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依存症執事×病弱金持ちの場合(病弱金持ち視点)

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メイン登場人物
依存執事……ネイ・ロマント
攻め

病弱金持ち……ヤクモ・ルーダ
受け

設定
家の関係により幼き頃から一緒の幼馴染みであり、同時に主従関係にある。ネイは成人したばかりだが、ヤクモはまだ17歳。

ネイは幼い頃に誰かしらに従うのが嫌な反抗期により、本来すべき毒味(ネイは遺伝的なもので毒に慣れた体を持つ設定)を怠ってヤクモに死の危険に晒したことに強い罪意識がある。

それ以来ヤクモに過保護な上、ヤクモが近くにいないとろくに何もできない状況にある。ヤクモはヤクモで後遺症によりネイがいないと何もできない風に装っているが………

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕は世界でも最大規模を誇る会社を持つルーダ家の御曹司長男。しかしながら跡継ぎは次男。何故なら昔毒により死にかけたせいで僕は不自由の身となったからだ。

足は両足共麻痺していてどういうことか成長すら妨げて17となった今も身長はとても17には見えず、10歳もしくはもうひとつ下の年齢でも通るだろうほど。

とはいえ、生きているだけよかったとみんなが言うし、こんなになっても面倒を見てくれる母上、父上には感謝しかない。

そんな僕の世話係は決まって僕が生まれた頃から僕の執事になることが決まっていた3歳年上のネイ。ネイは僕が不自由の身になってからずっと僕の傍から離れない。

「ヤクモ様、お茶は飲まれますか?」

「あまり飲むとまた漏らしちゃうから……」

「しかし、水分はとらねばなりません。尿も出されないと体に悪い成分が溜まっていくばかりです」

不自由な身に慣れはない。太ももより上も完全ではなく麻痺があるせいか油断すると漏らしてしまっている。オムツだからシーツ等が汚れる心配はないけどこればかりは何度しても恥ずかしいし、処理するのがネイなので居たたまれない。どうせなら毒で羞恥心も消してくれればよかったのにとすら思う。

「……うん、わかった。飲むから、その、手がうまく動かないんだ。だから………」

「はい、言われずとも」

でもそれさえなければ僕はお茶の飲む時間が嫌いじゃない。本当は手は動くけどそう甘えるように言えばネイが口移しで飲ませてくれるから。

「んぅ……んく」

あの日から何を言ってもネイは僕から離れず甘やかしてくれる。

。死にかけはしたけれどそのための試練だったと僕は思っているし、そうしたのも僕だ。死ねばそれまでだと思っていたし、それで僕を生涯忘れずにネイの心に残れるならそれはそれとすら思っていた。

なんでそんなことをしようとしたのかって?

だってネイが僕以外には笑顔を向けていたあげく、あのまま僕から離れようとしているのを知ったから。

それはまだ学校に通っていた頃、トイレからそのままネイのいる6年生教室に最近僕といると不機嫌なネイと話をしようと駆け足で向かっていたせいで聞いてしまったこと。

『お前最近ヤクモにあんな態度とってて大丈夫なのか?そのあれ、執事なんだろ?クビになんじゃね?』

それは僕が聞こうとして気になっていたことだったから思わず隠れて盗み聞きをすることにした。

『寧ろクビになりたいです。あれのせいでろくに自分の時間もとれませんし、我が儘聞くのにも疲れますし』

そんなネイの言葉に今思い出すだけでも胸が痛くなる。僕はネイがずっとずっと大好きだったからそんな風に思われていたのだと、楽しかったのは自分だけなのだとひとり泣きそうになった。

『我が儘ってか兄に甘えてる感じだよな?すげぇ懐いて可愛いじゃん』

『最初こそは可愛かったですし、ルーダ家の長男が命狙われないよう気だって張ってましたけど、私は幼かったのでしょう。命狙うより媚売った方が圧倒的に利益はあるのだからそもそもそんな気を張る必要がなかったんですよ』

