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馴れ初め編 3
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バカ……
バカタレ……
僕のバカヤロー……
あの後、結局僕は具合い悪い振りをして、タクシーで帰ってしまった。
智ちゃんのお陰で仕事が上手くいった事への感謝は、とりあえず伝えたけれども……
「じゃぁ、お疲れ様でした」
そう笑顔で智ちゃんに見送られて、僕はもう二度と彼に会えなくなるのかもしれない……
と、悲しくなったのを覚えている。
それから一ヶ月くらい、僕はずっと悶々としていた。
促されるまま帰らなければ、智ちゃんの事どう思っているのか確認出来たかもしれないのに。
単に智ちゃんの仕事への向き合い方と、人間性を尊敬してるだけなのかもしれない。
智ちゃんを年の離れた兄のように、感じているだけなのかもしれない。
智ちゃんに……
恋してる、訳じゃないのかもしれない。
勿論、結論は全くもって出ないので、延々とモヤモヤしていたわけで……
時間があれば、智ちゃんの声を探し求めていた。
動画サイトで、智ちゃんの色んな声を聴き漁った。
色気のある二枚目の声。
凄みのある低い渋い声。
艶のある優しい声。
冴えない男のしゃがれ声。
でも僕が聞きたい智ちゃんの声は、そこには一つもなかった。
陽気で明るくて、なんかホッとしちゃう、そんな智ちゃんの普通の声を聞きたかった。
連絡して会う予定を立てれば、すぐ解決する訳だけれど……
でも僕はちゃんと確認したかったんだ。
智ちゃんに恋をしているのか、勘違いなのかを。
僕は都内の高級ホテルの一室を自分の家のように使っている。
もちろんマンションは借りているけれど、ホテルの方が色々と都合がいい。
それに、この高級ホテルの部屋は僕のマンションよりも、東京タワーがとても美しく見えるから……
『明日 〇〇〇ホテルの1205号室に来てくれませんか?何時になっても待っているので』
智ちゃんにメッセージ送るのに、二日もかかった記憶がある。送信直前で削除を何度も繰り返していた。
まぁ、この時既に気付いていたんだけれども……
僕は、智ちゃんが好きだって。
智ちゃんに触れてみたい。触れられたい。抱きしめたい。抱きしめて欲しい。
キスしたい……
智ちゃんの予定も聞かずにメッセージを送っちゃったけど、返事の内容によっては僕も察することが出来るだろうから、そこは気にしなかった。
返ってきた返事は、
『多分行けるけど、何かあったのか?』
智ちゃんらしいよね。僕の心配をしてくれるんだから。
ホテルに来い、って男でもこの業界の人なら警戒するのに。
脇が甘いよ、智ちゃん……
約束の日……
僕は確か仕事が終わってホテルの部屋に着いたのが22時を過ぎていたと思う。
メッセージの確認をしたけれど、智ちゃんからのメッセージは来ていなかった。
ちょっと落ち着くためにシャワーを浴びた。
シャワーを浴びた後、僕の定位置のソファーに座って、美しい東京タワーを眺めていた。
暫くしてチャイムが鳴り、咄嗟に時計を見ると日付が変わろうとしていた。
ドアに近付きドアスコープを覗くと、とても強ばった表情の智ちゃんが立っていた。
あぁ、脇が甘い訳じゃ無かったんだね……智ちゃん……
バカタレ……
僕のバカヤロー……
あの後、結局僕は具合い悪い振りをして、タクシーで帰ってしまった。
智ちゃんのお陰で仕事が上手くいった事への感謝は、とりあえず伝えたけれども……
「じゃぁ、お疲れ様でした」
そう笑顔で智ちゃんに見送られて、僕はもう二度と彼に会えなくなるのかもしれない……
と、悲しくなったのを覚えている。
それから一ヶ月くらい、僕はずっと悶々としていた。
促されるまま帰らなければ、智ちゃんの事どう思っているのか確認出来たかもしれないのに。
単に智ちゃんの仕事への向き合い方と、人間性を尊敬してるだけなのかもしれない。
智ちゃんを年の離れた兄のように、感じているだけなのかもしれない。
智ちゃんに……
恋してる、訳じゃないのかもしれない。
勿論、結論は全くもって出ないので、延々とモヤモヤしていたわけで……
時間があれば、智ちゃんの声を探し求めていた。
動画サイトで、智ちゃんの色んな声を聴き漁った。
色気のある二枚目の声。
凄みのある低い渋い声。
艶のある優しい声。
冴えない男のしゃがれ声。
でも僕が聞きたい智ちゃんの声は、そこには一つもなかった。
陽気で明るくて、なんかホッとしちゃう、そんな智ちゃんの普通の声を聞きたかった。
連絡して会う予定を立てれば、すぐ解決する訳だけれど……
でも僕はちゃんと確認したかったんだ。
智ちゃんに恋をしているのか、勘違いなのかを。
僕は都内の高級ホテルの一室を自分の家のように使っている。
もちろんマンションは借りているけれど、ホテルの方が色々と都合がいい。
それに、この高級ホテルの部屋は僕のマンションよりも、東京タワーがとても美しく見えるから……
『明日 〇〇〇ホテルの1205号室に来てくれませんか?何時になっても待っているので』
智ちゃんにメッセージ送るのに、二日もかかった記憶がある。送信直前で削除を何度も繰り返していた。
まぁ、この時既に気付いていたんだけれども……
僕は、智ちゃんが好きだって。
智ちゃんに触れてみたい。触れられたい。抱きしめたい。抱きしめて欲しい。
キスしたい……
智ちゃんの予定も聞かずにメッセージを送っちゃったけど、返事の内容によっては僕も察することが出来るだろうから、そこは気にしなかった。
返ってきた返事は、
『多分行けるけど、何かあったのか?』
智ちゃんらしいよね。僕の心配をしてくれるんだから。
ホテルに来い、って男でもこの業界の人なら警戒するのに。
脇が甘いよ、智ちゃん……
約束の日……
僕は確か仕事が終わってホテルの部屋に着いたのが22時を過ぎていたと思う。
メッセージの確認をしたけれど、智ちゃんからのメッセージは来ていなかった。
ちょっと落ち着くためにシャワーを浴びた。
シャワーを浴びた後、僕の定位置のソファーに座って、美しい東京タワーを眺めていた。
暫くしてチャイムが鳴り、咄嗟に時計を見ると日付が変わろうとしていた。
ドアに近付きドアスコープを覗くと、とても強ばった表情の智ちゃんが立っていた。
あぁ、脇が甘い訳じゃ無かったんだね……智ちゃん……
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