19 / 19
2章戻る記憶と繰り返す自殺未遂
4~イチーズ殿下視点~
しおりを挟む
シーニ嬢が消えたと連絡が入った。また自殺をしようと屋敷から出たかと思えばそうではない。目の前で消えたとそう連絡が来た。
聞いていて意味がわからなかった。だが、シーニ嬢について連絡をくれたというのはタイ公爵がシーニ嬢を想う僕の気持ちを理解して信用していただけているのだろう。
認められているようで嬉しくはあるが、喜んでばかりもいられない。何せシーニ嬢が今どこにいるのかわからないのだから。
「失礼します」
「殿下!ご足労いただき………」
「そんなことよりもまずは状況を」
「はい」
迎えすら素通りして部屋に参ったことを咎めることなく公爵が話す内容は明らかに異質なことだった。
シーニ嬢と話している時、急に何も反応しなくなったかと思えば目の前からシーニ嬢が最初からまるでいなかったかのようにいなくなった。言葉通り消えたという。
そんなことあるはずがないと誰もがバカにするようなことを真剣に公爵は僕に話した。
「信じられないかもしれませんが………」
公爵も参っているのだろう。その表情は真っ青で娘が心配で仕方ない不安そのもの。信じられなくとも公爵は自分ひとりでも動くことだろう。
だが、未来の父になる方だけにそんな苦労をさせる気はないし、僕はバカにされようが公爵を信じる。
「信じますよ。それに心当たりがあります」
「本当ですか!」
そうそれも忘れるほどの過去でもない少女ツクスと言う名の人物。ありえないこととして思い浮かぶのは《魔法》でそれを可能にしそうな《魔女》と呼ぶべきものは…………。
「ツクスという少女なのですが………」
「ツクス?それなら殿下も知っているのでは?」
そう言われて首を傾げる。確信をもって言う公爵の言葉に。だが、私の中でツクスという人物はシーニ嬢を救ったあの人物だけ。
「娘に出会った日に娘が助けた少女を覚えておいでですか?あの子がツクスです」
「!」
そう言われてあの日を思い浮かべる。シーニ嬢のことだけはよく覚えているが、他は思い出そうにも顔はぼやけていて幼いツクスという少女は思い出せないが、それでももしそれが同一人物ならばまるであのシーニ嬢を助けられた日も偶然ではないようなそんな気がしてきた。
幼い頃、あの日シーニ嬢と僕が出会ったのは偶然なのか?ツクスという少女の関わりが必然の可能性は?
シーニ嬢が消えたのがツクスという少女の…………?
考えても仕方がないことばかりが浮かぶ。微妙に関わる存在がどうにもちらつき、不思議な力によって余計にツクスという人物を怪しんでしまう。
だが、シーニ嬢を一度は助けた人物。もしシーニ嬢を消えさせた犯人だとしたら危害を及ぼすようには思えない。
「ツクスという少女が関係あるのなら近くの町に住んでいるはずです。探しますか?」
「そ、そうですね」
公爵の言葉にはっとして連れてきた余分な護衛と公爵も仕える人たちと共に急いで町へ赴く。
だが、向かう途中町を探したところで見つかるのだろうか?相手は《魔女》の可能性が高い。普通のやり方で………と考えはどうにもよくない方向へ考えてしまう。そしてついに町に辿り着いて馬車から降りた先には信じられない光景が目に映った。
「これは………」
「ま、まだ生きているものがいれば助けろ!」
呆然と見たその町は血で染まり、倒れている人々で溢れていた。公爵も動揺しながらもすぐ指示を出すがどう見ても手遅れ。
誰ひとり助けを呼べなかったというのか。衛兵すら目を見開いて死んでいる者もおり、生きた人がいるのかも怪しいほどに静かだった。
助けも呼ばせず町へ攻め込み町人全員を殺すなんてこと普通の人にできるものなのだろうか?
子供すら容赦なく切り殺されたそれに吐き気すら感じたが今はそれどころじゃない。何故こんなことをしたのか、何かが荒らされた様子はなく無差別殺人のようにしか思えない。
もしそうなら相手は相当に狂っている。
狂って………不思議とその響きに引っ掛かりを覚えた。
「娘は………無事なのでしょうか。シーニ………っ」
またもや公爵のより不安そうな声となった言葉にはっとし、その引っ掛かりについての考えが霧散した。
「もし無事でないならこの町で見つかってもおかしくはありません」
「そう、ですね」
そう言いながら僕も町の酷さに心に不安を生んだのだろう。その時僕に返事を返しながら隣にいる公爵が冷めた目で僕を見つめるその視線に気づくことはなかった。
「「うわぁあぁぁっ」」
その視線に気づかぬまま大きな叫びに思わず走った先には叫んだであろう町人が生きているか指示通り動いていた護衛たちや使用人の死体。
大した距離はなかったはずというのに犯人らしき人は見当たらない。隠れるような場所がないというのに。あの一瞬で何があったというのか。
明らかに普通ではない。
『ふっふふっあはっあはははっ』
女性の笑い声が頭に響く。
「こ、れは………」
「殿下?」
この光景を僕は見たことがある………?
