私の夫はストーカー~私は恋も愛も知りません~

荷居人(にいと)

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3章

夫婦生活の恋の宿敵4

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「なんでそれがわかって強要したの?振り向く可能性皆無の中、わざわざ傷つけにいけと言っているようなものだよ、これは。好きな人に拒否られるのってきっと物凄く辛いこと。拒否したのは自分のためでもあったことに気づいてる?好きな人が自分のせいで嫌な思いをするのは誰だって嫌に決まってる。それを無視する人もいるけど、元婚約者さんは本当に時雨さんが好きだから理由をつけて拒否し続けた。当て馬が嫌なんじゃない。時雨さんが嫌がるようなことをしたくなかったんだよ、彼女は。なのに美世ちゃんは強要したから踏みにじる行為だと私は言ったの」

きつくなった目の中には睨みもあってか、怒りがちらついているのがわかる。ここまで瑠璃を怒らすようなことを私はしてしまったということだろうか。でもそんな気持ち、私は知らない。

「恋をしたら、相手の傍にいたいものじゃないの?」

だから当て馬の時間だけでも一緒にいられるならいいじゃないかと思った。

「いたいけど、叶わないこともある。だからヤケになる人もいれば、相手を想って身を引くこともあるんだよ」

「振られるのはそんなに辛いこと?」

一度あれば二度も変わらない。慣れてしまうものだと思っていた。

「何度されても辛いと思う。恋はただ、私が美世ちゃんを友人として好意を抱くようなものとは違うから。」

「ごめんなさい、わからないわ」

理解が、できない。その気持ちに。

「美世ちゃんが人の気持ちがわからないことなんてよくあることじゃん。恋に必死になるのはいいけど、それで他人を巻き込むのは違うよ。時雨さんにも好きな気持ちを利用して嫌な思いさせるのはよくないと思う。」

素直に謝ったためか、いつもの瑠璃が戻ってくる。それでも言い聞かせるような言葉はなくならない。

「私は・・・時雨に同じじゃなくても愛を少しでも返したくて・・・でも、私はわからないから・・・」

そう言ったとたん、胸が締め付けられるように痛んだ気がしたが、すぐに消えた。

恋すら知らない私に愛を知る術はない。だからわかりやすく時雨の言っていたヤキモチを妬くような出来事でもあればなんて思ってしまったからこそ、二人に今回のことを強要させた。

瑠璃の言葉は理解できない。あえて言えば悪いことをしたのだということはわかった。

私は屑だと理解しながら、問い詰められた瞬間これだ。本当の人の気持ちの深い部分を理解していなかった。瑠璃に言われなければ恐らく今だ理解できない私はこんなに素直に悪いことをしたと認めず続けただろうと思う。

「美世ちゃん、焦らないで。恋ってするものじゃなくて落ちるものなんだよ?意識してなるものじゃないの」

「落ちる・・・」

そんな私を励ますようにする瑠璃は、いつも私に感情を教えてくれようとする。誰もが冷たいと、人の気持ちに疎い私から離れていったのに、この友人だけは。

「それに時雨さんの好きな気持ちを利用してって私が言った返事に、恋を知りたかったからじゃなく、時雨さんに愛を返したいと言えた時点で、もう既に落ちかかってるんじゃないかな?」

どこまでも私に希望をくれる。 

「それ言った時の美世ちゃん、苦しそうにしてたよ」

「恋は苦しいの?」

「恋って難しいの。私、まだ経験ないからえらそうなこと言えないけどね!」

そう言った瑠璃は、眩しいくらいの笑顔で沈んだ姿の私に言った。
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