悪役令嬢の義弟となるはずだった子は断罪の場でとんでもないことを言い出した

荷居人(にいと)

文字の大きさ
1 / 35
悪役令嬢編ー完結ー

1

しおりを挟む
「貴様とは婚約破棄だ!」

悪役令嬢に転生したと気づいてそれなりに頑張ったつもりだったけどどうにもならなかったのはヒロインもまた転生者だからだろう。最初は気のせいかと思ったが、あまりにも私がどう動こうと前世していた乙女ゲームと話が変わらず進んでいるから。

そのため今、卒業パーティーにて大勢の前で私は婚約者である王太子殿下により、今から断罪パーティーが始まるのだとそっとため息を吐いた。

この後あれやこれやと罪を言われ、悪役令嬢たる私が処刑されるのがストーリーの終わりとも言える。なのに私がここまで冷静なのは断罪前に私を絶対助けると私やヒロインのように同じく転生したかわいい存在が味方をしてくれると言ってくれたから。

うまくいくかなんてわからないけれどその優しい気持ちが私を支えてくれていた。

「婚約破棄です……か」

「それだけじゃない!貴様は身分を盾にニヤーリカをいじめた!」

「いじめてませんが………?」

「ふんっ言い訳など聞きたくもない!ニヤーリカは私の伴侶となる!つまり未来の王妃!その王妃をいじめたんだ!つまり貴様は処刑だ!」

「ちょっとまっちゃああああっ」

「は?」

意気揚々に叫んだ殿下の言葉に異議ありとばかりに叫んだ可愛らしい声はあっという間に私たちに集めていた視線をかっさらった。うまく回らない呂律がなんとも可愛らしく、ぴりぴりしていた空気が少しばかり和んだのがわかる。どうやら殿下は邪魔されたことが気にくわないとばかりに声を少しあげたようだが。

仮にもご自身の弟に。

「まあ、リバース殿下ですわ………なんとかわいらしい」

「ですが、何故ここに………王太子殿下を祝いにきたのかしら?」

ざわざわとする周りは急に現れたリバース殿下に興味津々。そう、私のかわいい味方は今注目の的の4歳の子供。何も問題なく王太子殿下と結婚していたなら弟となっていた存在だ。

本当の弟ではないのにお言葉を覚える頃には私を姉と慕ってくれ、リバース殿下が言うには私はまだぴんと来てないけど前世での知り合いでもあるみたいだし、可愛らしいながらも心強いことこの上ない。まさか本当に来てくれるなんて随分と私のヒーローは頑張ってくれたようだ。

「おに、おにぃ………ふぅ、ふぅ」

小さい足で頑張ってきた上で私を庇うために叫んだのだろう。何か王太子殿下に言いたいそうだが、一息つかなければ難しそうだ。その様子を誰もが温かく見守る。

邪魔しやがってとばかりにリバース殿下を睨む王太子殿下も、やはり兄なのか、ここで責めては余裕がないと見られかねないと危惧しているのか、黙って見守っている。

とことこと走ってるのか歩いてるのかわからない速度でこちらに来たリバース殿下は私の前に立ち、ふぅふぅと少し落ち着いてから王太子殿下に向き直り、指を突きつけた。

「おねえしゃまをいじめないで!いじめたらゆるしゃないよ!」

うん、とても可愛らしいヒーローである。でも………

「リバース殿下、人に指を差してはいけませんよ」

「あ、ごめんなしゃい」

ちゃんとだめなことはだめという注意は大事だ。素直に謝れるリバース殿下はきっといい子に育つだろう。
しおりを挟む
感想 167

あなたにおすすめの小説

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」 婚約者として五年間尽くしたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。 他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

あの日々に戻りたくない!自称聖女の義妹に夫と娘を奪われた妃は、死に戻り聖女の力で復讐を果たす

青の雀
恋愛
公爵令嬢スカーレット・ロッテンマイヤーには、前世の記憶がある。 幼いときに政略で結ばれたジェミニ王国の第1王子ロベルトと20歳の時に結婚した。 スカーレットには、7歳年下の義妹リリアーヌがいるが、なぜかリリアーヌは、ロッテンマイヤー家に来た時から聖女様を名乗っている。 ロッテンマイヤーは、代々異能を輩出している家柄で、元は王族 物語は、前世、夫に殺されたところから始まる。

【完結】氷の令嬢は愛を請わない - 捨て子の『義妹』に愛も家族も奪われたマリーローズの逆襲

恋せよ恋
恋愛
銀髪紫眼の美貌の侯爵令嬢、マリーローズ。 完璧な淑女に育った彼女だったが、母は捨て子ジュリエットを寵愛。 婚約者の公爵家嫡男アレックスも、友人も、次々に奪われる――。 家族に裏切られ、すべてを失った彼女が下した決断は、 家族を見かぎり、国を捨て、自らの人生を取り戻すこと。 理不尽な悲恋を力に変え、運命をひっくり返す令嬢の逆転劇! 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな
恋愛
 王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。 「お前との婚約を破棄する!!」  私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。  だって、私は何ひとつ困らない。 困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。

《完結》氷の侯爵令息 あなたが子供はいらないと言ったから

ヴァンドール
恋愛
氷の侯爵令息と言われたアラン。彼は結婚相手の伯爵令嬢にとにかく冷たい態度で接する。 彼女は義姉イライザから夫が子供はいらないと言ったと聞き、衝撃を受けるが気持ちを切り替え生きていく。

10回目の婚約破棄。もう飽きたので、今回は断罪される前に自分で自分を追放します。二度と探さないでください(フリではありません)

放浪人
恋愛
「もう、疲れました。貴方の顔も見たくありません」 公爵令嬢リーゼロッテは、婚約者である王太子アレクセイに処刑される人生を9回繰り返してきた。 迎えた10回目の人生。もう努力も愛想笑いも無駄だと悟った彼女は、断罪イベントの一ヶ月前に自ら姿を消すことを決意する。 王城の宝物庫から慰謝料(国宝)を頂き、書き置きを残して国外逃亡! 目指せ、安眠と自由のスローライフ! ――のはずだったのだが。 「『顔も見たくない』だと? つまり、直視できないほど私が好きだという照れ隠しか!」 「『探さないで』? 地の果てまで追いかけて抱きしめてほしいというフリだな!」 実は1周目からリーゼロッテを溺愛していた(が、コミュ障すぎて伝わっていなかった)アレクセイ王子は、彼女の拒絶を「愛の試練(かくれんぼ)」と超ポジティブに誤解! 国家権力と軍隊、そしてS級ダンジョンすら踏破するチート能力を総動員して、全力で追いかけてきた!? 物理で逃げる最強令嬢VS愛が重すぎる勘違い王子。 聖女もドラゴンも帝国も巻き込んだ、史上最大規模の「国境なき痴話喧嘩」が今、始まる! ※表紙はNano Bananaで作成しています

処理中です...