという気持ちを。
全てが遅すぎて後悔した時には誰も知らないところでひとり、女の子は告げられていた命の日数よりも早くに冷たくなっていました。それに気づき、女の子の命の短さを知っていたものたちはそれぞれのもつ後悔以上の悲しみに包まれましたが…………誰も涙は流しませんでした。今更女の子のために涙する資格がないと拳だけを固く握ることしかできなかったのです。
ただ知らないのは女の子が誰よりも愛した男の子だけでした。
これは誰も幸せになれない悲しいお話。どうかこれから生きるみなさんが後悔なき人生を送れますように」
ぱたんと閉じられた本。周りを見渡せば涙するものたち。私も知らず知らずに涙がほろりと一筋流れる。何度も読んだ話は何故かとても他人のようには思えない。先祖の血がそうさせているのだろうか?
嘘のおとぎ話では不幸の開幕もなしに奇跡的に薬が見つかり末長く二人が仲良く暮らすようなハッピーエンド。せめて話の中だけでも幸せにと先祖が書いたと聞いている。
ならば何故真実の本も別に作ったのか。先祖の手紙には自らの過ちを忘れないためだとそう記されていた。
これは簡単に記された真実の話だが、さらに詳しい子供には難しい先祖の知る限りの細かい話もある。これはまた別の日に読んでいるけれど。やっぱり誰もが涙を我慢できない。
その本のあとがきすら悲痛な表情で皆が聞く。私自身も震えた声で、それでも聞かせようと必死に。
「人には隠す気持ちがあります。私だってそう。でも本当に伝えたい気持ちを伝えず後悔するならば伝えて後悔すればよかったと思う日々です。
自分の気持ちも言えないのに人に本当の気持ちを言えなんてバカは私の方でした。
もしあの日に戻れるなら私は言いたい。
私はレヴェリーと友達になりたい!ロイエ様と幸せになってほしい!死ぬしかないじゃなくて生きててよかったって思える人生にしよう!って!
今だから言える。いえ、今でも気持ちを書くことでしか表せない私。死が近い恐怖を私はわかってあげられないから臆病になってしまいました。死にたくないって幸せになりたいってレヴェリー様に、レヴェリーに言わせようとして最後まで私は最低でした。
一番出会いの中で短い時間だった私だけど、それでもレヴェリーは素敵な女の子だと思うから。レヴェリーが確かに生きていた事実を本にしました。
レヴェリーがみんなに愛される女の子としてみんなの心の中で生きられるように願って。
ティア・パレン」
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ようやく真面目版も二章終了。このページが一番名前に触れるページだっただけに大幅修正いたしました。
色々意見ありますが、真面目版のネーミングは読者様の提案をいただきながらおふざけなく意味など考えて愛ある名前にしております。
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