(タイトル変更予定あり)前世悪役令嬢だった私が前世の婚約者に溺愛されています

荷居人(にいと)

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6章もうひとつの悪役令嬢~ダーリン・ハッピーニ編~

5~ダーリン視点~

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「毎日ありがとう。ハニーは随分と暴れることが少なくなった」

「いえ、僕がハピーに会いたくて来ているだけですから」

意識的か無意識か、時折ハッピーニは使用人の持ってきた食事や飲み物をいらないとばかりにはね除け物を投げたり、暴言を吐いたりすることがある。

でも、何故そんなことをと問うと何のことだと忘れている様子で、それを目の前で見ているときはもちろん止めるものの、止まるのは急で、止める前に大人しくなっては暴れていたのが嘘のように静かになることもあった。

そして周囲のことが見えてないとばかりに次は無視が続いたり、いつの間に?と今気がついたとばかりに僕を見て首を傾げたり。

そんなハッピーニの様子を見るのは僕だけではない。その日その日でハッピーニの様子は大きく変わり、パターンはだいたい3パターンなためこの屋敷の人と僕はよく理解している。

そんな日々が続いて結局ハッピーニはそのままに僕だけが学園を卒業した。父も僕がそれだけハッピーニを想っていると理解してか、結婚できる年になっても自分達のペースですればいいと許してくれている。

ハッピーニの今の様子を見て結婚できる日が来るのかとサセル伯爵の方が気を遣ってくれているのが現状。

「ダーリン様は今でもハニーと結婚したいと望んでいてくれているのだろうか」

「はい。ハッピーニ嬢以外に考えられません」

「生涯今のままになるかもしれないとしても?」

「はい、僕はハッピーニの傍にいられるならそれだけで幸せです。子を授けられないとなると父に申し訳がありませんが、跡継ぎは養子という手もありますし。それに僕はハッピーニと結婚できるまでは父の後を継がないとも言いました」

「! 身分を捨てると?」

「ハッピーニ嬢の傍にいられるなら身分のことは後でいいんです。いつでも継げるように、継げなかったとしてもハッピーニ嬢に将来不自由させたないためのことも考えております。なので、伯爵様は伯爵家存続を考えていただけたら………」

「ダーリン様がそこまで覚悟なさるならば、私は伯爵家をダーリン様に託します」

「! 僕の覚悟は僕の我が儘でもあります!それに………」

「ダーリン様がご自身の家を継げる際には養子をとるなり、ハニーの子を継がせるなり考えましょう。もし、あちらの家を継げない状況ならば伯爵家を継いでください。もしものときは民に苦労させる気はありませんからな。そこはまた考えがありますので気になさらないでください」

「ありがとうございます………!」

ハッピーニの幸せを願うのは僕だけじゃない。ハッピーニはこんなにも深く愛されている。だけど、ハッピーニは好意を受けとることを怖がっているように思えた。それは今も。

いつか好きから愛へと深くなっていく好意を信じてもらえるよう僕はハッピーニを諦めない。

ハッピーニを幸せにすると心に決めたのだから。ハッピーニを愛するひとりの男として。
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