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恋人編 1
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付き合いたての頃の僕らは物凄く求め合ったし、同じくらい衝突した。恋した相手が『男』である事に、時にそれを受け入れられない僕らが居た。
でも会う度に、結局求めてしまう僕たち……
「キスばっかしてるよな、俺たち」と、智ちゃんが言う。
「そうだね」
僕が返す。
「お互いどっちかも分かってないしなぁ」と、智ちゃんが言う。
「どっ…ち…?」
「挿れる方か、挿れられる方か、さ」
「あぁ…」
ここでいつも終わってしまう。正直分からなかったから。
お互い女性としかセックスをした事がないし、という事は挿れた事しか無いわけで…ましてや男同士のセックスなんて…
撮影終わりに『今日、会いたい』と、僕がメッセージを送ると『うち来いよ』って、返事が智ちゃんから来るのが日課になっていた。
いつも日付が変わる頃に着くんだけど、智ちゃんが帰って来ていない時が一度だけあって、エントランスでしゃがんでスマホをいじって待っていたら、その日のうちに合鍵をくれた。
「将暉はさ、自分がかなり有名人で、かなり目立つって分かってないのか?」って怒られた。もっと自覚しろって。佐々木みたいな事を言うから、僕はちょっとムッとしちゃって……
そんな僕に、
「お子ちゃまかよ」って笑って言う智ちゃん。
何か調子狂う…智ちゃんと居ると、本当の自分しか出て来なくて戸惑ってばかりだった。
僕は仕事以外では感情を出さなかった。別に格好つけている訳ではなくて、単に疲れるから。人に興味を持つのも感情を見せるのも苦手だった。それでよく役者やれてるよな、って自分でも思っていた。
彼女が出来ても、それは変わらなかった。だからすぐ振られた。でも、それで良かった。結局女が出来ても、『面倒』が勝ってしまう。セックスも欲求の処理でしか無かった。最低な野郎だな、って自分でも自覚していたけれど、どうしても変えられなかった。どうしても、心を開けなかった。
「将暉一点見つめて怖いんだけど……」と缶ビールを飲んでる智ちゃん。
「え?」
あぁ、またかぁ…何だかんだ、僕はそうやって『人との付き合い方』について反省する。
「何かあった?」
深く追求する気の無い智ちゃん。僕は智ちゃんの後ろに座ってギュッと抱きつく。
「俺さ、色々調べたんだよね」
缶ビールを飲みながら智ちゃんが言う。
「何を?」
「男同士のセックスの仕方」
智ちゃんに抱きつきながら、思考がついていけない僕。
「ほら、これ見てみ」と、智ちゃんがスマホを見せる。
「このサイトに凄い詳しく載っててさ…」
「……うーん……」
「愛してるからこそ、だよなぁ」
「……うーん……」
「将暉、聞いてる?」
分かってる……僕の態度が悪いのを。でも……でも……でもでもでも……言えないよ、僕だってめちゃくちゃ調べた、だなんて。
適当に流していると、
「あのさ、俺本気でお前との事考えてんだけど」と、智ちゃんが少し怒った口調になった。
「本気でお前と愛し合うつもりで居るんだけど……お前は違うのかよ……そりゃセックスだけが、愛じゃないのは分かってるけどさ」
智ちゃんが『お前』って言う時は、だいたい本気で怒っている時。
「そんな事無いってば……」
「じゃ、何だよ、お前の態度。俺だってさ、忙しいんだよ。いつもお前に合わせてるだろ。会いたい、って言うから、疲れてても、夜中でも、こうやって会ってやってるだろ」
「会ってやってる、って……何それ……」
僕も余計なこと言わなければいいんだけど、智ちゃんの前では感情が素直になっちゃうもんで……
智ちゃんは僕を振りほどいて立ち上がり、
「もう二ヶ月?三ヶ月?…俺たちキスから発展しないだろ。俺はお前と気持ちよくなりたい、って思うけど、お前はそうでも無さそうだし」と、言いながら冷蔵庫から、また缶ビールを取り出して飲む。
「だって…」
「俺たちの『好き』って、恋愛のじゃないかもしれないな」
なんて智ちゃんが、ぶっきらぼうに言うもんだから、
「何でそんな事言うんだよ…」って、僕は泣いちゃった訳で……
「え?」
突然泣き出した僕を見て、凄く驚いた智ちゃん。
「僕は智ちゃんが大好きだよ。智ちゃんを愛してる。智ちゃんに甘え過ぎてるのも分かってる。それに僕だって、どうしていいか分かんないんだよ。僕だって智ちゃんとエッチしたい。エッチの仕方も調べたし。調べれば調べるほど、智ちゃんに気持ちよくして欲しいって思ってるし……あぁっ……」
言っちゃった……
「気持ちよくして欲しい……の?」
缶ビールを持ったまま、智ちゃんが言う。
僕は恥ずかしくて、顔が真っ赤だったと思う。
「そうだよ!僕は智ちゃんに挿れられたい!って思ってんだ」
ポロポロ泣きながら言う僕。
「将暉……宣言しなくても伝わってるから……」
頭の中がグチャグチャしてしまったせいか、この後一時間くらいメソメソしていた僕……
「泣かせるつもりじゃなかったんだよ」って智ちゃんが『よしよし』って、抱きしめてくれたけど、智ちゃんが甘えさせてくれるほど、僕は自分の心がどんどん開かれていくのが分かって怖かった。
