(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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3章(真面目版)悪役令嬢とそれぞれの出会い

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後ろにタナカを連れてようやく学園の入学式。私だけが少し制服に違いがあり、真っ黒の帽子に少しでも不審者感をなくすための白のフェイスマスク、後は特殊サングラスとどう見ても顔が見えない状態だ。白い髪を靡かせて明らかに怪しい子供。

だけど、これらを外してしまえば命の危険すらあるのだから仕方のないことだ。

タナカが後ろから日傘も差してくれている。徹底しすぎかもしれない気がしなくもない。タナカも私と似たように顔を隠してしまっているのは私への気遣いだろうか?申し訳なく思う。

おかげで視線は私とタナカと分けられるのだから。まあ結局近くにいるのだからあまり変わらない気もするけれど。

ひとりで不審者もどきになるよりかはよっぽど気が楽になった………と思う。

「タナカ、貴方までそんなことをしなくても………」

「僕、よくわかりやすいって言われるのでこれなら大丈夫かなと」

「…………気にしていたの」

確かにタナカは感情が顔に出やすいタイプだ。使用人にからかわれているのを見たこともある。恥ずかしそうに怒っていたけど、顔を隠してまで気にしていたとは。

「ん?なんか騒がしくありません?」

私の言葉を無視するように違う方向を見て言うタナカに話を逸らそうとしているのかと思えばそうではなく、確かにその方向、私たちが入った入り口の門の辺りから騒がしい音が聞こえてきて私たちが感じていた視線もそちらへ行くのがわかった。

なんだろう?そう思って見た方向からは二人の人物とその後ろからぞろぞろと追いかけるように進む人たち。私からでは二人の人物がよく見えない。

「あれは第8王子その双子の妹の姫君ですね」

「そういえば、父が王族の方が入学すると言ってましたね」

双子の王子と姫は生まれた時から常に一緒に行動するほど仲がいいと聞く。だけど、お二方は生まれたそのときから揃いも揃って笑わず泣きもしない二人に一時期ご病気ではと騒がれたらしい。

しかし、何もなく育つ二人に騒ぎはその内納まったようだけど。

当たり前だけど同じ方向を目的としているのだから立ち止まっていればその大群は近づいてくるわけで、避けようにも道の軸がブレるような視界故にすぐ退くことができないため、タナカに視線をやればタナカは私の手をとって誘導しようとしてくれた。

そのまま素直に誘導だけをされればいいもののこの距離ならとちらり双子の姿を見た。見てしまった。

揃いも揃って双子もまたこちらを見、目が合う。あちらからはサングラスで私の目が見えていないかもしれないけれど。

でもそんなことはどうでもいい。なぜ、なんで?私はあの二人を見てこんなに震えているの?涙が…………。

「お嬢様!」

タナカの慌てた声と共に私の視界は真っ暗となった。
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