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6~弟視点~

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僕は今日、人生で一番の不幸に見回れている。兄さんに兄離れしろ死んでくれと宣告された。

いや、副声音は僕にとってはそれに等しいだけとはいえ何故兄さんはそんな慈悲もないことを言い出したのだろう?兄さんと同じ高校にようやく入学できてパラダイスが待ってると思っていたのに!

しかもお風呂どころか一緒に寝るのすらだめだなんて!そんなの人生の終わりとも言える出来事だ。やっぱりキスをしない方がよかっただろうか?でもいつか兄さんのファーストキスがどこぞの女にとられたら殺してしまうだけでは足りないほどの殺意が芽生える自信があった。

それに兄さん嫌がった様子はないし、脈があるんじゃと思わなくもない。なのに僕の未来のために……!そんなの未来に兄さんがいれば万事解決だというのに!

でも兄さんがあまりにも真剣で下手に押しすぎて嫌われたらと思うとしたくもない返事をするしかなかった。これも全部兄さんを振ってきた女共のせいだ。

僕のせいみたいな感じだったし僕を理由にして振ったんだろう。ふざけるなと思う。兄さんの彼女だからと調子に乗ったんだろうか?

にしても兄さんがいつも僕と一緒にいてくれたから彼女がいるなんて全く知らなかった。年齢差による学校分かれのせいだ。双子で生まれていたならと何度思ったことか。

小学生の頃、兄さんが中学に行くことになる日、同じ学校に行くはずもなくなった兄さんのいない時間が増える絶望は今でも覚えている。

「兄さん、学校こっちだよ?」

「俺もう中学生だから今日から違うぞ?」

「え………?」

卒業式の意味はわかっていたつもりだったが、信じたくない気持ちが忘れさせていたのだろう。その日涙が止まらなくて初日から兄を引き止め遅刻させてしまった。

今思えばまだマシだったと思う。1年待てばよかったのだから。でも今日からは?何を持って兄離れをしたと言える?どこまでなら兄さんに関わっていいの?とまるで永久に続く迷路をさ迷うような気持ち。

「兄さん、今日だけ……今日だけ一緒に寝て」
 
返事なんてしなきゃよかったと思いながら今日だけとお願いをする。だって急に言われて急に兄から離れるなんて無理だ。

「……うーん、まあ、お前からしたら急だしな。今日だけな」

「うん……今日だけ、いつも通りにして」

「ん、わかった」

兄離れしろなんて言いながら結局甘い兄に明日になったら忘れていつも通りなんじゃとすら思える。いっそ離れないように快楽で縛り付けてしまいたい。兄をいつしかとそういう勉強はしてきたのだから。

とはいえ、実践経験はないし兄さん以外でしたくもないからできはしない。だって失敗したら痛みだけを与えて兄さんを怖がらせて……………うん、考えるだけで自殺ものだった。考えないようにしよう。

でも、やっぱり兄離れなんてできる気はしないから兄離れできない状況にできないものかと僕はその日ひたすら考えまくるのだった。

いつか兄と二人の世界を築くためにも。
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