悪役令嬢の義弟となるはずだった子は断罪の場でとんでもないことを言い出した

荷居人(にいと)

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へんた………王太子編ー完結ー

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「しょーいえばね、おにいしゃまが……」

「な、なんだ!?何もしてない!してないからな!」

もう下手なことを言われたくなくて思わず先に否定しまったが最後。

「怪しいですわ………」

「一体これ以上幼い殿下に何を………」

より軽蔑するような視線が集まって何もしていないのに悪いことをしたような、逃げ出したい気分になった。しかし、そんな時

「何の騒ぎだ」

「ち、父上………」

タイミングよく現れた父の姿。助かったかもしれないと思った。父なら、父なら息子である私が誤解を受けていることをわかってくれるに違いないと。

昔、悪に真実を突きつけ慈悲のない罰をくだしてきた父ならば、普段はリバースの味方とはいえ、王太子たる私がそんなことをするはずがない。嘘だと真実を明かしてくれるに………

「おとうしゃま!たすけてくだしゃい!ぼく、おにいしゃまにいつもここいっぱいさわりゃれてきもちわるいの!」

「な………っ」

ちがいないはず。そう期待するうちに出遅れた。ただそれだけで嫌な予感がしてたまらない。してない、そんな趣味私にはない。急に変なことを言われて、今の父はその言葉に驚いただけだ。父ならば、父ならば……

「やややややってない!そんな趣味はない!!!父上!違うのです!」

信じているのに、何故私はこんなにも冷や汗が止まらない?

「リバーが嘘を吐くとでも?何故、今まで言わなかったんだい?リバー」

なん、で…………

「おにいしゃまがいうなって……いったらおねえしゃまにひどいことしゅるっていうから……がまんしてたの」

そんなこと、そんなこと言ってはいない。

「おお!なんてことを!気づいてやれなくてすまない!」

父上、父上、何故ですか?同じ息子なのに何故リバースばかり信じるのですか?

「でもね、でもね、がまんしてたのに、おねえしゃまをね、おにいしゃまがいじめようとするからぼくがんばっていったの!えらい?」

リバース、リバース、リバース………!何故そんなにも私を………!

「アマリア嬢を助けるために………よくがんばったな。えらいぞ!」

「さすがはリバース殿下!」

「紳士の鏡です!」

誰もがリバースを称えて拍手をする。なんなんだ、この異様な雰囲気は。何故リバースばかりをそうも信じられる?私がそんなやつだと父上さえどこかで思っていたのか………?

「本当に、違うんだ……そ、それに証拠も………」

そうだ、証拠……証拠がないのだ!なのに私を信じない方がおかしい。そう思い口を出せば

「変態殿下は黙ってください!」

私を侮辱する言葉が。変態?変態と私に言ったのか!?

「なっ!誰だ!今私を侮辱したのは……」

不敬罪と言える行為に一気に怒りがわいたそのとき、ひとりの令嬢が私の前に歩み出た。

「侮辱も何も事実でしょう?4歳の子供に証拠を出せなんてバカなんですか?証拠もなしにアマリア嬢がそこの変態娼婦をいじめたと言って婚約破棄を叫ぶくらいですからバカでしたね。これはこれはわかりきったことを失礼いたしましたわ」

それは私に何も言わなくさせた。違う、ちゃんと証拠は………ニヤーリカが証拠が………

「なるほど?婚約破棄に、証拠のないいじめと………随分勝手をしたようだな?変態王子よ」

私の言葉を聞きもせず、父までもが私を変態呼ばわりした。私が弟に卑猥なことをしたと信じている証拠だった。

「ち、父上まで!信じてください!私は………!そうだ!アマリア!これは嘘だと言ってくれ!アマリアならわかるだろう?俺がそんな変態ではないことを!」

どうすればそう思ったときに閃いた。婚約者であるアマリアが否定してくれたならば、アマリアを好いているリバースも無下にはできないだろうと。

「私にはわかりかねます………。何せニヤーリカ様とばかり愛し合っていたようですし、私はニヤーリカ様をいじめたとやってもない罪を被せてくれるばかりで………。そんな中、リバース殿下だけが私の癒しでした。でも、まさか………王太子殿下に男の趣味がございましたなんて………。恋愛模様は人それぞれですから、差別などいたしませんが、それを隠したいからと実の幼い弟に手を出すのはいかがなものかと。私も気づいていれば止めていましたものを………リバース殿下申し訳ございません」

「ううん、おねえしゃまをまもれてよかった!」

なのに私を庇うどころかリバースの味方をしたアマリア。ニヤーリカをアマリアがいじめたのは事実じゃないか。それに婚約者なら私を庇うのが普通だろう?これでは本当に私が変態扱いされるではないか。それでいいのか?

もはや呆然とするしかなかった。
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