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5章悪役令嬢の記憶の鍵
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学園の休日、ダリィは今まで以上に笑顔だった。それはもう双子の王子様とお姫様がこの伯爵家に来たその瞬間から。
私は来なくても大丈夫と言われたが、父と母がいない今、子供だろうと王族たるお方の出迎えを従者に任せるわけにもいかない。しかもダリィと年齢は変わらないわけだし。
そして渋々とばかりにダリィを説得してなんとか私も重装備をして出迎えたわけだが…………
「先触れもなく突然の来訪とは………さすがに王族といえど失礼では?」
「ダリィっ」
一介の従者であるダリィがいくら笑顔を浮かべているとはいえ、あまりな態度に思わず咎めるようにして呼ぶ。初っぱなから歓迎していないとばかりの態度だ。実際ダリィは歓迎していないようにしか思えないけど。
「手紙を出してもどうにもよい返事が頂けなかったし………学園では迷惑をかけるようだからね」
手紙?王子の言葉に首を傾げてしまう。そんな話は聞いておらずダリィを見るも相変わらずの笑顔。よく見れば目は笑っていない気がする。
「ご迷惑はおかけしません。ハッピーニ嬢とお話がしたいのです」
下手に出るようにしていうのはお姫様。お姫様に下手に出られると妙に緊張してしまう。
「来ること自体が迷惑です」
だというのに、何言ってるんですか?とばかりにあははとバカにするようなダリィの笑みにあたふたしてしまうのは私だけなのだろうか?
二人が怒らないのがせめての救いだ。
「僕………、私は君と話したい」
「僕とですか」
「お兄様?」
「彼に認めてもらわなければハッピーニ嬢と会話すらままならないだろう?」
「そうですね……わかりました」
まさかのダリィ指名。二人してダリィと話し合う。そう決めたようだ。その指名にすっとダリィの笑みが消えた。
「一度お話したいとは思っていました。ですが、お嬢様の傍を離れるわけにはいきませんし、旦那様の許可も必要ですので後日お願い致します」
「………わかりました」
「ハッピーニ嬢、またお会いしにいきます」
「え?はいっ」
ダリィも了承し、なんだかよくわからない展開を眺めていれば突然お姫様から声がかかり驚きの声で返事をするはめに。
「油断ならないな………」
ぼそりとダリィから呟きが聞こえたが、何を言ったかまではわからない。
そしてお二人はそのまま帰宅していき、嵐は去った。それからダリィはいつも通りで変わりない。なんであそこまでダリィはあの方たちを警戒するのか不思議だ。
私もまた近づくのが怖いと手足がひそかに震えてしまう。ダリィもあの王子が何か怖いと思うあまり意地でも張ってしまうのだろうか。
何はともあれ私は誰よりあの王子様が気になって仕方がない。なんでこんなにも怖く、でも惹かれてしまうのだろうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
始まるか?ツグナイプラス元ヒロインVSダーリンの戦いが!
by作者
私は来なくても大丈夫と言われたが、父と母がいない今、子供だろうと王族たるお方の出迎えを従者に任せるわけにもいかない。しかもダリィと年齢は変わらないわけだし。
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手紙?王子の言葉に首を傾げてしまう。そんな話は聞いておらずダリィを見るも相変わらずの笑顔。よく見れば目は笑っていない気がする。
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「来ること自体が迷惑です」
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二人が怒らないのがせめての救いだ。
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「僕とですか」
「お兄様?」
「彼に認めてもらわなければハッピーニ嬢と会話すらままならないだろう?」
「そうですね……わかりました」
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「一度お話したいとは思っていました。ですが、お嬢様の傍を離れるわけにはいきませんし、旦那様の許可も必要ですので後日お願い致します」
「………わかりました」
「ハッピーニ嬢、またお会いしにいきます」
「え?はいっ」
ダリィも了承し、なんだかよくわからない展開を眺めていれば突然お姫様から声がかかり驚きの声で返事をするはめに。
「油断ならないな………」
ぼそりとダリィから呟きが聞こえたが、何を言ったかまではわからない。
そしてお二人はそのまま帰宅していき、嵐は去った。それからダリィはいつも通りで変わりない。なんであそこまでダリィはあの方たちを警戒するのか不思議だ。
私もまた近づくのが怖いと手足がひそかに震えてしまう。ダリィもあの王子が何か怖いと思うあまり意地でも張ってしまうのだろうか。
何はともあれ私は誰よりあの王子様が気になって仕方がない。なんでこんなにも怖く、でも惹かれてしまうのだろうか?
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