10コ上のイケボと付き合ってます

マカリ

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番外編 年下の彼氏は泣き虫なイケメン

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「もう泣くなって」
 俺の腕の中でわんわん泣いてるイケメン。純粋過ぎて壊れてしまわないか、いつも本気で心配になる。
 実は……アイツの前では年上ぶってるけど……俺はいつもこの美しい年下のイケメンに緊張しっぱなしだ。

 アイツに初めて会った時の衝撃は忘れられない。今をときめく超有名人ってのもあるけど本当に美しくて、うっとりしてしまったんだ。そんな自分を認めたくなかった。男相手に、ときめいちゃうなんてさ。当時の俺は毎日アイツの事を考えては葛藤していた。そして心の整理がつかないまま、仕事だと割り切ってアイツと会っていた。

 初めは何を考えてるのか分からない位、自分を出さない奴だな、と思っていた。愛想もないし、目に生気もないし、この業界あるあるな奴だと思っていた。だから、深く関わってこないと思っていたし、関わらないようにしようと思っていた。
 
 のに……

 アイツのたまに見せる寂しそうな横顔が気になって、何か放っておけなくて……
 何となく飲みに誘ったら、目を輝かせてついてきた。初めて目に光を宿した、なんて大袈裟だけど、そんな感じがしたんだ。
 そして大して食う訳でもない、酒を飲む訳でもない。なのに、俺のつまらない話にニコニコ笑うようになった。凄く嬉しかった。

 別れ際が寂しくなった……

 男相手に何考えてんだと思っていた。いくら綺麗でも、男には違いない。
 でも……
 意識しだしたのは、アイツが、
「茂田井さん、僕の上っ面だけじゃなくて、中身も見てくれるよね。だから、茂田井さんと一緒に居るのが楽。凄い楽。こんな気持ち初めてなんだ」
 そんな事、言われたら、まぁ嬉しいわけで。その時のアイツの赤らんだ顔が、また可愛くて……
 冗談で、
「オジサンに恋すんなよ」って、酔ったフリして言ってみたら、
「!!!!!!!!!」って、真っ赤になりやがって……可愛かよ。

 自宅に帰って一人になってもアイツの、はにかんだ顔が忘れられなかった。胸がウズウズして堪らなかった。こんな気持ちになるなんて。

 疲れてるんだ、と思った。働きすぎだ、と思った。ストレスだ、とも思った。色んなせいにして、勘違いだと思いたかった。

 そんなある日、アイツからメッセージが。

『明日 〇〇〇ホテルの1205号室に来てくれませんか?何時になっても待っているので』

 やっぱりアイツも同じ気持ちなのかもしれない……

 恋する理由なんて十人十色で。説明できない事だってある。だって落ちたから。アイツの美しい顔やスタイルや、時々見せるめちゃくちゃ純粋な所とか。俺、惚れちゃったから。ただ、男ってだけで、前に進めないだけで……
 でも、アイツも俺と同じ気持ちなら、それを乗り越えられるって、何か思っちゃったんだよな。

 今は正しかったんだって素直に思える。あの時アイツに会いに行って、アイツの気持ちを確かめて良かったと思ってる。途中で逃げ帰っちゃったけど……いや、だって……あんな美しい奴に見つめられて、トロけるキスされて……

 キュンキュンしちゃったんだよ、俺……

 でも情けないけど、その時はまだそれを認められない自分がいて。男に感じちゃった自分が怖くなっちゃって……
 気にしてないってアイツは言うけれど、俺はお前に酷い事をしちゃったな、って今でも反省してるんだ。

 でも今は、ただただアイツを愛してる。
 ぶつかる事もあるけれど、それはお互い本気だって証拠だから。

 泣き虫だけど、俺にしか見せない本当のアイツ。守ってやりたいし、一緒に色々乗り越えて行きたい。一緒に色んな景色を見て行きたい。

 アイツはすぐ泣くから、寝る間も惜しんで抱きしめて居ないといけなくなる時がある。でも、泣き疲れて眠っちゃうアイツを抱きしめられるのも、また幸せな瞬間だったりするわけで。
 でもさ、頼むから、そんなに泣かないでおくれよ。俺と一緒に居るんだから、嬉しい時くらいは笑ってくれよ。

『嬉しすぎて泣いちゃう僕を許して』
『寂しいから涙出てきた、日本に帰りたい』
『気持ち良すぎて涙出ちゃったの』
『イケボで優しく囁いて泣かせないでよ』

 泣き虫なイケメンは、今日も俺の隣で幸せそうに眠っている。
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