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7章もうひとりの悪役令嬢と~ダーリン編2~
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「十分よ、ダリィ」
ハッピーニの親たちが気を遣ってくれた二人だけの空間で、手術後目を覚ましたハッピーニに完全な成功とは言えない結果をそのまま伝えれば涙も見せず笑顔でそう答える。
「でも……」
「だって余命が延びたんだもの。何もできないはずだったこの病に少しでも対抗できた証だわ」
僕を責めてもいいのに。そんな病の本人が、ハッピーニがそう言うのだからそれ以上自分が嘆くわけにはいかなかった。だが、本当に失敗だったなら死なせていた可能性もあるのだからそれを思えばハッピーニのように前向きに考えてもいいのかもしれない。
手術後もハッピーニはこうして生きているのだから。何より手術前より確実にハッピーニは長く生きられるようになった。それは決して僕や普通の人とは違い短い命に変わりはないけれど。
ハッピーニもその親でさえもそれだけでも十分だと僕が気にかけないように言ってくれるのだから余計に夢に見た未来を実現させたかったとそう感じた。
『私、コーカイと出会えて幸せだったわ』
死に際に涙を流しながら伝えてくれたアイが頭の中を駆け巡る。また、あの光景をハッピーニで見ることになるんだろうか?
『ねぇ、コーカイ様、アイ様の願いを叶えてあげましょう?』
『名前を呼ぶな』
『ふふ、照れないで聞いてくださいまし。聞いていませんか?アイ様はコーカイ様が違う方との結婚を望んでいること。幸せを願っていましたよ、コーカイ様の』
『誰がお前の言うことなど』
『寂しいですわ。私、こんなにもコーカイ様をお慕いしていますのに。でもすぐわかります。それが本当だと』
そして知った俺だけが知らないアイの願いを、また聞かなければならないのだろうか?
『確かにアイは……』
それが真実だと知ってアイの愛を忘れて次へ進んでほしいと……そう知らぬところで願うのか?誰よりも認めてほしい人に忘れられる愛だと思われた僕が、例えそれが僕のためだったとしてもどんな気持ちだったかあの時の僕のアイは考えたのだろうか。
「ダリィ?」
「あ……ごめん。少し頭を冷やしてくるよ」
「……ええ」
例え僕の知る君が今舞い降りたとしてもアイの亡くなった後の僕をアイは知らない。アイの願いを無下にしないためにはアイへの愛を裏切らなければならないことに耐えきれず自殺したことを。
それほどに君への愛が深かった。それをアイに理解してもらえなかったことが君を亡くした時よりもよっぽど辛く感じたんだ。君は知らないだろうけど。
ハッピーニの親たちが気を遣ってくれた二人だけの空間で、手術後目を覚ましたハッピーニに完全な成功とは言えない結果をそのまま伝えれば涙も見せず笑顔でそう答える。
「でも……」
「だって余命が延びたんだもの。何もできないはずだったこの病に少しでも対抗できた証だわ」
僕を責めてもいいのに。そんな病の本人が、ハッピーニがそう言うのだからそれ以上自分が嘆くわけにはいかなかった。だが、本当に失敗だったなら死なせていた可能性もあるのだからそれを思えばハッピーニのように前向きに考えてもいいのかもしれない。
手術後もハッピーニはこうして生きているのだから。何より手術前より確実にハッピーニは長く生きられるようになった。それは決して僕や普通の人とは違い短い命に変わりはないけれど。
ハッピーニもその親でさえもそれだけでも十分だと僕が気にかけないように言ってくれるのだから余計に夢に見た未来を実現させたかったとそう感じた。
『私、コーカイと出会えて幸せだったわ』
死に際に涙を流しながら伝えてくれたアイが頭の中を駆け巡る。また、あの光景をハッピーニで見ることになるんだろうか?
『ねぇ、コーカイ様、アイ様の願いを叶えてあげましょう?』
『名前を呼ぶな』
『ふふ、照れないで聞いてくださいまし。聞いていませんか?アイ様はコーカイ様が違う方との結婚を望んでいること。幸せを願っていましたよ、コーカイ様の』
『誰がお前の言うことなど』
『寂しいですわ。私、こんなにもコーカイ様をお慕いしていますのに。でもすぐわかります。それが本当だと』
そして知った俺だけが知らないアイの願いを、また聞かなければならないのだろうか?
『確かにアイは……』
それが真実だと知ってアイの愛を忘れて次へ進んでほしいと……そう知らぬところで願うのか?誰よりも認めてほしい人に忘れられる愛だと思われた僕が、例えそれが僕のためだったとしてもどんな気持ちだったかあの時の僕のアイは考えたのだろうか。
「ダリィ?」
「あ……ごめん。少し頭を冷やしてくるよ」
「……ええ」
例え僕の知る君が今舞い降りたとしてもアイの亡くなった後の僕をアイは知らない。アイの願いを無下にしないためにはアイへの愛を裏切らなければならないことに耐えきれず自殺したことを。
それほどに君への愛が深かった。それをアイに理解してもらえなかったことが君を亡くした時よりもよっぽど辛く感じたんだ。君は知らないだろうけど。
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