『いや、幼いって俺らまだギリ初等部だろ?それにそれって結局命狙われる主人がよかったってこと?』

『どうでしょうね。でもそれはやりがいがあったかもしれません』

冗談だったかもしれないし、ネイが適当に話してる可能性もあったけどあの時僕はネイがこのままでは離れてしまうんだという焦る想いと、僕以外では楽しそうに笑うネイを見てそのネイの友人が初めて憎いなんて思えてそんな気持ちと共にとんでもない考えを思い付いてしまった。

後はたまたまタイミングがよかったのもあったと今なら言える。

自殺願望を持つメイドを知っていたこと。普段は明るい人だが、いざひとりになると死にたい死にたいと言ってるのを僕はたまたま知ってそれ以来僕の前では無理に明るくせずネイに放置されて空いた時間に励ましていた女性。

そのメイドは自殺願望があるだけに色々な死に方を知っていて僕は最低な方法をとった。

『ねぇ、僕も死にたいんだ。ひとりじゃ死ねないんでしょ?なら僕を毒で殺してよ。そしたらルーダ家は貴女を殺してくれるよ?』

『いいんですか?ヤクモ様を利用しても。私はてっきりヤクモ様は私に死なないよう言ってくれてるのかと。どうせ死にたいだけで実行に移せない私ですから』

『そのつもりだったけど、ネイが僕を嫌って離れてくの見るくらいなら死にたい……もうね、死ぬようなことないとネイが離れそうなんだ』

『……ふふ、ヤクモ様まるでネイに恋でもしているようですね。わかりました一緒に死にましょう。時間差はありますが』

メイドに言われて恋について少し悩みはしたけど今ならはっきり言えるネイに僕は恋していたからこそ命すらかけられたのだと。

そして悲劇の時。ネイは毒見をせず僕に料理を差し出して既にメイドによって入れられた毒で僕は倒れた。その時見たのは目を見開くネイの姿。どっきり大成功ー……なんて思う余裕はなかったけど。

そして次に目を開けた時には不機嫌なネイじゃなくて泣きじゃくるネイ。

『わた、私が、毒見をしなかったからっ!ヤクモ様、こんな体に……っすみません、申し訳ありません!』

『えへ、へ……ネイ、優しく、なってる』

『………っもう、あんな態度はとりませんっ!ちゃんとヤクモ様の執事として身を弁えます!……生きてて、よかった……っ』

後遺症こそ残ったけどそれ以来ネイが僕から離れることはなくて不機嫌な様子どころか甲斐甲斐しく僕の甘えに笑顔を見せてお世話をしてくれている。

アア、ネイガボクノモノニナッタ

そんな黒い何かは僕の心を満たすもの。それでもときどきネイを試したくて他に命じてネイに黙って姿を消せば

『ヤクモ様!ヤクモ様!どこですか!ヤクモ様!』

人目を気にせず僕の名前を叫び探す様子に大丈夫だという安心感ともうネイは僕から離れることすら怖いんだという満足感。そんなネイに友人というものは既にいないことを僕は知っている。

「ありがとうネイ。いつもごめんね?もし大変なら執事やめてもいいんだよ?」

「わ、私では力不足ですか?私はヤクモ様のお側にいたいです!大変なんかじゃありません!だから……っ」

「ネイがいいならずっと僕の側にいて?」

「はい……っもちろんでございます!」

ネイの笑顔に僕も笑う。

これでネイはずっと僕だけのネイだね。生きていて本当によかったと今なら思える。どうしてここまでうまくいってるかはわからないけれど、ネイが離れないなら僕はそれでいいから。

END



あとがき
意味不明かな?これは執事視点も書けそうなら書きたいと思ってます。

ネイは反抗期なだけで決してヤクモを嫌ってたわけじゃない。自分の時間をとれないことも実際はそこまで気にしてなかっただけに反抗心故にヤクモを命の危険に晒したことによって罪悪感とヤクモの大切さを実感したという感じです。

ネイの場合、本当は好きだったけど素直になれない系男子みたいな。その結果が依存に。

嫉妬というよりも独占欲傾向があった話でした。



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