悪役令嬢は100回目の自由な人生で死を望む

荷居人(にいと)

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2章戻る記憶と繰り返す自殺未遂

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あの日、ネムーの高熱は急に消えたかのようになくなった。だけど意識は戻らない。

そのせいだろうか、ううん関係ないだろう。ただネムーの高熱が治まった時から私は抑えていたものが溢れ出るような………いや、消えたものが復活するような………それが増えに増えて我慢できないほどに死にたいと私は思っている。

「何をしている!」

「いやっやめて!私は死にたい!死ななくてはいけないのっ!」

「何故だ!誰もシーニ嬢に死んでほしいなんて思ってない!」

あの日から何度も何度も自殺をしようと繰り返す。その度邪魔するのは殿下で、何故いつも現れるのかわからない。

まるで私の死ぬ瞬間を理解しているように、未来が見えているかのように。

今日も屋敷から近い湖に身を投げようとして腕を掴まれた。誰にもバレないよう隠れてきたというのに一体どこにいたというのか。

さっきも言ったように今日だけじゃない。他にも首吊り、薬物自殺………刃物で動脈を切ろうともした。薬はよくわからなかったからそれで死ねたかはわからないけれど、どれか飲めば毒に当たるかもしれない。飲み過ぎで死ねたかもしれない。

でも何故か殿下は今日みたいに急に現れて私の邪魔をする。

何故わかるの?何故邪魔するの?

何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故…………っ!

中々死ねなくてその原因がわかっているからこそ頭がおかしくなりそうなぐらいに殿下が恨めしい。その気持ちなんか持ってはいけないというのに。

でも抑えられなくて思わず叫んだ。

「私に死を与えたのは!貴方じゃないっ!」

「シー」

「私を死ぬべきだと言ったのは!判断したのは殿下でしょう!?」

私を呼ぼうとしたのだろう殿下の言葉を遮る。感情が昂った私の言葉は殿下を責め立てるように続いた。

「何を………」

「99回、私は死んだ!99回私は………っ」

誰もに死を望まれた。そう言おうとして最後まで言葉は続かなかった。喉につっかえて言葉が続かなかったのだ。

「シーニ嬢………」

ああ、本当に私は私以外にわかるはずもないことを叫んで何を言っているんだろう?泣く資格もないのに涙が溢れ出る。

こんなのは八つ当たりで殿下の判断はいつでも正しかった。正しかったのだ。だから私は泣く資格どころか八つ当たる資格も絶対にない。

でも何故死を自由に選ばせてもらえない?私がまた罪を犯すまで生かす気なの?私は罪人らしくあり続けろと?

優しい両親や今だに意識の戻らないネムーを不幸に落とすとわかっていて?そんなの嫌だ。

「お願いです………死にたい。生きるのが辛いの」

「何故君はそんなにも………」

ああ、これではまるで死に逃げるような言い方。死んでも罪から逃げられないとわかっている。わかっているけど、死ねば罪を犯さずに済む。

罪なんて犯したいとは思わない。思わないけれどいつまた自由がなくなるかなんて誰にもわからないのだ。

このまま生きて前と同じように罪を繰り返すことになるかもしれない。今だ理由をつけて私は学園に行っていない。固くなに行きたくないとするのはクルッテ嬢に会いたくないから。

殿下との出会いも変われば、クルッテ嬢との出会いも変わると私は考えた。いつどこで会うかもわからない。

わからないからこそ学園には何が何でも行きたくはない。

殿下は学園もあるのに何故ここにいるのかわからない。学園に行っているなら邪魔なんかできるはずもないのに。

「私の邪魔ばかりする殿下なんて大嫌いです」

「な………」

繰り返した人生で殿下に恋をしたと思ったのが私の間違い。結局私は殿下をちゃんと見ていなかったのだから。

そして殿下が私を好きだという気持ちもまた間違いなのだ。まだクルッテ嬢に会っていないからそう言えるに違いない。

私なんて醜い存在、あの心優しいクルッテ嬢の足元にも及ばない。あの時の殿下の見る目は間違ってないのだ。

今は何故かわからないけど私が死にたがる変わった令嬢として気になってるだけなのかもしれない。それが好きに繋がる理由は全くわからないけれど。

でも私の言葉により殿下の掴んでた手が緩む。ショックを受けたようなその悲しげな表情に何故か私の胸が痛んだが、気にしてはいられない。その瞬間を私は逃すわけにはいかなかったから。すぐ緩んだ殿下の手を払って湖に飛び込む。重いドレスと共に。

「シーニ嬢!」

しまったとばかりに殿下の叫ぶ声を最後にざぶんと湖に沈んでいく私。綺麗な湖なのに底が見えないだけあり足がつくことなく沈んでいく。

息ができなくて苦しいけれど、それ以上にようやく死ねる安堵でいっぱいだ。重いドレスを着た私を助けるのは殿下ひとりじゃ難しいだろう。

恥をなくしてドレスを脱がすにも水で張り付いたドレスをそう簡単には脱がせないはずだ。

そんな考えを最後に何も聞こえない水の中で私は静かに目を閉じた。
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