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3章(真面目版)悪役令嬢とそれぞれの出会い
2~???視点~
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「すみません!部屋を暗くしてベットを………!」
今日は入学式、騒がしい一日になりそうだと思えばそんな日から早々何かあったらしい。ひとりの少年が顔を隠した人物を抱き上げて保健室へと入ってくる。
幼い割に鍛えているのかなんて落ち着きを見せる私だが、どうしたものかと思う。何せその少年の後ろからはあの有名な双子の王子と姫が。何故この二人がと思うが、まずはぐったりと気を失っているだろう子を診るのが先だろう。
「ん?メモーリア嬢!」
白い髪にようやく気づいて先日診察したメモーリア嬢だと理解した。顔をこれだけ隠している時点で気づくべきだったが、双子の存在に気をとられてしまった。こんなにもすぐ会えることになるとは。だがそれよりもと慌てて部屋を暗くし、メモーリア嬢を受け取ってベッドに寝かせては顔や頭に身に付けたものをとる。
メモーリア嬢が入学するのはわかっていたため、いつでも室内を暗くできるよう早くからカーテンを変えたり色々したかいがあったというものだ。
三人が何故メモーリア嬢を知って?と言う顔をするが、今問うべきではないと理解しているのだろう。診察を静かに待つ。
どうやら気を失っているだけのようだ。だけど、少しばかり涙の跡に気を失った原因はまさかと考える。あの日、メモーリア嬢はレヴェリー・ホープ嬢の生まれ変わりではと考えたが故に。
その原因は前世に関係することだろうと推測する。日に焼けたわけでも苦しそうな様子もなく、息も安定しているメモーリア嬢が倒れることが不思議なくらいだ。
私はいつしか御披露目の時に見た周囲からは氷の双子と言われる王子の方の感じたそれが間違いではなかったと思って口をした。
「アムール・ハイレイン王子は前世を信じますか?」
あの時メモーリア嬢と同じ問いかけをすれば全く感情が動かないとされる王子とその隣の姫が目を見開く姿。メモーリア嬢を運んだ少年だけは首を傾げている。
なるほど、姫の方も誰かの生まれ変わりなのか。そう理解した瞬間だった。
「あの、よくわかりませんがお嬢様は………」
「大丈夫です。気を失っているだけですよ」
「そうですか………」
ほっとした様子の少年は聞いていた彼女の補佐役の従者だろう。いきなり仕える人が倒れればそれは心配する。何があってもレヴェリー嬢………いや、メモーリア嬢を二度も寿命以外で死なせる気はないが。
「お名前を聞いても?」
そう言ったのアムール王子、恐らく前世で私の息子だと思う生まれ変わり。だからこそ私は姫に気づかず王子には気づいたのだと思っている。今は血ひとつ違うあくまで前世の息子だが。
私の友人にも会えば気づける自信はあるが残念ながらまだわからない。前世の友人の娘がここにいるというのに友人は何をしているというのか。
しかし、今はそんなことを思っていても仕方ない。
「私はフェイトと申します。家名はありませんが、代々医師を継いできた家系の生まれです。………前世ではお前の父だと認識している。久しぶりだな、ロイエ」
「ち………っ!?」
ぼそっと耳元で言えば驚きの声をあげそうになる今やひとりの王子に向けて、静かにと口許に指一本を立てる。慌ててアムール王子は口を手で塞ぐ。
どうやら私は間違っていなかったようだ。隣の姫様はわからないが、恐らく私にとってあまり思い入れのない前世の子なのかもしれない。
しかし、それはどうでもいい。今は元息子ロイエとの出会いに素直に喜ぶこととしよう。自分よりも地位の高い元息子というのも不思議なものだが。
今日は入学式、騒がしい一日になりそうだと思えばそんな日から早々何かあったらしい。ひとりの少年が顔を隠した人物を抱き上げて保健室へと入ってくる。
幼い割に鍛えているのかなんて落ち着きを見せる私だが、どうしたものかと思う。何せその少年の後ろからはあの有名な双子の王子と姫が。何故この二人がと思うが、まずはぐったりと気を失っているだろう子を診るのが先だろう。
「ん?メモーリア嬢!」
白い髪にようやく気づいて先日診察したメモーリア嬢だと理解した。顔をこれだけ隠している時点で気づくべきだったが、双子の存在に気をとられてしまった。こんなにもすぐ会えることになるとは。だがそれよりもと慌てて部屋を暗くし、メモーリア嬢を受け取ってベッドに寝かせては顔や頭に身に付けたものをとる。
メモーリア嬢が入学するのはわかっていたため、いつでも室内を暗くできるよう早くからカーテンを変えたり色々したかいがあったというものだ。
三人が何故メモーリア嬢を知って?と言う顔をするが、今問うべきではないと理解しているのだろう。診察を静かに待つ。
どうやら気を失っているだけのようだ。だけど、少しばかり涙の跡に気を失った原因はまさかと考える。あの日、メモーリア嬢はレヴェリー・ホープ嬢の生まれ変わりではと考えたが故に。
その原因は前世に関係することだろうと推測する。日に焼けたわけでも苦しそうな様子もなく、息も安定しているメモーリア嬢が倒れることが不思議なくらいだ。
私はいつしか御披露目の時に見た周囲からは氷の双子と言われる王子の方の感じたそれが間違いではなかったと思って口をした。
「アムール・ハイレイン王子は前世を信じますか?」
あの時メモーリア嬢と同じ問いかけをすれば全く感情が動かないとされる王子とその隣の姫が目を見開く姿。メモーリア嬢を運んだ少年だけは首を傾げている。
なるほど、姫の方も誰かの生まれ変わりなのか。そう理解した瞬間だった。
「あの、よくわかりませんがお嬢様は………」
「大丈夫です。気を失っているだけですよ」
「そうですか………」
ほっとした様子の少年は聞いていた彼女の補佐役の従者だろう。いきなり仕える人が倒れればそれは心配する。何があってもレヴェリー嬢………いや、メモーリア嬢を二度も寿命以外で死なせる気はないが。
「お名前を聞いても?」
そう言ったのアムール王子、恐らく前世で私の息子だと思う生まれ変わり。だからこそ私は姫に気づかず王子には気づいたのだと思っている。今は血ひとつ違うあくまで前世の息子だが。
私の友人にも会えば気づける自信はあるが残念ながらまだわからない。前世の友人の娘がここにいるというのに友人は何をしているというのか。
しかし、今はそんなことを思っていても仕方ない。
「私はフェイトと申します。家名はありませんが、代々医師を継いできた家系の生まれです。………前世ではお前の父だと認識している。久しぶりだな、ロイエ」
「ち………っ!?」
ぼそっと耳元で言えば驚きの声をあげそうになる今やひとりの王子に向けて、静かにと口許に指一本を立てる。慌ててアムール王子は口を手で塞ぐ。
どうやら私は間違っていなかったようだ。隣の姫様はわからないが、恐らく私にとってあまり思い入れのない前世の子なのかもしれない。
しかし、それはどうでもいい。今は元息子ロイエとの出会いに素直に喜ぶこととしよう。自分よりも地位の高い元息子というのも不思議なものだが。
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