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第一章
ようやくご就寝
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「明日も早いですので、今夜はゆっくりとお休みください」
「はいはい、おやすみ」
一礼するアウルを見送った私は部屋に戻り、用意されていた寝間着に着替えた。これまた都合よくサイズがぴったりなのよね。
歯磨きもしたし、洗顔もした。あとは寝るだけ。一直線にベッドに向かい、もぐりこんだ。これまた寝心地がいいときたもんだ。
「ったく…とんだ異世界生活が始まっちゃったわね…」
普段通りならばあのまま汽車に乗って家に帰り、夕食をとって、予習復習をすまし、風呂入って寝る。そんなスケジュールのはずだった。それが一冊の古本によってこんなことになるとは…。いきなりラノベの主人公みたいな展開に巻き込まれるなんて誰が予想できるものか。
「私が魔勇者か…」
よりにもよって魔王の下で働くことになるとは。しかも、逆らえば殺されるという最悪のシチュエーションだ。ワクワクするわけなどない。自分に植え付けられた魔王の力とやらもそうだが、人間達とどのような戦を繰り広げることになるのか、魔勇者となった自分がどんな結末を迎えるのか、何も予想がつかなかった。少なくとも今まで読んだラノベにはなかったシナリオだ。わからないことほど怖いものはない。こんなクソなシナリオを考えたライターが目の前にいるならば今すぐにでもはっ倒してやりたい気分だ。
いずれにしてもやるしかない。魔王に命を握られている以上、私に選択の余地はない。相手が人間であろうと元の世界に帰りたいならば戦うしかない。私は自分にそう言い聞かせた。
「…いっそ夢オチであってくれないかしら…」
そんな都合のいい考えを浮かべながら寝返りをうつと同じ布団にもぐりこんでいた吊り目のメイドとバッチリ目があった。ガバっと上体を起こし、この侵入者をベッドから放り投げた。
「なに人の布団に入ってんのよ!」
床に転げ落ちたアウルは何事もなかったかのように立ち上がった。
「慣れないベッドで眠れないかと思って子守唄でも歌って差し上げましょうかと」
「いらんわ!てかさっき見送ったろ!?」
「残念でした。トリックです」
「やかましいわ!」
ほんと、どうやって入ったんだ?さっき夜風を浴びようと窓を開けていたが、もしかしてその間に入ったのか?
「よろしければ膝枕いたしますが」
「いいからはよ寝かせろや!」
きれいなドロップキックがきまった。直撃したアウルは勢いで廊下に吹き飛ばされたことを確認した私はまた入ってくる前に扉を閉め、鍵をかけた。
「…ったく、油断も隙もないわねあの鳥メイド…」
なんかどっと疲れた…こりゃぐっすり眠れそうだ。そういう意味では彼女に感謝するとしようかな。
「はいはい、おやすみ」
一礼するアウルを見送った私は部屋に戻り、用意されていた寝間着に着替えた。これまた都合よくサイズがぴったりなのよね。
歯磨きもしたし、洗顔もした。あとは寝るだけ。一直線にベッドに向かい、もぐりこんだ。これまた寝心地がいいときたもんだ。
「ったく…とんだ異世界生活が始まっちゃったわね…」
普段通りならばあのまま汽車に乗って家に帰り、夕食をとって、予習復習をすまし、風呂入って寝る。そんなスケジュールのはずだった。それが一冊の古本によってこんなことになるとは…。いきなりラノベの主人公みたいな展開に巻き込まれるなんて誰が予想できるものか。
「私が魔勇者か…」
よりにもよって魔王の下で働くことになるとは。しかも、逆らえば殺されるという最悪のシチュエーションだ。ワクワクするわけなどない。自分に植え付けられた魔王の力とやらもそうだが、人間達とどのような戦を繰り広げることになるのか、魔勇者となった自分がどんな結末を迎えるのか、何も予想がつかなかった。少なくとも今まで読んだラノベにはなかったシナリオだ。わからないことほど怖いものはない。こんなクソなシナリオを考えたライターが目の前にいるならば今すぐにでもはっ倒してやりたい気分だ。
いずれにしてもやるしかない。魔王に命を握られている以上、私に選択の余地はない。相手が人間であろうと元の世界に帰りたいならば戦うしかない。私は自分にそう言い聞かせた。
「…いっそ夢オチであってくれないかしら…」
そんな都合のいい考えを浮かべながら寝返りをうつと同じ布団にもぐりこんでいた吊り目のメイドとバッチリ目があった。ガバっと上体を起こし、この侵入者をベッドから放り投げた。
「なに人の布団に入ってんのよ!」
床に転げ落ちたアウルは何事もなかったかのように立ち上がった。
「慣れないベッドで眠れないかと思って子守唄でも歌って差し上げましょうかと」
「いらんわ!てかさっき見送ったろ!?」
「残念でした。トリックです」
「やかましいわ!」
ほんと、どうやって入ったんだ?さっき夜風を浴びようと窓を開けていたが、もしかしてその間に入ったのか?
「よろしければ膝枕いたしますが」
「いいからはよ寝かせろや!」
きれいなドロップキックがきまった。直撃したアウルは勢いで廊下に吹き飛ばされたことを確認した私はまた入ってくる前に扉を閉め、鍵をかけた。
「…ったく、油断も隙もないわねあの鳥メイド…」
なんかどっと疲れた…こりゃぐっすり眠れそうだ。そういう意味では彼女に感謝するとしようかな。
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