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2章戻る記憶と繰り返す自殺未遂
2~イチーズ殿下視点~
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「シーニ嬢!」
ちょっと緩んだ隙にしてやられた。外だろうと関係はない。邪魔なものは脱いで僕も湖へ飛び込む。
ただ流されるままに身を任せ沈んでいくシーニ嬢を見つけて腕を掴む。ドレスのせいかその体は沈もうとする。軽くさせようにも水の中でドレスを脱がせられるのは難しく助けられたとして身を剥がされたシーニ嬢とほぼ裸同然の自分を見られれば何を言われるかわからない。
とくにシーニ嬢は。余計死に追い詰めるようなことはしたくない。
必死でそのまま上へあがろうとするが、情けないことに上へあがれるのは微々たるもの。それでも死ぬわけにはいかないし、シーニ嬢を見捨て死なせるわけにもいかない。
好きな人ひとり守れなくて誰が未来で王となれるというのか。
未来で国を守る立場として目の前の国民の死を見過ごすわけにはいかないし、未来で王になったときシーニ嬢には隣で見てほしい。
強制する気はないけど、願うくらいは許してほしいものだ。
『大丈夫!?もう二人は本当に危なっかしいんだから』
ふとそんな声が頭に響く。聞いたことのない女の子の声。でも気のせいか全く聞いたことがないかと言われれば聞いたことがあるような気はするのだ。
今、何故こんなときに………と思ったとたん、急に身体が軽くなる。ドレスを着たままのシーニ嬢すら軽くなった。
その勢いで上へ上へと泳いでようやく空気が吸えた。
だが、シーニ嬢は青白い表情だ。すぐ地面へ寝かせ、簡単に服を着る。そしてシーニ嬢を見るも目を覚ます気配はない。
「息をしていない?」
口許に耳を近づけて見るも息が吐かれている様子はない。まさかもう死んでいる?周りに誰かいないか見るも護衛を巻いてきて来たため僕たち以外誰もいない。
そう誰もいなかった。
「ところどころ同じことを繰り返すのね」
「な………」
誰もいなかったはずの場所に急に現れたのは僕らと同い年くらいに見える女の子。周りを見渡したのはつい先程。一体どこから現れたのか。
「どいてください」
「何を」
「シーニ様を助けます」
そう言ってシーニ嬢の傍に座った彼女はシーニ嬢の胸に手を置いた。気のせいかその手は白く光って見える。
「げほっげほっ」
とたん水を吐き出すシーニ嬢。
「シーニ嬢!」
水を吐き出したおかげか見ているだけで息を吹き替えしているのがわかり安堵する。
「これで大丈夫」
「君は………」
「私はツクス」
何か不思議な力を使ったのはわかった。そしてその力を僕は知っている気がする。いや、おとぎ話で読んだことがある。
だからそれを聞こうとして名を言われた。聞くなとばかりに。
「ツクス、ありがとう」
「………私は私のためにしたことよ」
そう言って彼女は立ち上がり、見上げた時には消えていなくなっていた。
ただシーニ嬢を助けるためだけに来たといわんばかりに。感謝すべきことだが複雑ではある。あの不思議な光はおとぎ話の通りなら悪なる存在なのだから。
普通の人間ではできぬ異質の力。それを人は物語でしか知らず空想のことだと思っている。
人はそれを《魔法》と言った。誰もが憧れるものでもあり、同時に恐れられる力。国どころか人の人生までも変えられるという力は嘘にしか思えない物語だけのことだと誰もが笑う。
物語だからこそ笑える。もし本当に《魔法》が存在するならば国は大きな混乱を招くことだろう。
そして《魔法》が使える存在を物語では《魔女》と呼び、時に《死神》と言われた。《魔女》ひとりで世界を滅ぼすことすらできるほどに脅威の《魔法》が実在するなら彼女の存在は国として抹消したいところだろう。
だが、下手に手を出すのも難しく国はひとりの女の子に怯えながら暮らす以外なくなる。なぜなら《魔女》は人間が束になろうと敵わないのだから。
「私のために、か………」
その言葉に嘘は感じられない。恐らく急に身体が軽くなったのもツクスという彼女がやってくれた《魔法》な気がした。
それに水の中で聞いた声とツクスの声は驚くほどに似ていた。
それとツクスと聞いて思い浮かぶのは今よりも幼い頃シーニ嬢が助けた少女のこと。あの時のお礼だろうかとも思うが彼女が魔女ならあんな男ひとりに手こずるはずもない。
わざと、わざとされるがままになっていたとしたら?彼女が《魔女》ならシーニ嬢が来ることもわかっていたかもしれない。僕に助けを求めたのも偶然とも思えなくなる。
それを含めて私のためと言うなら彼女の目的がわからない。僕とシーニ嬢を引き合わせたかった?でもそんなことをしなくてもシーニ嬢は公爵家、婚約者候補としてあがって会わないなんてことは………いや、理由をつけられて無理だったかもしれない。
サトルの協力があってこそ今会えるのだから。最近は自殺前の出会いばかりだけれど。何故先回りできるのかはわからない。ただ、気がつけば呼び止める護衛すらも無視して走っていて死のうとするシーニ嬢を見つけている。
「最近の僕はおかしい………」
何かとても大事なことを忘れている気がしてならない。だが、それを考えてもわかるはずもなく僕はシーニ嬢が目を覚ます前に屋敷へシーニ嬢を運ぶのだった。
