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1章自殺令嬢は死ねない
9~サトル視点~
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「あはははっあーもうおかしいっ!さすが殿下ですね!」
「もう、本当お前は不敬罪どころじゃないよ………」
シーニ嬢とのお見合いと言う名のお笑い。いや、まあ楽しいのは私と父くらいでしょう。思わず終わった後久々に笑いが止まらなかった。
「ですが、これで会える約束はできました」
「それはそうだけど」
なんだかんだ喜んでいただろうに冷静になったとたんこれです。好きな人相手になんたる臆病なことでしょう。
「いやはや女装男に告白されるシーニ嬢の心境が知りたいものです」
「僕はこんな格好で知られたくはなかったけどね………!」
「でも男なのに男で変装なんて貴方には無理ですよ。身なりもよすぎて元々顔立ちが良すぎてすぐバレます。まさか誰も殿下が女装をするとは思わないでしょう?だからこそ女装なのです。」
「まあ、確かにバレなかったけど………」
「いやー、殿下があまりにも綺麗でシーニ嬢も見つめていたでしょう?私なんて見向きもされませんでしたよ」
「シーニ嬢と目があったのは嬉しいはずなのに、素直に喜べない」
まあ実際そこらの令嬢がショックを受けてもおかしくはないくらいに綺麗に仕上がった殿下には笑うべきか最初は迷いましたけども。
私ならごめんですね。
もちろん殿下も嫌がっていたんですよ?だけど私とシーニ嬢が二人っきりにされていい雰囲気になるかもしれないと挑発していれば物凄く顔をひきつらせながらも承諾したわけです。
いやー、あのときの殿下の嫌ながらもシーニ嬢と私の婚約成立を失敗させようと必死な姿には笑いましたね。さすがの私も殿下を笑うために婚約なんてして遊ぶ気はないというのに。
まあ不思議なのは男爵である私との見合いをタイ公爵が承知したことですね。てっきりその時点で断りをいれられるのではと思っていたのですが。
にしてもシーニ嬢は随分と生きながらに死んだような目をしていたのが気になります。あれではいつ死んでもおかしくないというのに、無理矢理生きているようで実は一目見たとき少しぞっとしたものです。
まるで私まで死に誘われるようで。
一体あの幼さで何があったというのか。そう思えるほどに。殿下が気になると言うのもわからなくはなかった。
まあ恋するかと言われれば別ですが。
殿下に会うことになると死にたがったのがなんとも気になることです。会ったのは殿下と一度きりだと聞いている。
それでも気を失う直前で一瞬とも言えるくらいの短い時間。それが原因だとはとても思えない。
「まあそれよりも殿下はあの目で殺してと言われたのですか?」
「え?ああ………そうだね」
「そうですか。人は死にたいと思うことがない人などいないと聞きます。それは小さなことから大きなことと理由はそれぞれですが、それでもあんな生きて死んだような目をして本気で何も言わずとも死を望む姿は多くないでしょう」
考えたことをそのまま伝えれば真剣な話と殿下もとったのか真面目な表情になる。
「シーニ嬢は早く死にたいとばかりに私にころしてと涙を流していたあの日は今にも忘れられない。暴行された傷よりも死ねないことが辛くて痛いと、そう言われたようだった」
「5歳の思うことではありませんね。そして願うことでもない」
「うん、僕もそう思う。まるで自分が生まれてきたのは間違いだとばかりに自分を責めているようだった」
生まれてきたことが間違い。何があればそう思うのか私には理解ができません。きっとそれは殿下もなのでしょう。
「迷いのない死を望む瞳は私でさえぞっとしました。まるで私が死の世界へ踏み入れたような気分でしたよ」
「あんなに僕をからかったお前がか」
「だからこそからかいました」
「やっぱりからかっていたのか」
「ああ、これは失言。失礼いたしました」
「謝る気がないだろう」
「謝ったではありませんか」
「言葉を間違えた。反省する気もないのに謝るな」
「わかりました。なら謝罪は取り消しで」
「お前な………」
「まあとにもかくにもいつも通りでもないと余裕は保てませんでしたよ。寧ろ殿下やタイ公爵が何故平静を保てたのかがわからなかったくらいです。いや、貴方は平静ではありませんでしたね。ある意味」
「疑わしいが………そうか。だが、わからなくもない。シーニ嬢の目は引き込まれるようだ」
それがあの死んだ目に対してか惚れた欲目なのかは殿下の場合疑わしいですけどね。
「殿下、今回は協力しましたが次はごめんです。私はあの目が怖い」
「あれを協力というのかわからないが………そこまで言うのか」
「言いますよ。恐らくすべきでないからかいをしてしまいそうなくらいには平静を保とうと必死になるでしょう」
「お前な………。まあ、そういうことならひとりで頑張ろう。許可がもらえたならなんとかなるはずだ」
「貴方とわかっていないからだとは思いますが」
「う………っそれはそうだが」
正体を知ってシーニ嬢が一体どうなるのか。見たいような気もするが殿下をからかうことで平静を保っていた私は邪魔にしかならない。
これでも私は殿下の友人として恋を応援したいと思っているんですよ?邪魔しそうになるなら引くのも当たり前のことなのです。
