悪役令嬢の義弟となるはずだった子は断罪の場でとんでもないことを言い出した

荷居人(にいと)

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へんた………王太子編ー完結ー

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「はぁ……いじめてなどいない。寧ろそやつがニヤーリカをいじめたから言っているんだ」

だが、ここでまた怒鳴っては弟の思うツボ。伊達にしてやられてきたわけじゃない。ここは城のものではないものたちばかりが大勢いる。冷静に対処せねば。

「おねえしゃまいじめるならぼく、おにいしゃまがいうなっていったあのこといっちゃうもん!」

「なんのことだ」

もちろんそんな言われたくない秘密など私にはない。どうやら私を脅そうとしたらしいがやはり所詮幼児、相手にならな………

「おにいしゃまがそのおんなのひとと、きもちわるいことして、ぼくにみせてきたこと!」

何のことだ!?

「リバース殿下、気持ち悪いこととは?」

「えっとね、ふたりが、ふくぬいでね、んとんと」

おい、わざとか!どう考えても誤解を与えるような言葉!可愛い子ぶってはいるが、言ってることはとんでもないことでしかない。

「正気ですか!?殿下!」

「ち、違う!私にそんな趣味はない!」

何故、何故急にこんなことに。気がつけばアマリアが私を責めるような目で見ている。周囲さえも。

「うそだ!おにいしゃま、これがせーきょういくだぁ!っていってたもん!ぼく、きもちわるかったけど、おにいしゃまがみてろって………ううっ」

言ってない!やってない!濡れ衣だ!性教育だなんてどこで覚えた!?

「あんなに幼い殿下に……」

「トラウマでも植え付けるつもりだったのかしら……」

「最低ですわ………」

「同じ男だと思いたくないな」

明らかにこちらに不利な状況。何故いつもいつもこの弟は周囲を味方にとれるんだ?俺がいくら否定しても誰も信じちゃくれない。

「出鱈目言うな!そんなことするはずがっ!何故離れていく!?私は何も………!」

それでも否定しなければ肯定ととられる。こんな変態みたいなこと肯定してたまるか!

「そうよ!殿下はそんな趣味の悪いことなさらないわ!」

そんな時ただひとり、私の愛しのニヤーリカが庇ってくれた。ああ、ニヤーリカさすがは私の愛する人だ。こんな状況だからか感動が押し寄せる。

「なんでしないとわかるんですか?」

なのにアマリアはニヤーリカを責めるような言い方。いい気になりやがって!

「それは私と殿下は二人のときしか………!い、いえ、ちが……」

ニヤーリカあああああ!明らかに墓穴を掘ったのを理解した。確かに私たちは二人で愛し合った仲ではあるが、さすがに婚約破棄前に致したことを暴露するのはよくないことは理解できているはずだろうに。より立場が悪くなるのを感じる。

「それに、そのおんなのひとね、ぼくに、ふくぬげってさわられて………ふえぇぇん」

そしてここぞとばかりにまさかニヤーリカまで陥れようとするとは………!この弟はどれだけ私を虚仮にすれば気が済むのか!

「情婦でもそれはないわ……」 

「リバース殿下お可哀想に………」

「ち、ちが………!いくら私でもこんな子供に手は出さないわよ!」

さすがのニヤーリカも慌てる。だが、これは否定すればするほど深みにはまるのだから今すぐ弟をこの場から追い出したいが、こうなっては周囲が許さないだろう。乱入してきた時点で追い出さなかったのが間違いだった。

「子供以外には手を出されるのです?」

「まあイケメンであれば……って何言わせて………」

なんて思っていれば聞き捨てならない言葉が飛び交う。

「どういうことだ!ニヤーリカ!」

イケメンであれば私でなくとも身体を許したとばかりの発言に私は一気に嫉妬と裏切られたのかという想いに駆られる。

「え?違うわ!誤解よ!イケメンは殿下だもの!私は殿下としか愛し合っていないわ!」

「そうか……疑って悪かった」

それを聞いて私は疑ったことを素直に謝った。まあ確かに私は類い稀みぬイケメンの部類ではあるだろうからな。

なんて落ち着きを取り戻していればざわざわと周りがうるさくなる。

「あら、アマリア嬢がリバース殿下を励ましたのかしら?涙が消えておりますわ」

「よかったですね。アマリア嬢がいじめたというのは嘘の可能性が高そうです」

「まあ、幼い子供に酷いことをする人たちが言うことですからね……」

「あやうく騙されるところでしたわ」

聞こえてくる声にぞっとした。もはや私の言葉は誰も信じてくれないのでは?と。

「おねえしゃまいじめたのがわるいんだよ?すっきりした?」

「まあ……そうですね」

なんて近くで話していた二人の声も届かないほど私は焦りにかられていたのだった。
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