「将暉」
「何…」
「ごめんな」
「僕も、ごめんなさい」
だけど、ちょっとだけ二人の関係が深まった瞬間でもあった。
でも会う度に、結局求めてしまう僕たち……
「キスばっかしてるよな、俺たち」と、智ちゃんが言う。
「そうだね」
僕が返す。
「お互いどっちかも分かってないしなぁ」と、智ちゃんが言う。
「どっ…ち…?」
「挿れる方か、挿れられる方か、さ」
「あぁ…」
ここでいつも終わってしまう。正直分からなかったから。
お互い女性としかセックスをした事がないし、という事は挿れた事しか無いわけで…ましてや男同士のセックスなんて…
撮影終わりに『今日、会いたい』と、僕がメッセージを送ると『うち来いよ』って、返事が智ちゃんから来るのが日課になっていた。
いつも日付が変わる頃に着くんだけど、智ちゃんが帰って来ていない時が一度だけあって、エントランスでしゃがんでスマホをいじって待っていたら、その日のうちに合鍵をくれた。
「将暉はさ、自分がかなり有名人で、かなり目立つって分かってないのか?」って怒られた。もっと自覚しろって。佐々木みたいな事を言うから、僕はちょっとムッとしちゃって……
そんな僕に、
「お子ちゃまかよ」って笑って言う智ちゃん。
何か調子狂う…智ちゃんと居ると、本当の自分しか出て来なくて戸惑ってばかりだった。
僕は仕事以外では感情を出さなかった。別に格好つけている訳ではなくて、単に疲れるから。人に興味を持つのも感情を見せるのも苦手だった。それでよく役者やれてるよな、って自分でも思っていた。
彼女が出来ても、それは変わらなかった。だからすぐ振られた。でも、それで良かった。結局女が出来ても、『面倒』が勝ってしまう。セックスも欲求の処理でしか無かった。最低な野郎だな、って自分でも自覚していたけれど、どうしても変えられなかった。どうしても、心を開けなかった。
「将暉一点見つめて怖いんだけど……」と缶ビールを飲んでる智ちゃん。
「え?」
あぁ、またかぁ…何だかんだ、僕はそうやって『人との付き合い方』について反省する。
「何かあった?」
深く追求する気の無い智ちゃん。僕は智ちゃんの後ろに座ってギュッと抱きつく。
「俺さ、色々調べたんだよね」
缶ビールを飲みながら智ちゃんが言う。
「何を?」
「男同士のセックスの仕方」
智ちゃんに抱きつきながら、思考がついていけない僕。
「ほら、これ見てみ」と、智ちゃんがスマホを見せる。
「このサイトに凄い詳しく載っててさ…」
「……うーん……」
「愛してるからこそ、だよなぁ」
「……うーん……」
「将暉、聞いてる?」
分かってる……僕の態度が悪いのを。でも……でも……でもでもでも……言えないよ、僕だってめちゃくちゃ調べた、だなんて。
適当に流していると、
「あのさ、俺本気でお前との事考えてんだけど」と、智ちゃんが少し怒った口調になった。
「本気でお前と愛し合うつもりで居るんだけど……お前は違うのかよ……そりゃセックスだけが、愛じゃないのは分かってるけどさ」
智ちゃんが『お前』って言う時は、だいたい本気で怒っている時。
「そんな事無いってば……」
「じゃ、何だよ、お前の態度。俺だってさ、忙しいんだよ。いつもお前に合わせてるだろ。会いたい、って言うから、疲れてても、夜中でも、こうやって会ってやってるだろ」
「会ってやってる、って……何それ……」
僕も余計なこと言わなければいいんだけど、智ちゃんの前では感情が素直になっちゃうもんで……
智ちゃんは僕を振りほどいて立ち上がり、
「もう二ヶ月?三ヶ月?…俺たちキスから発展しないだろ。俺はお前と気持ちよくなりたい、って思うけど、お前はそうでも無さそうだし」と、言いながら冷蔵庫から、また缶ビールを取り出して飲む。
「だって…」
「俺たちの『好き』って、恋愛のじゃないかもしれないな」
なんて智ちゃんが、ぶっきらぼうに言うもんだから、
「何でそんな事言うんだよ…」って、僕は泣いちゃった訳で……
「え?」
突然泣き出した僕を見て、凄く驚いた智ちゃん。
「僕は智ちゃんが大好きだよ。智ちゃんを愛してる。智ちゃんに甘え過ぎてるのも分かってる。それに僕だって、どうしていいか分かんないんだよ。僕だって智ちゃんとエッチしたい。エッチの仕方も調べたし。調べれば調べるほど、智ちゃんに気持ちよくして欲しいって思ってるし……あぁっ……」
言っちゃった……
「気持ちよくして欲しい……の?」
缶ビールを持ったまま、智ちゃんが言う。
僕は恥ずかしくて、顔が真っ赤だったと思う。
「そうだよ!僕は智ちゃんに挿れられたい!って思ってんだ」
ポロポロ泣きながら言う僕。
「将暉……宣言しなくても伝わってるから……」
頭の中がグチャグチャしてしまったせいか、この後一時間くらいメソメソしていた僕……
「泣かせるつもりじゃなかったんだよ」って智ちゃんが『よしよし』って、抱きしめてくれたけど、智ちゃんが甘えさせてくれるほど、僕は自分の心がどんどん開かれていくのが分かって怖かった。
「将暉」
「何…」
「ごめんな」
「僕も、ごめんなさい」
だけど、ちょっとだけ二人の関係が深まった瞬間でもあった。
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