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5章悪役令嬢の記憶の鍵
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どうにもおかしい………そんなことを思うのはあれから数日ハッケン先生ではなく家では別の医師が担当することになったこと。
学園内では仕方ないにしてもハッケン先生とダリィは雰囲気の悪さが半端じゃなく、それはハッケン先生でなく双子の王族や生徒会長に対してもだった。
「あなた方はお嬢様の負担となります。学園ではあまり近づかないでください。あなた方と仲良くしたい方は多いようですから。生徒会長、あなたもです。人望があることを悪いとは言えませんが時にそれは害悪さえ生みますから」
「………っ」
「そう、ですね。危険に晒したいわけではありませんし………」
「ならせめてインコだけでもハッピーニ嬢のお側につけてはだめですか?賢いインコですのでお役に立つと………」
王子は何も言えないとばかりに唇を噛み締め、お姫様は残念そうに眉を下げたが、生徒会長だけは諦め悪くインコを私の方に差し出す。ダリィが前に立って阻止されたけれど。
「お嬢様の傍には常に私がいますのでインコは必要ありません。保健室の先生がインコを欲しがるような欲の目で見ていたようですし、他人に差し上げられるものならハッケン先生とやらにあげては?」
今有名人三人のせいで注目の的。しかし、ダリィのおかげで目立つだろう私が少しだけ霞む気がした。私だけでこの三人を相手するならば参っていただろう。
私は伯爵令嬢として失格かもしれないけれど人と関わることが苦手だから。
「ハッケンセンセイハチョット………」
ダリィの言葉に反応したのは生徒会長が差し出す手に乗ったトリニー。正直フルネームは覚えてない。言葉を理解しているインコとは確かに生徒会長が言うように賢いのだろう。
この賢いインコに遠慮されるハッケン先生は何なのだろう?ダリィにも嫌われているし、私の知らないところでハッケン先生に何か秘密でもあるのだろうかと疑ってしまいそうだ。
「これ以上注目されてはたまりません。何よりお嬢様の体に障るかもしれませんから二度と話しかけないでください」
そんな思考ばかりしていればダリィの厳しい言葉。いくら身分は関係ないという学園とはいえ、王族相手にすら怯えず意見を言うダリィの強さは一体どこから来るのか。それでも私の身体を思ってやってくれているのだろうダリィを叱ろうなんて思えない。
『ダーリンは素晴らしい拾いものだ!必ずハニーの盾となる。相手が誰だろうとね』
父が母と入れ替わるようにして私の様子を見に来たときに言った言葉がふと頭を過る。母もダリィを信用しているように思えた。今更だけどダリィは何者なのだろう?
そう考えている間に、何か言おうとする三人を無視してダリィが私を手招くように手を引っ張ってその場から連れ出してくれる。
そんなダリィの背中を見たらダリィが何者でもいいような気がした。ダリィはどこまでも私の味方でいてくれる、そんな感じがしたから。
何の味方かって言われれば困ってしまうけれど、ダリィの傍はとても安心できる。まだそう月日は経ってないはずなのに、ダリィは大丈夫だと思う自分がいた。
学園内では仕方ないにしてもハッケン先生とダリィは雰囲気の悪さが半端じゃなく、それはハッケン先生でなく双子の王族や生徒会長に対してもだった。
「あなた方はお嬢様の負担となります。学園ではあまり近づかないでください。あなた方と仲良くしたい方は多いようですから。生徒会長、あなたもです。人望があることを悪いとは言えませんが時にそれは害悪さえ生みますから」
「………っ」
「そう、ですね。危険に晒したいわけではありませんし………」
「ならせめてインコだけでもハッピーニ嬢のお側につけてはだめですか?賢いインコですのでお役に立つと………」
王子は何も言えないとばかりに唇を噛み締め、お姫様は残念そうに眉を下げたが、生徒会長だけは諦め悪くインコを私の方に差し出す。ダリィが前に立って阻止されたけれど。
「お嬢様の傍には常に私がいますのでインコは必要ありません。保健室の先生がインコを欲しがるような欲の目で見ていたようですし、他人に差し上げられるものならハッケン先生とやらにあげては?」
今有名人三人のせいで注目の的。しかし、ダリィのおかげで目立つだろう私が少しだけ霞む気がした。私だけでこの三人を相手するならば参っていただろう。
私は伯爵令嬢として失格かもしれないけれど人と関わることが苦手だから。
「ハッケンセンセイハチョット………」
ダリィの言葉に反応したのは生徒会長が差し出す手に乗ったトリニー。正直フルネームは覚えてない。言葉を理解しているインコとは確かに生徒会長が言うように賢いのだろう。
この賢いインコに遠慮されるハッケン先生は何なのだろう?ダリィにも嫌われているし、私の知らないところでハッケン先生に何か秘密でもあるのだろうかと疑ってしまいそうだ。
「これ以上注目されてはたまりません。何よりお嬢様の体に障るかもしれませんから二度と話しかけないでください」
そんな思考ばかりしていればダリィの厳しい言葉。いくら身分は関係ないという学園とはいえ、王族相手にすら怯えず意見を言うダリィの強さは一体どこから来るのか。それでも私の身体を思ってやってくれているのだろうダリィを叱ろうなんて思えない。
『ダーリンは素晴らしい拾いものだ!必ずハニーの盾となる。相手が誰だろうとね』
父が母と入れ替わるようにして私の様子を見に来たときに言った言葉がふと頭を過る。母もダリィを信用しているように思えた。今更だけどダリィは何者なのだろう?
そう考えている間に、何か言おうとする三人を無視してダリィが私を手招くように手を引っ張ってその場から連れ出してくれる。
そんなダリィの背中を見たらダリィが何者でもいいような気がした。ダリィはどこまでも私の味方でいてくれる、そんな感じがしたから。
何の味方かって言われれば困ってしまうけれど、ダリィの傍はとても安心できる。まだそう月日は経ってないはずなのに、ダリィは大丈夫だと思う自分がいた。
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