私が次シーニ嬢に出会うのは是非シーニ嬢が死にたくないと生きた目をした時ですかね。その隣に殿下がいれば私は素直に祝福するでしょう。
「もう、本当お前は不敬罪どころじゃないよ………」
シーニ嬢とのお見合いと言う名のお笑い。いや、まあ楽しいのは私と父くらいでしょう。思わず終わった後久々に笑いが止まらなかった。
「ですが、これで会える約束はできました」
「それはそうだけど」
なんだかんだ喜んでいただろうに冷静になったとたんこれです。好きな人相手になんたる臆病なことでしょう。
「いやはや女装男に告白されるシーニ嬢の心境が知りたいものです」
「僕はこんな格好で知られたくはなかったけどね………!」
「でも男なのに男で変装なんて貴方には無理ですよ。身なりもよすぎて元々顔立ちが良すぎてすぐバレます。まさか誰も殿下が女装をするとは思わないでしょう?だからこそ女装なのです。」
「まあ、確かにバレなかったけど………」
「いやー、殿下があまりにも綺麗でシーニ嬢も見つめていたでしょう?私なんて見向きもされませんでしたよ」
「シーニ嬢と目があったのは嬉しいはずなのに、素直に喜べない」
まあ実際そこらの令嬢がショックを受けてもおかしくはないくらいに綺麗に仕上がった殿下には笑うべきか最初は迷いましたけども。
私ならごめんですね。
もちろん殿下も嫌がっていたんですよ?だけど私とシーニ嬢が二人っきりにされていい雰囲気になるかもしれないと挑発していれば物凄く顔をひきつらせながらも承諾したわけです。
いやー、あのときの殿下の嫌ながらもシーニ嬢と私の婚約成立を失敗させようと必死な姿には笑いましたね。さすがの私も殿下を笑うために婚約なんてして遊ぶ気はないというのに。
まあ不思議なのは男爵である私との見合いをタイ公爵が承知したことですね。てっきりその時点で断りをいれられるのではと思っていたのですが。
にしてもシーニ嬢は随分と生きながらに死んだような目をしていたのが気になります。あれではいつ死んでもおかしくないというのに、無理矢理生きているようで実は一目見たとき少しぞっとしたものです。
まるで私まで死に誘われるようで。
一体あの幼さで何があったというのか。そう思えるほどに。殿下が気になると言うのもわからなくはなかった。
まあ恋するかと言われれば別ですが。
殿下に会うことになると死にたがったのがなんとも気になることです。会ったのは殿下と一度きりだと聞いている。
それでも気を失う直前で一瞬とも言えるくらいの短い時間。それが原因だとはとても思えない。
「まあそれよりも殿下はあの目で殺してと言われたのですか?」
「え?ああ………そうだね」
「そうですか。人は死にたいと思うことがない人などいないと聞きます。それは小さなことから大きなことと理由はそれぞれですが、それでもあんな生きて死んだような目をして本気で何も言わずとも死を望む姿は多くないでしょう」
考えたことをそのまま伝えれば真剣な話と殿下もとったのか真面目な表情になる。
「シーニ嬢は早く死にたいとばかりに私にころしてと涙を流していたあの日は今にも忘れられない。暴行された傷よりも死ねないことが辛くて痛いと、そう言われたようだった」
「5歳の思うことではありませんね。そして願うことでもない」
「うん、僕もそう思う。まるで自分が生まれてきたのは間違いだとばかりに自分を責めているようだった」
生まれてきたことが間違い。何があればそう思うのか私には理解ができません。きっとそれは殿下もなのでしょう。
「迷いのない死を望む瞳は私でさえぞっとしました。まるで私が死の世界へ踏み入れたような気分でしたよ」
「あんなに僕をからかったお前がか」
「だからこそからかいました」
「やっぱりからかっていたのか」
「ああ、これは失言。失礼いたしました」
「謝る気がないだろう」
「謝ったではありませんか」
「言葉を間違えた。反省する気もないのに謝るな」
「わかりました。なら謝罪は取り消しで」
「お前な………」
「まあとにもかくにもいつも通りでもないと余裕は保てませんでしたよ。寧ろ殿下やタイ公爵が何故平静を保てたのかがわからなかったくらいです。いや、貴方は平静ではありませんでしたね。ある意味」
「疑わしいが………そうか。だが、わからなくもない。シーニ嬢の目は引き込まれるようだ」
それがあの死んだ目に対してか惚れた欲目なのかは殿下の場合疑わしいですけどね。
「殿下、今回は協力しましたが次はごめんです。私はあの目が怖い」
「あれを協力というのかわからないが………そこまで言うのか」
「言いますよ。恐らくすべきでないからかいをしてしまいそうなくらいには平静を保とうと必死になるでしょう」
「お前な………。まあ、そういうことならひとりで頑張ろう。許可がもらえたならなんとかなるはずだ」
「貴方とわかっていないからだとは思いますが」
「う………っそれはそうだが」
正体を知ってシーニ嬢が一体どうなるのか。見たいような気もするが殿下をからかうことで平静を保っていた私は邪魔にしかならない。
これでも私は殿下の友人として恋を応援したいと思っているんですよ?邪魔しそうになるなら引くのも当たり前のことなのです。
私が次シーニ嬢に出会うのは是非シーニ嬢が死にたくないと生きた目をした時ですかね。その隣に殿下がいれば私は素直に祝福するでしょう。
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