今はただシーニ嬢が無事ならそれでいいと。
ちょっと緩んだ隙にしてやられた。外だろうと関係はない。邪魔なものは脱いで僕も湖へ飛び込む。
ただ流されるままに身を任せ沈んでいくシーニ嬢を見つけて腕を掴む。ドレスのせいかその体は沈もうとする。軽くさせようにも水の中でドレスを脱がせられるのは難しく助けられたとして身を剥がされたシーニ嬢とほぼ裸同然の自分を見られれば何を言われるかわからない。
とくにシーニ嬢は。余計死に追い詰めるようなことはしたくない。
必死でそのまま上へあがろうとするが、情けないことに上へあがれるのは微々たるもの。それでも死ぬわけにはいかないし、シーニ嬢を見捨て死なせるわけにもいかない。
好きな人ひとり守れなくて誰が未来で王となれるというのか。
未来で国を守る立場として目の前の国民の死を見過ごすわけにはいかないし、未来で王になったときシーニ嬢には隣で見てほしい。
強制する気はないけど、願うくらいは許してほしいものだ。
『大丈夫!?もう二人は本当に危なっかしいんだから』
ふとそんな声が頭に響く。聞いたことのない女の子の声。でも気のせいか全く聞いたことがないかと言われれば聞いたことがあるような気はするのだ。
今、何故こんなときに………と思ったとたん、急に身体が軽くなる。ドレスを着たままのシーニ嬢すら軽くなった。
その勢いで上へ上へと泳いでようやく空気が吸えた。
だが、シーニ嬢は青白い表情だ。すぐ地面へ寝かせ、簡単に服を着る。そしてシーニ嬢を見るも目を覚ます気配はない。
「息をしていない?」
口許に耳を近づけて見るも息が吐かれている様子はない。まさかもう死んでいる?周りに誰かいないか見るも護衛を巻いてきて来たため僕たち以外誰もいない。
そう誰もいなかった。
「ところどころ同じことを繰り返すのね」
「な………」
誰もいなかったはずの場所に急に現れたのは僕らと同い年くらいに見える女の子。周りを見渡したのはつい先程。一体どこから現れたのか。
「どいてください」
「何を」
「シーニ様を助けます」
そう言ってシーニ嬢の傍に座った彼女はシーニ嬢の胸に手を置いた。気のせいかその手は白く光って見える。
「げほっげほっ」
とたん水を吐き出すシーニ嬢。
「シーニ嬢!」
水を吐き出したおかげか見ているだけで息を吹き替えしているのがわかり安堵する。
「これで大丈夫」
「君は………」
「私はツクス」
何か不思議な力を使ったのはわかった。そしてその力を僕は知っている気がする。いや、おとぎ話で読んだことがある。
だからそれを聞こうとして名を言われた。聞くなとばかりに。
「ツクス、ありがとう」
「………私は私のためにしたことよ」
そう言って彼女は立ち上がり、見上げた時には消えていなくなっていた。
ただシーニ嬢を助けるためだけに来たといわんばかりに。感謝すべきことだが複雑ではある。あの不思議な光はおとぎ話の通りなら悪なる存在なのだから。
普通の人間ではできぬ異質の力。それを人は物語でしか知らず空想のことだと思っている。
人はそれを《魔法》と言った。誰もが憧れるものでもあり、同時に恐れられる力。国どころか人の人生までも変えられるという力は嘘にしか思えない物語だけのことだと誰もが笑う。
物語だからこそ笑える。もし本当に《魔法》が存在するならば国は大きな混乱を招くことだろう。
そして《魔法》が使える存在を物語では《魔女》と呼び、時に《死神》と言われた。《魔女》ひとりで世界を滅ぼすことすらできるほどに脅威の《魔法》が実在するなら彼女の存在は国として抹消したいところだろう。
だが、下手に手を出すのも難しく国はひとりの女の子に怯えながら暮らす以外なくなる。なぜなら《魔女》は人間が束になろうと敵わないのだから。
「私のために、か………」
その言葉に嘘は感じられない。恐らく急に身体が軽くなったのもツクスという彼女がやってくれた《魔法》な気がした。
それに水の中で聞いた声とツクスの声は驚くほどに似ていた。
それとツクスと聞いて思い浮かぶのは今よりも幼い頃シーニ嬢が助けた少女のこと。あの時のお礼だろうかとも思うが彼女が魔女ならあんな男ひとりに手こずるはずもない。
わざと、わざとされるがままになっていたとしたら?彼女が《魔女》ならシーニ嬢が来ることもわかっていたかもしれない。僕に助けを求めたのも偶然とも思えなくなる。
それを含めて私のためと言うなら彼女の目的がわからない。僕とシーニ嬢を引き合わせたかった?でもそんなことをしなくてもシーニ嬢は公爵家、婚約者候補としてあがって会わないなんてことは………いや、理由をつけられて無理だったかもしれない。
サトルの協力があってこそ今会えるのだから。最近は自殺前の出会いばかりだけれど。何故先回りできるのかはわからない。ただ、気がつけば呼び止める護衛すらも無視して走っていて死のうとするシーニ嬢を見つけている。
「最近の僕はおかしい………」
何かとても大事なことを忘れている気がしてならない。だが、それを考えてもわかるはずもなく僕はシーニ嬢が目を覚ます前に屋敷へシーニ嬢を運ぶのだった。
今はただシーニ嬢が無事ならそれでいいと。
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