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第60話 勇者の凱旋
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パンパカパーン、パンパンパン、パンパカパーン!
いきなり鳴り響いた軽快なファンファーレに、裸のまま抱き合っていたふたりは飛び起きた。
ロランなどは跳ね起きる勢いで、一瞬で精悍な勇者の顔に様変わりする。
「な、何ごと……!?」
「アメリ、今すぐ服を着るんだ」
低く言ったロランは既に着衣の人だ。素早くアメリの分まで浄化の魔法をかける。
そういえばここは魔王城だったと、アメリは慌てて脱いだドレスを拾い上げた。
しかし着方が分からない。辛うじてキャミソールを整え、仕方なく純白の布地を適当に体に巻きつけた。
ロランが見据える先、何もない壁だった場所が二枚扉となってうすく開いている。ファンファーレが聞こえたのはそのわずかな隙間からだった。
今はそこから人のざわめきがしている。緊張した雰囲気ではなくて、大勢の人間が集まって歓談しているようにアメリには思えた。
「念のため、もう一度聖剣を出そう」
先ほど出した聖剣はいつの間にかアメリに戻っていた。頷いて触れるだけの口づけを交わす。
聖剣を隙なく構え、アメリを後ろ手に庇いなからロランは扉の間を覗き込んだ。
あまり良く見えないが、真っ黒いこの部屋と違って向こう側は煌びやかな光に包まれている。
「俺たちの存在はまだ気づかれていないようだ。慎重に様子を見るぞ」
ヴィルジールは眠ると言っていたが、ほかにも魔王の仲間がいてもおかしくはない。
戦いを覚悟しているだろうロランの背に、アメリは不安げに身を寄せた。
「あっ、きゃあっ」
「アメリ……!」
巻きつけた布が爪先に引っかかってつんのめる。咄嗟に手をつこうとしたアメリは、その勢いで二枚扉を押し開けた。
片足でたたらを踏んで、そのままアメリは向こうの空間に出てしまった。
続けて飛び出してきたロランが、青ざめた顔でアメリの腕をとっさにつかむ。聖剣を手にした状態で、アメリを守るためロランは横抱きに抱えあげた。
いきなりのふたりの登場に、それまでざわついていた場がしんと静まり返る。
とんだ失態を犯したことを後悔する余裕もなく、ロランの腕の中でアメリは血の気を失った。
「あれ……? ここってどこかで……」
目の前に広がる広間に既視感を覚えたとき、アメリは真正面の遠くにいた人物と目を見合わせた。
そこにはぽっちゃりの王様がいた。その横には顔の薄い王妃様が上品に座っている。
「へ……?」
静寂の中、アメリはしばらく王様と見つめ合った。
どう見てもここは、いつか王様に謁見した城の広間だ。現に今も玉座に座った王様が、額に玉のような汗をかいている。
「勇者の帰還だ……」
誰ともなしに呟かれた言葉に、周囲にいた大臣たちが一斉に歓喜の声を上げ始めた。
「勇者だ! 勇者が凱旋の扉を開いて帰ってきたぞ!!」
「ということは魔王は無事封印されたのか!?」
「ああ、そうだ! この国はもう平和になったんだ……!」
事態がよく飲み込めないまま、ロランとアメリはあっという間に人だかりに取り囲まれた。
いきなり鳴り響いた軽快なファンファーレに、裸のまま抱き合っていたふたりは飛び起きた。
ロランなどは跳ね起きる勢いで、一瞬で精悍な勇者の顔に様変わりする。
「な、何ごと……!?」
「アメリ、今すぐ服を着るんだ」
低く言ったロランは既に着衣の人だ。素早くアメリの分まで浄化の魔法をかける。
そういえばここは魔王城だったと、アメリは慌てて脱いだドレスを拾い上げた。
しかし着方が分からない。辛うじてキャミソールを整え、仕方なく純白の布地を適当に体に巻きつけた。
ロランが見据える先、何もない壁だった場所が二枚扉となってうすく開いている。ファンファーレが聞こえたのはそのわずかな隙間からだった。
今はそこから人のざわめきがしている。緊張した雰囲気ではなくて、大勢の人間が集まって歓談しているようにアメリには思えた。
「念のため、もう一度聖剣を出そう」
先ほど出した聖剣はいつの間にかアメリに戻っていた。頷いて触れるだけの口づけを交わす。
聖剣を隙なく構え、アメリを後ろ手に庇いなからロランは扉の間を覗き込んだ。
あまり良く見えないが、真っ黒いこの部屋と違って向こう側は煌びやかな光に包まれている。
「俺たちの存在はまだ気づかれていないようだ。慎重に様子を見るぞ」
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戦いを覚悟しているだろうロランの背に、アメリは不安げに身を寄せた。
「あっ、きゃあっ」
「アメリ……!」
巻きつけた布が爪先に引っかかってつんのめる。咄嗟に手をつこうとしたアメリは、その勢いで二枚扉を押し開けた。
片足でたたらを踏んで、そのままアメリは向こうの空間に出てしまった。
続けて飛び出してきたロランが、青ざめた顔でアメリの腕をとっさにつかむ。聖剣を手にした状態で、アメリを守るためロランは横抱きに抱えあげた。
いきなりのふたりの登場に、それまでざわついていた場がしんと静まり返る。
とんだ失態を犯したことを後悔する余裕もなく、ロランの腕の中でアメリは血の気を失った。
「あれ……? ここってどこかで……」
目の前に広がる広間に既視感を覚えたとき、アメリは真正面の遠くにいた人物と目を見合わせた。
そこにはぽっちゃりの王様がいた。その横には顔の薄い王妃様が上品に座っている。
「へ……?」
静寂の中、アメリはしばらく王様と見つめ合った。
どう見てもここは、いつか王様に謁見した城の広間だ。現に今も玉座に座った王様が、額に玉のような汗をかいている。
「勇者の帰還だ……」
誰ともなしに呟かれた言葉に、周囲にいた大臣たちが一斉に歓喜の声を上げ始めた。
「勇者だ! 勇者が凱旋の扉を開いて帰ってきたぞ!!」
「ということは魔王は無事封印されたのか!?」
「ああ、そうだ! この国はもう平和になったんだ……!」
事態がよく飲み込めないまま、ロランとアメリはあっという間に人だかりに取り囲まれた。
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