(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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5章悪役令嬢の記憶の鍵

4~ダーリン視点~

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僕は拾われた。そうお嬢様には伝えているが実際は違う。これは僕と旦那様と奥方様との秘密。

僕らは出会う運命だったと思っている。

僕はお嬢様に仕えてからいつもお嬢様が寝静まった頃に旦那様の書斎へと赴く。

「失礼します」

「毎日すまないな」

「いえ、これも僕のお役目ですから」

「本来ならダーリンをハニーの婚約者にしたいところだが………」

「それはだめですよ。ハッピーニの意思を大切にすべきです。今の僕は彼女の傍にいられるだけでも嬉しくて仕方がありませんしね」

これは本音だ。もちろん互いに同じ気持ちになり、婚約者となって将来結婚をして彼女を妻とできるならそれ以上の幸せはないけれど。

今のハッピーニに。だからこそ自分の意思で今の人生を歩めるように今の記憶だけで思い出を、今を作っていってほしいと願う。それは旦那様も奥方様も同じ。

「きっとハッピーニは君を選ぶよ」

「そうだと嬉しいですね。だけど、僕にはわからない前世の記憶を持つ人物がいます。大体予想はつきますが、そうなるとあの中にコーカイという人物も………」

ハッピーニの心をどこまでも縛る人物。またハッピーニを苦しめる気だろうかと一番警戒すべき人物。

「いる可能性はあるだろう。前世記憶がありそうな人物はハッケン医師、双子の王子と姫、学園の生徒会長、インコ………だったか」

「保健室で話を聞いていた限りでは。彼らは僕は何も関係ないと思っているでしょうね。まあ、知るはずもありませんが」

あのハッケンという医師はまるで確認をするように前世という言葉を出した。後はその言葉に対してあの双子の様子を見れば確信に至り、さらに後に来た生徒会長は自ら母と、インコもまた父だと話していたのを眠るハッピーニを見守りながら聞いていた。

『思い出してほしいと思わないのは私の我が儘でしょうかね』

そんな生徒会長である彼の言葉には殺意を抱いた。あれを思い出せと言うのかと。

それについての報告も旦那様にしてある。あの優しい旦那様も珍しく怒りを顔に浮かべていた。

『新たなる人生の幸せすら願えないのか、ハニーを苦しめてきたものたちは』

前世など本来思い出すものでもなんでもない。何故新たな人生で関わろうとし、辛い記憶を呼び戻そうとするのか理解できなかった。

思い出すことでどれだけハッピーニが苦しむか、原因を作った本人たちにはわからないのだろうか。

「何はともあれ、わかっている私たちだけでハニーの心を守ろう。信用できるのは君と妻だけだからね。何せ君はハニーの元婚約者として死ぬまでハニーを支え続けた。最後ハニーが自分を取り戻せたのは君のお陰だ。もう一度ハニーの親になれたのも、君に出会えたのもこれは決して偶然ではないだろう」

「私もそう思います。ハッピーニの幸せは誰にも邪魔などさせません」

例えハッピーニが別の誰かを好きになろうとそれがハッピーニの幸せならば僕は僕の気持ちすら押し殺してハッピーニの幸せを優先する。

だからこそ、それを壊そうとする人物は誰であろうと許さない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

着々とタイトル回収しております。

何となく読めてきましたか?

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