【R-18】知らなかった情熱

runiko

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2.首筋にかかる吐息

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バスルームから響く楽しげな声。
早めに帰宅した夫が、息子とお風呂に入ってくれているのだ。

ルリはふと、今日の池屋と雪路を思い出す。
彼らに触れられた、足首から太ももにかけての伝線の跡。まるでまだ触れられているかのように、熱が残っている。

あんなふうに誰かに触れられたのはいつぶりだろう。

夫との情事はもちろんある…

しかし長い付き合いの中で生まれた家族としての信頼は、いつのまにかそういった行為にも現れていて、どこか簡素化されてしまったように思う。

(まるで若い頃に戻ったみたい…)

セックスを覚えたばかりの若い頃。
相手に触れたくて、触れられたくて…そればかり考えている自分に気づき、必死で振り払う。そんな時代がルリにもあった。

池屋と雪路は、ルリの甘い声に合わせるように、反応を楽しみながら足に手を這わせていたように思う。

池屋のがっしりとした身体と
ごつごつと男らしい指先。

雪路の色っぽい視線と細く長い指先。

それが自分の膝裏をゆっくりと撫で、
太ももに、スカートの中に伸ばされかけた。

思い出すだけで、頬が熱くなる。

誰かに触られることなど、
もうこの先夫以外無いと思っていた…。







二十歳そこそこの

綺麗な顔をした青年たちが

“私を触りたい”

そう思ってくれたのだとしたら…。

妻として、母親としての役割が染み付いてしまったルリの脳内に

女として求められる悦びが再び芽生えかけていた。

もしも、

”あれ以上のこと” をされてしまったら…

私は一体どうするんだろう。





バスルームの扉が開き、

息子がパンツ姿でバタバタと走ってきた。

「お母さーん!僕のパジャマどこー?」

「えっ、ごめん!出し忘れてたかも」

慌てて息子のクローゼットに向かう。

「ママは慌てん坊だなぁ~」

「あはは」

夫と息子の声を後ろ姿で聞きながら、

日中の記憶を振り払う。

(きっとちょっとからかわれたんだ)

私には夫がいて、子どもがいる。

家庭を持つ主婦に、若い青年が手を出すなんて…からかわれたに決まっている。

明日のシフトも池谷と雪路と3人だが、

何事もなかったかのように過ごそう。

それが”大人”の対応だ。


息子にパジャマを渡しながら、
ルリはいつものように微笑んだ。



翌日--

通常より少し早く出勤したルリの元へ池屋と雪路が現れた。

「「おはようございます」」

「おはよう、今日もよろしくね!2人揃って出勤なんて、本当に仲良しだね」

「実は雪路がめちゃくちゃ朝弱くて!一限の日とか、毎回俺が起こしに行ってるんす」

「おい、言うな」

「近所だからってこき使いすぎですよね~」

ニコニコと人懐こく笑う池屋くん。

「お前が講義中昼寝してた時のノート、もう写させてやんねぇからな」

ジト目で嫌味を言う雪路くん。


(うん、大丈夫だ…)

気まずい態度をとられたらどうしようかと思っていたが、

昨日の出来事はまるで無かったかのように振る舞う2人に、ルリはほっと胸を撫で下ろした。

「さあ、今日もお仕事頑張ろうね!」







お昼を過ぎた頃、フロントの電話が鳴った。

「はい、かしこまりました。16日のご予約を17日に変更させていただきますね。お電話ありがとうございました。」

電話を切ると、

「ご宿泊の日程変更ですか?」

雪路くんが声をかけてきた。

「うん、そう。ネットでご予約された時に、日程の入力を間違えてしまったらしくて。」

「俺、日程変更の手続きはまだやったことないんですけど…」

「まだシフト3回目だったよね、大丈夫。フロントのPCで処理するの。やって見せるから池屋くんも一緒に見ててくれる?」

ルリはPCの正面に立つと、右に池屋、左に雪路が並び、3人でディスプレイを覗き込む。

「まず、ネット予約の履歴を確認して…」

カーソルを動かしながら、操作の説明をしていく。



「…いいにおい」

雪路がぼそっとつぶやいた。

「本当だ、ルリさん香水とかつけてます?」

池屋が首筋にぐっと顔を近づけてきた。



(ち、近…っ!)



思わず息を呑んでしまったのを、誤魔化すように言葉を続けた。

「こっ…香水はつけてないよ!」

雪路も鼻先を首筋に寄せる。

「でもすごいいい匂い…」

「あ、髪を束ねる時にヘアオイルつけてるから、それ…かも」

2人の吐息が首筋をかすめ、ルリは思わず息を呑んだ。




「髪の毛からだったんすね、あ、でもなんか首もめっちゃいい匂いなんですけど」

「うん、ヘアオイルの香りじゃなくて、ルリさんがいい匂いなのかも」

気づけば2人はフロントのデスクに手を置き、ぐっと乗り出すようにルリの首筋に顔を近づけていた。

「ふ、ふたりとも近すぎ…っ」

ルリはたまらず声を上げる。




「首、弱いんですか?」

わざと首筋に息が当たるように、雪路が問いかける。

温度を感じ、思わず鳥肌が立ってしまう。




「え、耳真っ赤…かわい…」

池屋の口元がにやりと緩み、

鼻先をつんと首に触れさせた。

「ひあ…っ」




「ルリさん…またエロい声出ちゃってますよ」

「ルリさん、可愛い。」



池屋と雪路はルリの反応を楽しむように

吐息混じりに鼻先を首筋に沿わせた。

次第に2人は唇を

ルリの首筋ギリギリに近づけ始める。

触れるか、触れないか…

まるで左右両方から攻められているよう。

もどかしすぎる距離に

ルリは息が上がってしまっていた。



(だ、だめ…また変な声出ちゃう…っ)


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