「こう、しゃく?」
「全く気づかなかったわね」
意識が消え行く中頭に響く笑い声と共に見たのは公爵の姿からあのツクスという女性の姿に変わった者が笑う姿だった。
聞いていて意味がわからなかった。だが、シーニ嬢について連絡をくれたというのはタイ公爵がシーニ嬢を想う僕の気持ちを理解して信用していただけているのだろう。
認められているようで嬉しくはあるが、喜んでばかりもいられない。何せシーニ嬢が今どこにいるのかわからないのだから。
「失礼します」
「殿下!ご足労いただき………」
「そんなことよりもまずは状況を」
「はい」
迎えすら素通りして部屋に参ったことを咎めることなく公爵が話す内容は明らかに異質なことだった。
シーニ嬢と話している時、急に何も反応しなくなったかと思えば目の前からシーニ嬢が最初からまるでいなかったかのようにいなくなった。言葉通り消えたという。
そんなことあるはずがないと誰もがバカにするようなことを真剣に公爵は僕に話した。
「信じられないかもしれませんが………」
公爵も参っているのだろう。その表情は真っ青で娘が心配で仕方ない不安そのもの。信じられなくとも公爵は自分ひとりでも動くことだろう。
だが、未来の父になる方だけにそんな苦労をさせる気はないし、僕はバカにされようが公爵を信じる。
「信じますよ。それに心当たりがあります」
「本当ですか!」
そうそれも忘れるほどの過去でもない少女ツクスと言う名の人物。ありえないこととして思い浮かぶのは《魔法》でそれを可能にしそうな《魔女》と呼ぶべきものは…………。
「ツクスという少女なのですが………」
「ツクス?それなら殿下も知っているのでは?」
そう言われて首を傾げる。確信をもって言う公爵の言葉に。だが、私の中でツクスという人物はシーニ嬢を救ったあの人物だけ。
「娘に出会った日に娘が助けた少女を覚えておいでですか?あの子がツクスです」
「!」
そう言われてあの日を思い浮かべる。シーニ嬢のことだけはよく覚えているが、他は思い出そうにも顔はぼやけていて幼いツクスという少女は思い出せないが、それでももしそれが同一人物ならばまるであのシーニ嬢を助けられた日も偶然ではないようなそんな気がしてきた。
幼い頃、あの日シーニ嬢と僕が出会ったのは偶然なのか?ツクスという少女の関わりが必然の可能性は?
シーニ嬢が消えたのがツクスという少女の…………?
考えても仕方がないことばかりが浮かぶ。微妙に関わる存在がどうにもちらつき、不思議な力によって余計にツクスという人物を怪しんでしまう。
だが、シーニ嬢を一度は助けた人物。もしシーニ嬢を消えさせた犯人だとしたら危害を及ぼすようには思えない。
「ツクスという少女が関係あるのなら近くの町に住んでいるはずです。探しますか?」
「そ、そうですね」
公爵の言葉にはっとして連れてきた余分な護衛と公爵も仕える人たちと共に急いで町へ赴く。
だが、向かう途中町を探したところで見つかるのだろうか?相手は《魔女》の可能性が高い。普通のやり方で………と考えはどうにもよくない方向へ考えてしまう。そしてついに町に辿り着いて馬車から降りた先には信じられない光景が目に映った。
「これは………」
「ま、まだ生きているものがいれば助けろ!」
呆然と見たその町は血で染まり、倒れている人々で溢れていた。公爵も動揺しながらもすぐ指示を出すがどう見ても手遅れ。
誰ひとり助けを呼べなかったというのか。衛兵すら目を見開いて死んでいる者もおり、生きた人がいるのかも怪しいほどに静かだった。
助けも呼ばせず町へ攻め込み町人全員を殺すなんてこと普通の人にできるものなのだろうか?
子供すら容赦なく切り殺されたそれに吐き気すら感じたが今はそれどころじゃない。何故こんなことをしたのか、何かが荒らされた様子はなく無差別殺人のようにしか思えない。
もしそうなら相手は相当に狂っている。
狂って………不思議とその響きに引っ掛かりを覚えた。
「娘は………無事なのでしょうか。シーニ………っ」
またもや公爵のより不安そうな声となった言葉にはっとし、その引っ掛かりについての考えが霧散した。
「もし無事でないならこの町で見つかってもおかしくはありません」
「そう、ですね」
そう言いながら僕も町の酷さに心に不安を生んだのだろう。その時僕に返事を返しながら隣にいる公爵が冷めた目で僕を見つめるその視線に気づくことはなかった。
「「うわぁあぁぁっ」」
その視線に気づかぬまま大きな叫びに思わず走った先には叫んだであろう町人が生きているか指示通り動いていた護衛たちや使用人の死体。
大した距離はなかったはずというのに犯人らしき人は見当たらない。隠れるような場所がないというのに。あの一瞬で何があったというのか。
明らかに普通ではない。
『ふっふふっあはっあはははっ』
女性の笑い声が頭に響く。
「こ、れは………」
「殿下?」
この光景を僕は見たことがある………?
「こう、しゃく?」
「全く気づかなかったわね」
意識が消え行く中頭に響く笑い声と共に見たのは公爵の姿からあのツクスという女性の姿に変わった者が笑う姿だった。
22
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(16件)
あなたにおすすめの小説
ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する
ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。
皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。
ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。
なんとか成敗してみたい。
悪役令嬢に転生したので推しの悪役王子を救おうと思います!
かな
恋愛
大好きな乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生!?
しかもこのままだと最推しが死んじゃうんですけど!?
そんなの絶対ダメ!!
そう思って推しの死亡ルートを回避しようと奮闘していると、何故か溺愛が始まって……。
「私に構っている暇があったら、(自分の命の為に)ヒロインを攻略して下さい!」
距離を取ろうとしたのに、推しから甘やかされて……?
推しを救うために頑張ってたら、溺愛ルートに突入しました!?
他サイト様にも掲載中です
執着王子の唯一最愛~私を蹴落とそうとするヒロインは王子の異常性を知らない~
犬の下僕
恋愛
公爵令嬢であり第1王子の婚約者でもあるヒロインのジャンヌは学園主催の夜会で突如、婚約者の弟である第二王子に糾弾される。「兄上との婚約を破棄してもらおう」と言われたジャンヌはどうするのか…
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
〘完結〛ずっと引きこもってた悪役令嬢が出てきた
桜井ことり
恋愛
そもそものはじまりは、
婚約破棄から逃げてきた悪役令嬢が
部屋に閉じこもってしまう話からです。
自分と向き合った悪役令嬢は聖女(優しさの理想)として生まれ変わります。
※爽快恋愛コメディで、本来ならそうはならない描写もあります。
悪役令嬢を追い込んだ王太子殿下こそが黒幕だったと知った私は、ざまぁすることにいたしました!
奏音 美都
恋愛
私、フローラは、王太子殿下からご婚約のお申し込みをいただきました。憧れていた王太子殿下からの求愛はとても嬉しかったのですが、気がかりは婚約者であるダリア様のことでした。そこで私は、ダリア様と婚約破棄してからでしたら、ご婚約をお受けいたしますと王太子殿下にお答えしたのでした。
その1ヶ月後、ダリア様とお父上のクノーリ宰相殿が法廷で糾弾され、断罪されることなど知らずに……
婚約破棄された令嬢ですが、今さら愛されたって遅いですわ。~冷徹宰相殿下の溺愛が止まりません~
nacat
恋愛
王立学院の卒業式で、婚約者の王太子に「悪女」と断罪された公爵令嬢リリアナ。
全ての罪を着せられ、婚約を破棄された彼女は、冷徹と名高い宰相殿下のもとへ嫁ぐことになった。
「政略結婚ですから、愛など必要ございませんわ」そう言い放ったリリアナ。
だが宰相殿下は、彼女を宝物のように扱い、誰よりも深く愛し始める――。
やがて明らかになる“陰謀”と、“真実の愛”。
すべてを失った令嬢が、愛と誇りをもって世界を見返す、痛快ざまぁ&溺愛ロマンス!
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
退会済ユーザのコメントです
涙が止まりません!
続きが気になります!
楽しみに待ってます!
自律神経失調症で体調崩してるため元気になり次第更新がんばります!
あ99回殺され続けて、100回目で灰自由ですよー、とか言われてもなあ。
周りも99回も主人公を厭い殺して(それに準ずる扱い)してるのに、記憶ないから仕方ないのだけれど100回目で手のひらクルーされても、記憶ある側からしたら物すっっっごい気持ち悪いよなあ…と思いました。
ここまで主人公が死にたい死ななきゃいけないってなってるならいっそ死なせてあげればいいのにとも少し思いました。死にたくなくても延々殺され続けて、死にたいってなった途端死ねないってそれどんな拷問…。
ですよね!結局自由に思えて自由ではないって感じです。周りのすることはさらに苦しめるだけの結果にしかならないという。記憶がないから許されるなんてことはありませんよね!シーニの本当の自由はいつ来るのやら………